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broken Door

 ガタンガタンと物々しい音で目が覚めました朝。

 どうやら玄関から聞こえてくるそれは、止まる気配がなく、数分間鳴り続けておりました。

 同居人の姉が早い時間に出勤することが多くなったので、姉が音を鳴らしているのでしょうが、それにしては長く、激しい。

 さすがに心配になって目をこすりながら様子を見に行くと、ドアと格闘している姉の姿が。

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私「……どうしたの?」

姉「美奈ちゃーん(※)、ドア閉まらなくなっちゃったぁ〜」※姉は私のことをなぜか苗字の頭二文字にちゃんづけをして呼ぶ



 ……………………。



 (゚д゚;ナ、ナンダッテー


 前から立て付けが悪いのは承知していましたが、とうとう閉まらなくなってしまったようで。
 噛み合わせが悪くなり、閉まらない状態となっていたのですが、なぜいきなり?

 と、思いつつ少し見てみると、先っぽがひしゃげた傘の姿が。


 真相はこうでした。

1.ドアの蝶番部分の隙間に傘が挟まっていて閉まらない
2.立て付けが悪いのが原因だと思って力任せに何度もトライ
3.蝶番が歪む
4.傘を取り除いても閉まらない


 なるほど。

 いや、納得はしましたが非常にまずい状態です。
 ドアが閉まらない。
 つまりカギがかけられない。
 つまりご自由にお入りください状態。
 しかし二人とも今日は仕事。

 大惨事です。

 自分で直そうかとも考えましたが、歪み系は下手に手を出すと取り返しのつかないことになりかねません。
 いや、なったことあるんで下手に手を出さないことにしました。

 結局私が会社に事情を話し、爆笑と同情を頂いて自宅待機&修復依頼をすることになったワケです。
 まぁ降って沸いた有給休暇ダーってな感じでくつろいでいたわけですが。

 で、待ちに待って修理屋さんのご登場。
 しかし、ドアを開けてちょっぴり絶句しちまいました。

 金バッチ付きのスーツを着たオッサンがいたんですから。

 ……いや、フツーの業者さんだったんですが、なんか偉い人が来たらしいんです。
 金バッチも会社の偉い人だからなんでしょう。
 結局作業員は別にいて、ちょちょいのちょいと直してくれたわけですが。

 で、当然かかると思っていた修理代。
 請求されるものとばかり思っていたら、「いやー、良かったよかった」と退散していくご様子。
「あの、修理代は?」
 声をかけると、オッサンと作業員は少しだけ考え込み笑顔で一言。
「今日はいいですよ」
「本当ですか?ありがとうございます」
 修理代が浮いたヤッホーイと喜んだわけですが、しばらく時間が経ってから少しだけ不安要素が。


今日はいいですよ」

 今日は?
 ……えーと。
 それって後日請求ってことですか?

 さらに思い出される金バッチ。




 ……後で高額な請求が来たりしませんよね(^^;