美奈神が書きたい放題書くところ
至れり尽くせりのビジネスホテル。ぐっすり眠れて目覚めもGood。
そして窓を開けるとまさかの晴天。雲の少ない晴れ渡った空。
今日は夜の汽車(北海道では電車を汽車と呼ぶことが多いので、ちょろっと道民気分になってみてる旅行者の図)に乗って帰る予定なのですが、それまでどうしようか予定を立てていませんでした。
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……この天気なら、宗谷岬もさぞかしキレイでしょう。もしかするとサハリンが見えるかもしれない。
しかし、バスの本数が絶対的に足りず、そして汽車の時間とどうやってもマッチしません。
金額的にもイタイですしね。
しかしね。昨夜調べたとおりならば、あるんですよ。
……レンタサイクルが。
しかもマウンテンバイクですよ。
もしマウンテンバイクがあるならば……やるしかない!とは思いませんか?
距離にして往復54kmですがー。
……や、やるしかないのか?
レンタサイクルをしているお店へとりあえず向かいます。マウンテンバイクが無いなら中止ってことで。
えー、アレです。……全台ママチャリで、ホッと胸を撫で下ろしましたチクショウ残念だとお店の人に「マウンテンバイクは無いんですか?」と聞いてみます。
「向かいの喫茶店もレンタサイクルやってるから行ってみなよ」
は?
喫茶店とレンタサイクル。
どうにもしっくり来ない組み合わせでしたが、一応行って見ることに。
やってましたよ。
普通の喫茶店なのに。
ありましたよ。
マウンテンバイク。
しかも1日700円と激安。
「どこまで行くつもりなんだい?」
自転車を用意しながら聞いてくる店のマスター。
「宗谷岬です」
笑顔で答えると驚愕の表情に。
「ええっ!? かなり遠いけど大丈夫かい?」
「ええ、多分。往復で54kmぐらいならなんとか」
「へーっ……。体育会系なのかい?」
……不健康職業ベスト3に入るシステム屋ですが何か?
「そ、そういうわけじゃないですけど大丈夫ですよ」
終始驚きながら送り出してくれた喫茶店のマスター。
……骨は拾ってください。
……………………。
覚悟完了!!
おっかなビックリ走り始める美奈神。
……?
……うぉぉおおおお!
……なんだこの景色はっ!
左手に海。右手には山。
こいつぁすげぇ!!!
テンション上がりまくりでしたよ。ホントに!
しかも美奈神はマウンテンバイクに初めて乗りました。明らかにママチャリとは違う乗り心地にさらなるテンションアップ!!
つーかね。
大正解。
こんなんバスじゃ味わえねぇ。
潮の香り、風、日差し。
すべてが私を応援しているとしか思えない。
そしてかなり長い時間走ると見えてくる風車。
ああ……イイ。
なんかもう……イイ。
27km?
ハッ!自然と一体化した私にとって、その程度なんともねぇぜ!
って、感じで到着!
えー、美奈神本人です。
基本的に自分は写りこませない性質なのですが、自転車で来たんだぞー!という思い出を残すために撮ってもらいました。
なお拡大しても顔は判別不可能なのであしからず(やるやつぁいないでしょうが)。
てかね。見えましたよ。
ロシア。サハリン!
異国が見えたぞぉぉぉおおおお!!!
はぁ、苦労した甲斐がありました……。
違うよぉ……全然違うよぉ……。
晴れと曇りでは全然違うわけですよ。
展望台から眺める景色も全然違う。
来て良かった……来て良かった……。
ひとしきり感動を終えた後で昼食タイム。
前日も食べましたが、今日もホタテラーメンにしました。塩と醤油があったので……違いが気になっていたんですよね。
それに半カレーもつけました。ばっちり体力つけなきゃいけませんから。
このカレー。ホタテの入ったホタテカレーです。
ホタテラーメンもホタテカレーもなかなかの味でした。最北端に来たときは是非食べて見るとよいかと思いますよ。
ちなみに塩と醤油は好みの問題ですね。多分ベーススープは一緒です。
腹ごしらえも済みました。
さぁ。
……さぁ。
…………さぁ……。
あとは戻るだけですね……。
帰りも27km。行きは1時間と少し走り続けてたどり着きましたが、正直同じ距離を走るかと思うと……。
しかしやらねばなりません。
……1時間待てばバスも来るようですが、自転車と一緒にバスに乗るなんて真似できねぇぜ。
やぁってやるぜ!
