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スキとかキライとか

 メモラー時代があった人以外、いや、メモラー時代があった人もドン引き必至かもしれない。

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 ときめきメモリアルといえば言わずと知れた恋愛シミュレーションゲームの大ヒット作。

 そのメインヒロイン藤崎詩織の話。

 美奈神はノーマルプレイ時(能力を上げ、好感度を上げて、狙った子を落とす)には、このキャラクターの魅力に気がつかなかった。

 一緒に帰ろうと誘えば「友達に噂とかされると恥ずかしいし」と断り、能力が上がるまで見向きもしないそのしたたかさ。
 さらに口にするセリフは王道過ぎて面白みがなし。

 文武両道器量よし。そんなものはクソくらえな美奈神にとって、このキャラクターの魅力は皆無と言えた。

 しかし、アブノーマルプレイでこのキャラの魅力に気がついたのだ。

 隠れキャラかつランダム要素がすべてを握る、レアキャラ中のレアキャラである館林見晴嬢を落とすために努力をしていた時期があった。彼女を攻略するためには、能力を上げつつ他のキャラの好感度を上げない努力をしなければいけない。

 しかし、能力を上げると何もしなくても好かれてしまうのだ。
 このままでは他のキャラとのエンディング確定なので、嫌われる必要がある。そして、手っ取り早く嫌われる方法は、キャラクターに冷たい態度をとり、好感度を下げることだった。

 好感度が下がれば当然キャラは冷たくなる。
 こうならないよう努力するゲームなのだから、ちょっとコツをつかめばこんな状態になることはない。

 だから気がつかなかったんだ。
 藤崎詩織の魅力に。

 私がそう思うに至ったイベントを再現してみる。

 金持ちクラスメイト伊集院の家で行われるクリスマスパーティー。しかめ面の藤崎詩織が主人公の姿を見つけて一言。
 なお、クリスマスパーティーには、容姿というパラメータが一定以上必要だということを注記しておう。

「……よく来れたわね(皮肉たっぷり)」

 ここで軽いジャブ。
 続けく彼女に言葉に私はナックアウトされたのだ。
 このクリスマスイベントに参加したとき、イベントなどで一定以上の成績を残すと、藤崎詩織の友達である美樹原愛というキャラクターの紹介イベントが起こる。
 そのイベント時の彼女の台詞こそ、私の認識を改めさせたのだ。

「ちょっと、ここで待っててくれる? 物好きな娘が来ると思うから。」

 このとき、確かに私はときめいた。
 藤崎詩織は学園のアイドル。
 そう呼ばれるのだから、誰にでも分け隔てなく優しいに違いない。
 きっと嫌いな人でも、ここまで言うことはないと思うのだ。
 つまりこれは、彼女が主人公に対して異常なまでに素直だということなのではないだろうか。
 それならば、能力が上がってからしか見向きもしない、幼馴染なのに一緒に帰ってくれないというのも頷ける。
 むしろ、幼馴染で気を許しているからこそ、ここまであからさまな態度をとれるのだ。

 それからというもの、怒り状態での藤崎詩織の台詞集めというアブノーマルプレイに走るようになった。彼女に罵倒されることに喜びを感じていた時間。

 今にして思えば、なんてデンジャラスだったのだろう。


 なお、この内容に同意できる人は名乗り出てください。朝まで語り明かせると思います。

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 ちょっと大げさに書いていると自分のフォローをしておきます。

本日のBGM
 恋もほどほどに


 ときめきメモリアルの片桐綾子がカラオケデートイベントで歌う歌。
 軽快な曲調なのにその歌詞は結構切なく、そのギャップが好きでした。