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コンプリート

いい大人二人のお話

「ネタをつくれない大人になるにはまだ早い」
 これはそんな心意気を持つ男たち(20代後半)の戦いの話である。

※超長文

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「まずコイツ見てくれ。
 こいつを見てどう思う」


※クリックすると大きい画像が見れます

「すごく……、コンプリートです」

「コイツはある男たちが戦いの末に得たかけがえの無いものささ。
 コンプリートなんて一言で表すなんて男たちに失礼だ。
 ちょっと長い話になるが最後まで聞いてもらうぜ?」

◆ ◆ ◆

 その日、同じ会社で同じような趣味を持つ後輩と遊んでいたのですが、予定していたものが予想より早く終わってしまいました。暇を持て余した私達は、なんとなしにトイザらスに向かったのです。

 思えばこの行動がこの長い戦いの引き金になったのですね。
 もちろんその時はあんな戦いが始まるなんて思いもよらなかったんですが。

 それを見つけた時もそう。
 ただ、コイツをネタに異様に話が盛り上がったのは確か。

「トイザらスにもこんなのが置いてあるんだー」

ガールズ イン ユニフォーム
MASKED RIDER EDITION



 仮面ライダーのヒロインをいわゆる萌えアレンジし、フィギュア化したものです。
 最近こういう商品はよく見るし、いつもは「へーこんながあるんだ、世も末にだなー」と笑い話にするだけなのですが、このフィギュアの中で、あまりにも私のツボを刺激するものがあったことにより状況が一変。

美奈神
「これ、ハナさんがモモタロス踏ん付けてますよっ!」

 仮面ライダー電王、特にイマジンたちが好きな私にとって、「モモタロスを踏ん付けてる」というシチュエーションはたまらないものでした。
 買おうかどうか迷っている中で、後輩がイラスト絵を描いている人物の名前に驚きの声をあげます。

後輩
「このイラスト、黒岩よしひろ先生が描いてますよっ」

 黒岩よしひろ先生といえば、鬼神童子ZENKIなどを描いていたマンガ家さん。まさかこんなところでまったく違う絵柄で出会うとは思っても見ませんでした。
※調べてみると、劇場版マジレンジャーの、コミック版を描いている繋がりっぽいです。

 二人は妙なテンションに。
「一つずつ買ってみますか。ネタにもなるし」ということで購入。

 なお、入っているフィギュアは下記の7つ。

・小沢 澄子(仮面ライダーアギト)[以下、小沢さん]
・霧島美穂(仮面ライダー龍騎)[以下、霧島]
・スマートレディ(仮面ライダーファイズ)[以下、スマートレディ]
・天美あきら(仮面ライダー響鬼)[以下、あきら]
・ハナ(仮面ライダー電王)[以下、ハナさん]
・ナオミ(仮面ライダー電王)[以下、ナオミ]
・シークレット

 私たちは早速、ハナさんが出ることを期待して、ファーストフード店のあまり目立たない席で開封してみます。

「コワッ!」

 腕と首がバラバラ(^^;

 こういうのは初めて買ったのでビックリしましたが、箱づめするのならこうせざるを得ませんよね。

 ちなみに出てきたのは私があきら。
 後輩が小沢さんです。

美奈神
 「ハナさんでなかったねー」

後輩
 「残念ですねー」

美奈神
 「悔しいなぁ」

後輩
 「そうですねー」

 などと会話をしていると、なぜかどうしても欲しくなってくるもの。
 立体でハナさんがモモタロスを踏んづけているところが見たくなってしょうがなくなってくるわけです。

「どうせならコンプリート目指してみますか」

 どうせやるならトコトン行こうぜ。
 それが俺たちのクオリティなどと話した結果。
 ストレートでいけばコンプリート(シークレットを除く)できる6個購入を計画。

 そして間髪置かずに4個追加購入を決行。

 ただ買うのは面白くないので、2個ずつチョイスし、ダブりを出したらもう一度購入しないといけないという罰ゲームを設定。

 あれですね。罰ゲームとかってなんであんなに盛り上がるんですかね。

 そんなわけでドキドキしながら開封。

美奈神
 「小沢さんですが」
後輩
 「あきらなんですが」

 二人とも神の引きを見せ、両者罰ゲームが決定。
 ちなみにあとは霧島とナオミでした。

 罰ゲームというのは、一度逃れてしまうとその効力が薄れ、面白みが一気に下がってしまうものです。楽しく生きていくためには、罰ゲームを避けてはならない。
 そのことを知っている二人は、「ルール」に逆らうことなく追加購入決定。

