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揺るぎない思いは届くのかもしんない

 一昨日未明。
 ザウルス君が行方不明になる。
 そんなことから始まるお話。
(長文)
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 昨日の出勤時前のこと。
 いつものようにスーツのポケットに手を入れ、ザウルスを入れ忘れていないことを確認する。

 無い。

 とりあえずどこに置いたかなと部屋を探す。

 無い。

 これはまずいぞといやな汗が出始める。さて、どこに置き忘れたのやらと記憶を辿る。
 確か前の晩は、新チームメイトと懇親会っぽい飲み会を21時ぐらいまで行い、それから帰ったはず。
 電車の中では「みなふら」のテキストを書いており、もう一歩で書き終わるところまで来て、最寄り駅に着いてしまった。
 このままの状態で家に帰ると、明日に持ち越しになってしまいそうなので、最近オープンした喋れる食べれるミニストップへ行き、そこで作業をするつもりだった。
 しかし妙に食べたくなって頼んだ頼んだソフトクリームが思ったより早く用意されてしまい、ソフトクリームを先に片付けてから作業をしようと思ったはず。
 しかし、クリームが手にたれ、なんとなくやる気を失った。
 そんなエピソードをしっかりと覚えている。
 そして、テーブルの上に置いた記憶はあるが、手を洗ってから回収した記憶が無い。

 オッケー。
 あそこで間違いない。

 出勤前にミニストップに立ちより、忘れ物が無いか確認する。

「昨晩、忘れ物は出ていないようなのですが・・・」

 なんてこったい。

「もし、見つかったらご連絡しますので連絡先を教えていただけますか?」

 とりあえず携帯番号を教えて出社。

 置き忘れ→盗難の可能性が出てまいりました。
 さて、情報端末系の紛失のさい一番気にしなければいけないことと言えば、セキュリティです。
 個人、企業情報が入っていたらなくしましたの一言では済まず、契約内容によっては、契約破棄、賠償請求、場合によっては犯罪として扱われます。
 幸い、プロ(笑)としての自覚がある程度あったため、そういった情報は持ち歩くことはしておりません。
 旅行の写真が入っていたりしましたが、名前が書いてあるわけでなく、友人しか写っていませんしそこはごめんなさいで済むでしょう。

 とりあえず洒落にならない事態は回避できそうです。

 で、他に何が入っていたかというと。

・みなふらテキスト
・みなふらアクションスクリプト作成用Excelファイル
・構想中の作品含むテキスト
・戯れ言テキスト

 Excelファイル以外はWeb上にUPしているものです。
 見られて恥ずかしいものばかりではありますが、とりあえず恥ずかしいだけで済むでしょう。

 ということで盗まれた場合の損害を列挙すると。

・ザウルス本体 4万円程度
・SDメモリーカード 5千円程度
・恥ずかしい想い プライスレス
・書きかけテキスト プライスレス

 ・・・これは痛い。
 なんとかして取り戻す方法は無いかと算段開始です。

 可能性として、実は家に置いてあるのに朝探しきれていないというのもあります。慌てていたのも加味すると、それほどひくい可能性ではありません。
 行動プライオリティとしては最優先で、仕事が終わったら即すべきことでしょう。

 問題は家に無かった場合です。
 私の記憶能力に問題でも無いかぎりミニストップに置き忘れたのは明白。
 つまり置き忘れたものが存在しないのは、誰かが持って行ったことです。
 誰が持って行ったかなんてずっと監視でもしていない限り不可能で、店のレジからイートインの席は死角です。店員は役に立たないでしょう。
 さて、少しでもひらめきのいい人なら思いつきます。今の世の中、店内に死角などありえないことを。

 そう、防犯カメラです。

 防犯カメラを見れば、私が置き忘れたのはことも証明できますし、誰が持って行ったのかもわかります。
 よし方向性は決まったと仕事をいつも通りこなし、急いで帰宅。
 わずかな希望を持ってもう一度自宅を探しますがやっぱりありません。

