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社員旅行つれづれ話〜第1部 電車内の死闘〜

土曜だというのに6:30起床。

 朝にはそれほど弱くない美奈神でも辛いものは辛い。まぁ乗り換え無しの直通で行けるんで寝ていけばいかな〜なんて思いながら乗車してみれば空席無し。
 土曜の朝で目的地が羽田空港なら混んでいてもそれほどおかしくないかと思いながら、注意深く車内を見回すと空席を発見。正しくは本来であれば空席であるはずの席でしたが。

 一人はいますよね。
 王様気分で足を広げて二人分の席を確保してる人。

 フツーのおっさんで、明らかな狸寝入りをしていました。彼が足を閉じてさえくれれば、最近疲れ気味&寝不足の身体に少しは休ませることができるのに……。
 傍若無人な体勢で座り続けるおっさん。
 温厚で有名な美奈神でも、イライラしてきます。
 いえ、それよりもです。こんなルール無用の悪党を放置していいのでしょうか?

 否!
 断じて否!!


 ルール無用の悪党には正義のパンチをぶちかまさなければいけないというのが世の摂理です。
 ゆけゆけタイガーなのです。

 ……何だか微妙に違うような気がしてきましたがそこはアレです。

 信じることがジャスティスで、悪を退け座席を確保し、夢を見続けることが俺のファンタジーなのです。

 やるときはやります。

 慎重に歩み寄り、開いた足に狙いを定める。
「何様のつもりだオラァ!」
 ドスの効いた声と共に膝蹴り一閃。
 鈍い音と共に有り得ない方向へと曲がるオッサンの足。
 声にならない声を上げながら涙目で私に何を訴えるが、私は足が曲がったことによりできたスペースに悠然と座り一言。
「たったひとつシンプルな答えだ…おまえは俺を怒らせた!」



 ………。

 まぁ実際は軽く膝で小突いただけですが……。
 おっさんが大人しく足を閉じてくれたので、私は羽田空港に着くまで、ファンタジーを楽しむことができました。

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 ……と、なんだか長くなりそうなので今日はここまでにしておきます。
 気が向いたら明日続きを書きます。