 ふたたびトイザらスへ行き、再び一つずつ購入。
 なお、次の罰ゲームは、トリプルでダブらせた場合のみ追加購入に設定。

美奈神
「あー、ナオミだ。でもセーフ」
後輩
「……あきらなんですが」

 後輩はネタの神様に愛されているらしい。
 罰ゲーム決定。

 後輩のみ店に向かわせ、さらに2個追加購入へ。
 なお、今度もトリプルでダブらせた場合追加購入(笑)

美奈神
 「あー霧島だ。でもセーフ」
後輩
 「……小沢さんなんですが」

 …………………………。

 見事トリプルダブらせを2連続で引き当てた後輩が再び追加購入2個。
 つぎは、4個ダブり(あきらか小沢さんだったらアウト)で罰ゲーム。

美奈神
 「あーナオミだー。でもセーフ」
後輩
 「…………」
美奈神
 「どうした?」
後輩
 「あきらなんですが」

 Oh!
 なんてこったい/(^o^)\

 度重なる罰ゲーム連チャンで盛り上がり続ける大の男二人。
 上がり続けるテンションと、後輩の告げた事実がさらなるネタを呼ぶ。

後輩
 「もう店に残り4個しか残ってないんですよね」

 購入数はすでに12個。すでに箱買いと同じ量を購入していますので、残りがそれぐらいになっても不思議じゃありません。

後輩
「残り全部買っちゃえば、さすがに揃うんじゃないですか?」

 何度もトイザらスに「萌え系フィギュアを購入しにいく」という罰ゲームが後輩のスイッチを入れたらしい。
 それはあまりにも物騒な相談でしたが、後輩が行く気マンマンだったので私はその提案を受け入れます。自分が購入しに行くのなら話は別ですが(笑)。

美奈神
「半額持つ。行って来い」
後輩
「ロジャーッ!!!」

 このときの後輩の雄々しい後姿は、末代まで語って生きたいと思うほど輝いていた。

 そして購入した4個を2個ずつ開封。
 
美奈神
 「あー霧島だぁ……」
後輩
 「ナオミです……ハァ」

 絶望しそうになりますが、残り物に福があることを信じて最後の2個を開封。

美奈神
 「……………………」
後輩
 「なんでした?」
美奈神
 「ナオミよ

 昔懐かしのCMの真似て言っては見ましたが、最後の4個中2回も出てきたナオミは自重すべき……。
 しかし諦めてはいけません。当初の目的は「ハナさんGET」。
 残り1個で引き当てることができれば、目標は達成なんです。

