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あとがき的な

 人によっては、「あとがき」とか「解説」とか「苦労話」は、言い訳クサイからしたくないと言う人がいます。
 おっしゃることはごもっとも。
 けれど、チャンスは最大限に。
 でも誰かに聞いてほしいさびしんぼうであり、使えるものは使わないとソソンがソンな私は、あとがき的なものを書く人です。

 そんなわけで、魔王じゃないもんっ第9話のあとがき的なもの。

 更新後しばらく経つので読む気がある人は読んでいるようなしますが、ネタばれ含むので、これから読む意志があるけれど、未読の方はスルーを激しく推奨です。

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 ねたろう氏の描いた「かっつんこ」が素敵過ぎたので、「よし、彼女を主役にしようっ!」と漠然と思い立ったのが発端。
 まず思いついたのが、「ボーイッシュな女の子だけど、実は誰よりも女の子っぽいところがあったりすんだょ」というベタベタストーリー。
 もともと魔王じゃないもんっは、ベタを愛し、本気でベタを描くのがコンセプトでもあったのですが、このストーリー、どうも気に入らないことがあったのです。

 どうも、「女の子はやっぱり女の子っぽい方がいいんだ。女の子は女の子っぽいところが魅力なんだ」と主張しているようでイヤだったのですよ。

 いつもこのイライラを感じさせてくれた漫画があるので、例として紹介させていただきます。
 松山せいじ先生の「ゾクセイ」です。
 この作品、毎回色んな個性を持つキャラクターが登場しているにも関わらず、結局結論は同じ。

 実はこんな女の子っぽいところがある。なんて魅力的なんだ。

 オイオイちょっと待ってくれ。
 結局、ボーイッシュとか、気が強いとか、厳しいとか、天然とか、そういうのは、「女の子っぽい魅力」を増幅させるスパイスでしかないのか、と。
 個性そのものの意味が薄れてとても悲しくなったのです。

 それぞれの魅力はそれぞれの魅力として存在させたままで、新たな「女の子っぽい」という魅力を見つけたい。
 個性を女の子っぽい魅力のスパイスに成り下がらせることはしたくない。
 そんな気持ちを込めて作ったのが今回のお話なワケですが。

 まぁなんというか、そのことばかりが前に出てしまい、出門家の面々の出番はどこやねんとか、魔王じゃないもんじゃなくてもいいじゃんコレ的なプロットになってしまったからさぁ大変。
 モヤモヤを解く鍵を「魔法」とすることを思いつくまでどれだけ時間がかかったやら。

 まぁそんな感じでできあがった今回の作品。
 重要視したのは前述した「モヤモヤ感」。
 ラストまで終始漂わせたつもりのモヤモヤ感を感じていただけたのなら成功なのですがどうでしょうか。
 もちろん結論に至った時の爽快感も大事なんですけどね。

 さてはて、皆様は楽しんでいただけましたやら。

 魔王じゃないもんもあと1話。執筆に避ける時間もあとわずか。
 最後は「ファミリーもの」らしくしたいと思っているけれどもどうなることやら。

 過度な期待はせずにお待ちくださいませませ。