ゆっくんとお兄ちゃんが試合をしてから、しばらく経ちました・・・

ゆっくんは無事鹿島学園卒業して、城誠大学に進学しました。
お兄ちゃんは卒業後、依然お世話になっていたジムに就職し日々トレーナーの勉強中です。
せりなさん達もそれぞれ道を歩んでいます。

そして、私は試験勉強に明け暮れていました。
絶対、入試に合格しなくちゃいけませんから!!(指輪が懸かってますし)
っと、言いましても電話や土・日の行ったり来たりは変わりません。
勉強は大変ですが、幸せ一杯です。
そんなある日・・・

「ゆっくん・・・」

「何だ?」

「これは何?」

「何って、貰い物だが・・・」

「あれは?」

「それもだが・・・」

「・・・・・・」(怒

「晶子?」

「どうして、私がゆっくんの部屋に来るたびに色んな物が増えてるのー!?」

指差す先には山と積まれたプレゼントの数々。
ゆっくん・・・
ファンの人だからって、貰いすぎだよ・・・(汗

 


2002 elf 『あしたの雪之丞&勝 あしたの雪之丞2』

「幸せなる日々」
 (番外編2・ある日の出来事)


 

「これでも出来るだけ断っているんだぞ。
ほとんどが押し付けに近いに強引に渡された」

ゆっくんは城誠大学のみならず、ボクシング関係でかなり人気者です。
顔もいいですし、クールなところが良いらしいです(私にとっては『ゆっくん自身』が好きだから、顔の良し悪しは気にしませんが)
高校でもあったように大学でもファンクラブなるモノが出来上がり、大変です。
ファンの皆さんから様々なプレゼントも頂くこともあります。
ゆっくんはもちろん断りますが、中には強引に渡すという人たちもいるそうです。

「た、大変だね・・・
でも、一度整理した方がいいよ?」

視線の先には、手付かずで箱や袋に入ったままで積み重なれている数々のプレゼント。
押し付け(少し言い方が悪いかな?)の品だから仕方ないけど、絶対に部屋の邪魔になっていると思います。

「・・・そうだな。
いい加減、邪魔になっていたし片付けるか」

「私も手伝うよ」

「頼む」

ゆっくんも付き合っている人(私のことだよ)がいると言ってはいるのですが、
それでも告白する人たちが後を絶たないそうです(怒
流石に私の名前は出していませんが・・・(迷惑がかかりますし)

「さて、何処から手をつけようか?」

「うーん・・・
とりあえず、古い物か積んであるモノの上から・・・かな?」

「古い物は下だな。
そこから適当に上に置いていったからな」

「それじゃ、上からやっていこうか。
ゆっくん、順番に降ろしていって」

「了解」

私でも届くのですが、重い物を持って倒れたら大変ですのでゆっくんにお願いします。
そして、さっそく包装紙を取り除いて蓋を開けます。

「クッキーだね」

「・・・俺は体重の維持などでそういうものは控えているんだが。
晶子、持って帰ってくれ」

「うん、わかった」

本当はそういうのは気が引けるんですが、仕方ないですよね?

「次は・・・」

それからも、様々な紙袋や箱を開けては整理します。
役に立つものから、これ何?っていうものまで(せりなさんが喜ぶ物と言えば判っていただけますか?)
でも、問題はそこじゃありません!!
時々メッセージカードや手紙が入っていて・・・

『応援しています、頑張ってください』

これくらいなら許せるどころか、感謝だよね。
でも・・・

『付き合ってください!!』

だから、ゆっくんは私とお付き合いしているんです!

『よく知らないけど、絶対私の方がいいよ?
乗り換えなよ?』

知らない人に言われたくありません!!
というより、かなり自信過剰ですよ!!

『愛してるわ』(キスマーク付き

そんな言葉を軽々しく使わないで下さい!!
私だって『大好き』から『愛している』まで時間が掛かったんですから!!
それになんですか、このキスマーク!!

「し、晶子?」(恐る恐る

「何、ゆっくん?」

「いや、なんでもない」(視線を逸らしている

「そう?
それじゃ、続きしようか?」

「はい」

こうして夜まで、プレゼント整理をしていました。
時々発見するメッセージに反応しながら・・・

 

 

ゆっくんのプレゼントを整理した次の日・・・
学校から帰ってくると、譲ってもらったプレゼントを郵送してもらっていたのが届いていました(流石に多くて)
今日はお兄ちゃんもお仕事はお休みなので、家でゆっくりしていました。
さっそくクッキーをおやつに、3人でお茶を飲んでいます。