後輩
 「…………………………」

美奈神
 「なんだった」

後輩
 「あきらなんですが」

 最後の希望の箱に入っていたのは、後輩が4連続罰ゲームをのきっかけを作ったあきらだったのです。
 ……自重すべきはコイツですね。


 以下がトイザらスでやったバカ行動の成果。

 購入数 :16個
 小沢さん:3体
 霧島  :4体
 ナオミ :5体
 あきら :5体
 コンプリート率 約57%

 なお、この製品。
 実は1個599円と決して安くない。
 つまりここで使った金は二人で下記の金額となります。


 9,584円



 ………………………………。







 なんという無駄遣い。

 しかしなんだか妙にテンションが高く、楽しい時間だったと思います。








 ……ハイ。



 ここで疑問を覚える人は多いはず。





 「最初の写真はどうやって撮ったのか」



 答えは簡単。




 男たちの戦いはここで終わりではない。




後輩
「美奈神さん。オレ悔しいっすよ」

 心の底からの叫びでした。
 それもそうです。

 家族連れでにぎわうトイザらスで、何回かに分けて萌え系フィギュアを買うという屈辱を受けながら、あまりにも惨めな結果に終わったんですから。

 もちろん私も少なからず悔しい。
 だからかもしれない。

 ……こんな発想が出たのは。

美奈神
「秋葉原だったら、多分売ってますよね」
後輩
「!!!!!」

 後輩は私の言葉の意味を瞬時に理解したのでしょう。
 しかし、理解したとして実行に移そうなどとは普通はしません。

後輩
「逝きますか」

 もう私たちは「普通」の領域から完全に外れていたのです。


 ってことで、バカ二人 in 秋葉原。

 オタクの街秋葉原。
 ここならば萌え系フィギュアなんて腐るほど置いている。
 なお、箱から出している状態で売っている店もこの地ならあると思いますが、それは男たちのプライドが許さない。

 まずはポイントで買い物ができるヨドバシアキバへGO。

 しかしそこで待っていたのは衝撃の事実だった。


 ……1個しかないんですが。

 もうここまで来て恥も外聞もあったもんじゃないので、店員に在庫が無いかたずねると、これでラストらしいです。

 とりあえず購入。
 (値下げされていて500円だったことも売り切れた原因か)

 残り物には福が(ry
 と、開封するもでてきたのは4人目の霧島。

 ガックリくれど、ここは秋葉原。
 しかもヨドバシアキバなんぞ一般向け店舗。
 オタ向け店舗ならまだまだ残っているはず。

 ここまで来たら、引けない。諦められない。

 ということでそれっぽいものを扱ってそうな「アソビットキャラシティ 」にGO。


 しかしこそでまっていたのは先ほどよりもワンランク上の衝撃だった。


店員

「もう完売したんですよー」


 そこで私たちは理解した。
 秋葉原はオタクの街。オタク向け商品を取り揃えている。
 しかし同時に、オタク向け商品の需要がトップな街なのだ。

美奈神
「くっ、こうなればシラミ潰しだっ!」

 ここまで来たら、引け(ry

 しかしすでに時間は20時を回ろうとしており、店舗は閉まっていきます。
 焦りを覚える中、「とらのあな」に突入。


 ……ありました。
 腐るほど(笑)

 ここで二人の男は思案。
 5Fフロアであったため、トイザらスのときのように数個買って確認という行為はできそうもない。

 そこで男たちが選んだ行動は。

箱買い。
(12個入り)


 これならばハナさんが入っている確率は高いし、運がよければコンプリートできるかもしれない。
 男二人は、箱買いを初体験。震える手で購入し、近くのマックの目立たない席で中身をあらためることにします。

後輩
「ゆっくり1列ずつ見ていきましょう」

 後輩の提案で、2個6列をじっくりと見ていくことに。


1列目

美奈神
「来た! ハナさんだ!」

 ようやく目的のものをゲット!
 せっかく箱買いしたのにこんなにあっさり出てくるとは拍子抜けです。

後輩
「……わたしもハナさんなんですが」

 …………………………。

 少しだけ下がるテンション。


2列目

美奈神
「ナオミよ」

 見慣れたフィギュアにガックリ。
 しかしそれ以上に後輩がガックリしてます。

後輩
「ハナさんなんですが」

 Oh!
 なんてこったい/(^o^)\

 しかし、1箱に3個入っているハナさんを引けなかった我々は……。
 そんなことが頭によぎる中、未だ一つだけ出ていない「ノーマル」キャラがいます。

 スマートレディ。

 ここまで来たらぜひともGETしたい。


3列目

美奈神・後輩
「あきらです」

 ………………………………。

 ここで、最多登場キャラクター。
 しかもダブルで。

 しかし、なんとなく法則っぽいものを見い出します。
 列は同じものの可能性が高いのでは?