こぐべしっ!こぐべしっ!!
……………………。
えーとね。
稚内駅と宗谷岬の間には稚内空港があるんです。
でね。
稚内空港はどちらかと言えば宗谷岬寄りなんです。
でもね。そこらへんでバテました。
自転車を止め、座り込み、途中で買ったスポーツドリンクで水分補給をしつつ体力の回復を図る美奈神。
美奈神、北の大地に散る。
そんな言葉が頭によぎったときクラクションが聞こえてきました。
反射的に顔を上げると、ワゴン車が目の前で停止しており、窓から女性が顔を出していました。
「ねぇ、ちょっとアナタ。大丈夫?」
……どうやら私は、通りすがりのドライバーに心配されるほどグッタリしていたらしいです。
「……は、はぃ」
頼りない返事をしたつもりでしたが、相手には聴こえてなかったようで、女性は車を降りてこちらに向かってきました。
「ねぇ、ちょっとホント大丈夫?」
心配そうに声をかけてきてくれる女性。大きな声を出す気力が無かっただけなので、事情を説明します。
「後先考えず無茶するからだよー」
全くその通りでございます。
「稚内駅まででいいんだったら乗っけていってあげるよ」
コイツは渡りに船です。
マウンテンバイクを積んでもらい、助手席に乗せてもらう美奈神。
彼女は地元の人のようで、宗谷岬までドライブをした帰り道だったとのこと。
車内では旅の話をしました。彼女はいつも車で旅行をしているので、私の汽車の旅を興味深そうに聞いてくれました。
しかし、車だとなんと早いことか。30分もかからず稚内駅に到着。自転車を返したわけですが、彼女とはまだ行動することに。
車内で、稚内のもう一つの岬であり、夕日の名所と言われているノシャップ岬に行くと行ったら、ついでに連れていってもらえることになったのです。
……んなわきゃない。
えーと。
宗谷岬からは疲労困憊になりながらも自転車で帰還しました。
流石に足がガクガク行っておりましたが、その時の達成感と言ったら……。
で、先に書いたようにノシャップ岬にも行く予定だったのですが、流石にもう自転車は無理だと思ったので、返却し、バスで行くことにしました。到着時は15時ぐらいで、日没まではまだまだ時間があります。というか……電車の時間の関係で日没までいられません……。
それでも赤く染まりはじめる時間まではいられるので時間を潰すことに。
そこで食べたのがオホーツクの塩アイスです。
塩味のついた甘味はいくつか味わったことがありましたが、これはかなり美味しい部類かと。
舌に残る塩味が甘さを引き立ててくれるんです。
そうこうしている間に17時を回り、日が沈み始めました。
始めたんですが……。
雲も出始めました。
……なんだよチクショウと思いつつ、雲にかこまれた夕日もなかなか幻想的であり、これはこれでありかな〜と思える写真が撮れましたよ。
ただ「最北端に行ってみたい」と予定を組んだ稚内でしたが、色々あってかなり楽しめました。
天気に恵まれたのも大きいですね……。
そんな思いを胸に、汽車に乗り、再び旭川へ。
7泊目のビジネスホテルは4000円以下の超格安ホテルだったのですが、アレです。
……もうアレです。
安かろう悪かろうって感じでした。
まぁ最低限の機能はあったので、格安ホテルとしては良いのではないかと思いますがね。
でも宿はもう少し金を出してもいいから、もうちょっといいところに泊まりたいと思いつつ、七日目の夜も更けていくのでした。