 ヨシ。

 決意を固め、ミニストップへ。

「朝も来て確認したのですが、昨晩忘れ物をしてしまった美奈神というモノです。
 あれから進展ありませんでしょうか」
 店に着いたらまずもう一度調べてもらいます。これで出てくれば恩の字ですから。
 とりあえず声をかけた店員は、話が通じないようで、すぐに責任者っぽい人を呼んできました。
 出てきた責任者っぽい男性は175cmぐらいで体重は軽く100kgを超えているような巨漢。しかし、対応はしっかりしているようです。
「すいません。出ておりません」
 ああ、そう、残念だ。
 さて、どうやって防犯カメラを見るように切り出そうかな、なんてことを考えていると、責任者が続けて一言。

「あの、お探しのものはここではないのでは無いと思われます」

 ・・・・・・ピシッ。

 何かが切れる音がしました。
 忘れ物の届け出が無かっただけで、ろくに調べもせず、探し物がここじゃないと彼は言いいました。乱暴に意訳すると「どーせおまえの勘違いだろ? メンドクセーなぁ他行けよ」ということです。

「いや、ここであることは間違いありません」

 私もしっかりとした記憶が残っているので強気に主張しましたよ。
 ええ、もうあとは勢いに任せるしかない。

「防犯カメラは設置されていますよね? 21時〜22時頃私がイートインコーナーに忘れ物を映像が残っているはずです。そこから見ていけば誰が持っていったのかもわかるはずですよね」

 シャイで引っ込み思案な私でもこのぐらいは言いますよ。ええ。
 言われた責任者さんは、「わかりました、見てみます」といい、事務所に姿を消しました。

 その後。


 ずっと立ちっぱ。
 イートインコーナーに行けば座れるのですが、「仕事頼んで自分は座って待ってるのかよ」みたいに思われたらやだなーと思って経ち続けます。
 20分ほど放置されたでしょうか。
 その様子に気の効く定員が、事務所に入り現状を責任者から聞き、まだ時間がかかるようだからイートインコーナーで待ってくれと言ってくれました。

 それからまた20分程度経過。

 責任者が私の元へやってきます。

「深夜担当の従業員が、忘れ物置き場に持っていったのが映っていました」

 キターーーーーーーー!

 え?
 というか従業員が?

 いや、ちょっと忘れ物置き場に持って行ったならわかるだろうよ。
 なんで無いんだよ。

「いま、連絡を取ろうとしているのですが、電話が繋がりません。
 本日22時より業務に来る予定ですので、そのときに確認します。ご連絡はまた明日ということで」

 なんだか色々と怪しすぎるのですが、とりあえずこれだけの情報があれば戻ってくることは間違いないでしょう。
 しかし、ここは手早い決着を望んだほうがいいと思います。

「22時連絡してくださって構いません。早く受け取りたいので取りにいきますから」

 そのとき19時半。そういい残して一時撤退し、食事をしたりして自宅で連絡を待ちます。

 ええ、かかってきましたよ。
 見つかったそうです。
 なんだか、指導ミスによりお客様にご迷惑をかけたとえらく謝っておりました。
 家まで届けにいくと、なんだかしきりに言われましたが、携帯番号+住所なんて教えたくないのできっぱりと断り、自らの取りに行きます。
 だってミニストップって創(ry

 さて、店についた私を待っていたのはスーツを着た巨漢でした。
 平謝りでザウルス君を返してくれましたが、あまりのスーツの似合わなさに思わず、小さく吹いてしまい。

「わざわざ着替えたんですか。 気を遣わせてすみません」

 と、慌ててフォローともいえないフォローというかフォローじゃなかった。
 ほんとにサーセンwwww


 まぁとりあえず無事に帰ってきたわけですが、触られた形跡はアリです。


 ………………。

 前述したように恥ずかしいだけでヤヴァイ情報はないからヨシとすることにします。


 とりあえず今回の教訓。

 諦めず行動せよ。その前に忘れ物をするな。

 まぁいい社会勉強にはなりましたよ。