 それ以降はその予想を裏付ける結果となりました。

4列目
 ダブル霧島

5列目
 ダブル小沢

 そしていよいよ最後の列。
 ハナさんが3個あったという法則崩れを退ければ、この列にはスマートレディが眠っているはずです。
 
 これでコンプなるか!


6列目

後輩
「出ました、スマートレディです」

 喜ぶ後輩。
 しかし私は開いた箱の中身が「なんだかよくわからない物体」だったので戸惑ってしまいました。

美奈神
「スマートレディっぽいんですが、なんか黒いですね」


 何を隠そうこれこそ「シークレット」。
 スマートレディ喪服バージョンだったらしいです。

 我々の予想は、小さくなってしまったハナさん「コハナ」だったのですが、最後の最後までGETできなかったスマートレディの別コスがシークレットとは。

 そして、それを最後の最後で手に入れるとは!

 なんとドラマティックなのか!

 これで正真正銘のコンプリート!
 男たちは冒頭の写真を撮ることができるようになったのです!




 男たちは戦った。
 男たちは諦めなかった。
 そして、1日でコンプリートと言う偉業を成し遂げた。



 自分の意地を貫きとおし、男たちは勝ったのだ。


 ……たとえ世間から「負け組」と認識されようとも、我々の心にあるのは勝利の喜び。
 ……たとえ、1万5千円以上かかっていようとも、我々の心にあるのは、なにものに変えられない達成感。

 まさにプライスレス。



 これを見ている人も覚えておいてください。
 誰にでもドラマの主人公になれる可能性があるのだと。

 必要なのは、幾ばくかの金と行動力。

 この日。間違いなく、私たちは物語の主人公となったのです。


LAST RECODE
 購入数    : 29個
 あきら    :  7体
 霧島     :  6体
 ナオミ    :  6体
 小沢さん   :  5体
 スマートレディ:  1体
 シークレット :  1体
 コンプリート率 100%

 総額     :16,688円


◆ ◆ ◆


 超長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。

 とりあえず、「とらのあな」の1箱だけでコンプリートできてるじゃんと言うツッコミを自分でしておきます。

 私たちのせいではなく、「トイザらス」が悪辣なのです。そう思わせてください。
 私はこの日、例え子供ができても、トラザらスで玩具は買うまいと決意しました。

 そして、「とらのあな」がすごいのです。
 みこちゃんサイコー。
 なんせ「みこ」ちゃんですから。
 みこちゃんLOVE。
 これからグッズを買いにいくときは必ず「とらのあな」にします。

 みこちゃんサイコー。


 ………………。


 ところで、実はあきらとナオミは腕のパーツが2種類あるため、別ヴァージョンを作れるのです。
 つまり、「あきら」と「ナオミ」が2体ないと本当のコンプリートとはいえないでしょう。

 見よ、これが本当のコンプリート映像だ。


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 ……つまり、ナオミが1つしか入っていなかったあの箱だけ買っても、本当のコンプリートはできなかったのです。
 そういえば、あの箱にナオミが1つしか入っていなかったのは、トイザらスでの最後の購入時、「ナオミ自重」と言ったからかもしれません。素直ないい女です。


 と、これで真のコンプリートだと思ったのですが、実はあきらの腕のパーツは左右2種類ずつあります。
 つまり、4パターン作れるわけで。
 よって、あきらに関しては4個なければ真のコンプとはいえないのです。

 見よ! これこそ本当に真のコンプリート映像だ!!


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 つまり、あのトイザらスの購入も決して無駄ではなかったのです。
 あきらが大量にでてきたのも意味があったのです。


 ……………………。


 絶対意味があったんだからっ!(涙目)


 ところで、せっかくあきらが7体もいるので記念撮影しておきました。



タイトル:天美あきらが7人の戦鬼


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 そして、せっかくなんで29体並べてみました。


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 もはや何も言うまい。


 とりあえず、29体のフィギュアを組み立てているときは虚しくなりました。
 さらに並べて撮影している時は死にたくなりました。

 しかしネタのために頑張りました。

 このバカな男を笑ってやると思えたなら、せめて拍手という慈悲を(笑)