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自作振り返りシリーズ:聖夜のサンタ

 聖夜のサンタの後日談+自分の感想です。
 読破された方向けですので、読破された方、読破する気がない方のみ、続きを読むをクリックしてください。

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 聖夜は奇跡が起きる夜とも言われている。

 古ぼけ、教職者だったひとりの老人の住居と成り果てた教会は、その機能をまるで果たしておらず、聖夜でも信者が集まることがない。
 しかし、訪れるものを拒むこともない。

 青年が祈りを捧げている。

 昨年も、どこから情報を調べたのかふらりとやってきた青年だった。
 夜通し祈りを捧げていた不思議な青年だったため、老人の記憶にもしっかりと残っていた。

 しかし、昨年とは大きな違いがある。

 青年の隣には、恋人と思われる女性がいた。その二人を見たとき老人は、昨年青年はこの女性のために祈っていたのだとはっきりわかった。

 今宵、ふたりは何を祈るのか。
 願いか、それとも感謝か。

 すっかり生きがいをなくした老人は、そんな二人の姿に久しぶりに熱く高まる気持ちを覚えていた。

 この二人が愛を誓う合う舞台をこの教会にしてもらえたら、どんなに嬉しいだろうか。

 聖夜は奇跡の夜。

 しかし、何もしなければ奇跡は起きない。奇跡が起きるきっかけを掴む、人の強い想いがあればこそ奇跡は成立するのだ。

 数年後。
 この老人の想いが奇跡を起こすかどうか。

 それは神のみぞ知る未来。


























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 自分に書ける最高の恋愛小説。
 その意気込みにより生まれたのがこの聖夜のサンタです。

 一人称作品ならではの、作者とキャラクターの融合感を強く感じた作品だったと思います。

 作中、クリスマスソングがいくつかでてきますが、「ジングルベル」「きよしこの夜」は執筆中流しまくりましたね。
 明るいシーンはジングルベルを、シリアスシーンはきよしこの夜をという感じで。
 ところで、クリスマスソングって楽しげだったり荘厳だったり、さまざまなものがありますよね。そして、そのどちらにも鈴や鐘の音が使われたりします。
 美奈神はなんとなく不思議な感じがするのです。
 浮ついたり悲しんだり喜んだり。
 これほど表情が豊かな歌が存在するイベントは、そうはないと思うんです。
 そしてそれは、クリスマスそのものを体現しているんじゃないかと。
 恋人がいない時間を過ごして結構長い年月が経ってますが、それでもクリスマスは結構好きです。
 日本の独自解釈でよくわからんものに成り果てたクリスマスが好きです。
 商戦だ商戦だと騒いで、嫌ってしまうのでは少々もったいない。せっかくのイベントなのですから、楽しんで過ごしたいです。

 そう思いませんか?