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自作振り返りシリーズ:DD

 DDの後日談+自分の感想です。
 読破された方向けですので、読破された方、読破する気がない方のみ、続きを読むをクリックしてください。

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 説明できないものは不安の種となる。だから、よくわからないものは恐ろしい。

 恵子はその身に起こったことが理解できなかった。
 部活が終わったあと先生と掃除をして、家に帰ろうとしたことまでは覚えている。しかしその先の記憶がないのだ。気が付くと朝になっていて、家のベッドに横になっていた。
 家族の話では、帰宅後に疲れたと言ってすぐ眠ってしまったらしい。
 その時は、そういうこともあるかと思ったが、どうしても拭い切れない不安要素があるのだ。
 制服と下着に違和感。
 まったく同じもののはずだが、微妙に違うのだ。
 まるで新品を急いでくたびれさせたような。

 どうして?

 わからない。
 想像で補完しようとすればするほど不安が生まれる。

 そして、急に引っ越したという白坂恭介。優しく整った顔の年上の男性で、彼女は彼に恋をしていた。
 夢に見るほど恋い焦がれていたはずなのに、なぜか彼を思うと身体が震えるのだ。

 少女はこの不可思議な数日を、日常を重ねることで忘却してしまうだろう。
 そして、闇の力による暴力に巻き込まれた事実は、少女の中から消え去るのだ。


 闇の世界は、今も暴力に満ちているにも関わらず。













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 ハッピーエンド至上主義を自称する私が初めて書いた救いのない話。
 これを書くきっかけになったのは夢でした。

 痛覚。

 身体の危険を知らせる大事な反応なのですが、夢の中ではそれが鈍くなります。
 実際に痛い訳ではないのに、自分の身体が壊れて行くのを目の当たりにするのは相当恐ろしい。
 寝汗びっしょりで目覚めた時は、しばらく呆然としたものです。

 と、同時に使えるなと思いました。
 ホラーものも一度は書いてみたいと思っていたので、こいつは渡りに船だぜ的に一気に仕上げたのを覚えています。
 今読み返すと、試行錯誤してるなぁというのが読み取れてなんとなく照れました。