「それで晶子は不機嫌なのね」

「お母さん!
私、そんなこと・・・」

「鏡を見ていらっしゃい。
眉間に皺が寄ってるわよ」

「あう・・・」

いけない、いけない。
眉間を指で揉んでほぐします。
でも、不機嫌なのは正解だからちょっとムカムカします。
これがせりなさんの言う『イカシン、イカシン、怒り心頭』ということですね。

「でもよ、さすが大学生。
上等物ばかりだな。
中学や高校は手紙だけだったのに」

ぱっかぱっかとお菓子を食べるお兄ちゃん。
ゆっくんからの貰い物なんですから、お礼を言ってくださいね。

「これからも雪之丞には色々貰ってくれば、旨いものにありつけるのか・・・
よし、これからは全部貰って来いと言っておくか!!」

上げの果てにそんな事を言います。
私の気も知らないで・・・

「・・・お兄ちゃん」(激怒

「ひっ!?
じょ、冗談だぞ、冗談!!」

「そう聞こえなかったけど?」

「お、お前は兄の言葉が信じられないのか!?」

「うん。
むしろ、お兄ちゃんだから信じられないよ」

「ぐはっ!?」

私をからかったり、自分勝手だし、ゆっくんに迷惑掛けたり・・・
本当に大事な時には格好良いのに、普段はどうしてこうなんでしょう(しみじみ

「アンタもバカよね。
勝の言葉なんて、半分以上信用ないわよ」

「ひどっ!!
それが息子に言う言葉か!?」

「少なくとも、さっきの言葉は本気だったでしょ?」

「そ、それは・・・」

「やっぱり」

フフ・・・
私はこんなに悩んだりしているのに、お兄ちゃんは・・・

「しょ、晶子・・・さん?
あ、おの、目がマジで怖いんですが?」(泣

「お兄ちゃん、ちょっとお話があるから席を外そうか?」

「で、でもよ・・・
せっかくのお茶だから、今回は・・・」

「来て」

「はい」

お兄ちゃんの腕を引いて、リビングを後にします。
そして・・・

「ぎゃあああああー!!」

どういうお仕置きをしたかは内緒ですよ♪

 

 

「はあ・・・」

夜中にいつも通り、勉強しようと椅子に座りますが集中できません。
やっぱり、昨日のことが尾を引いているようです。

「ゆっくんが人気があるってことは、前々からわかっていたのに・・・」

昔からヤキモキしたことなのに、どうしてこんなに不安なのでしょう?
今はお互いを愛し、愛される関係なのに・・・

「ゆっくんを信じているに・・・」

ゆっくんが浮気をしたり、裏切るなんて少しも思っていません。
私達の仲を引き裂く物なんてないんですから!!(言い切る

「でも・・・
はぁ・・・」

どうしてか、気になってしまうんです。
もうゆっくんに甘えないって、依存しないって決意したのに・・・
そんな時・・・

 

ピピピ・・・ピピピ・・・

 

「メール?」

携帯にメールが入ったようです。
すぐ側にあるので取って、操作してメールを開きます。

「ゆっくん・・・」

送り主はゆっくんでした。
それだけでも嬉しいですが、内容を読むと嬉しさと恥ずかしさやら色んな感情が込み上げてきました。

 

『久保から話を聞いた。
不安にさせてしまったのなら謝る。
だが、少なくとも俺は君を放すつもりもないし、手放さない。
君から愛想尽かされることはあるかもしれないがな。
俺は晶子を愛している。
それだけは判って欲しい。

追伸、流石に恥ずかしいから読んだら削除してくれ』

 

「フフ・・・
ゆっくんったら」

胸の奥が暖かくなりました。
そして、どうして不安になっていたのか理解しました。
ただ言って欲しかっただけなんです、『愛してるって』。
ゆっくんが大学でもモテたりプレゼントの事もキッカケ以下で、私に愛を囁いて欲しかっただけ。
よく言いますね、『女は判っていても、言葉に出して欲しい時がある』って。

「きっと、真っ赤になりながら書いたんだろうなー」

携帯を片手に、書いたのはいいけど送信しようかどうか真っ赤になっているゆっくんが思い浮かびます。
そして、たぶん返事が来るまでソワソワしている姿まで。

「お兄ちゃんも感謝だね」

明日は私が起こしてあげようかな?

「胸のつかえも取れたことだし、勉強頑張ろー
あっ、その前にお返事をしておかないと」

ゆっくんへとメールを送り、私は勉強に集中します。
今度の試験は頑張れそうです。

 

えっ?
メールの内容ですか?
うう・・・
ひ、秘密ですよ?

『私もゆっくんを愛してます。
愛想を尽かすことなんてないよ。
ずっとゆっくんだけを見ているんだからね。
お互い頑張ろう、未来の旦那様♪』

です(恥

 

終わり♪



どうも、siroです。
あけましておめでとうございます!!
去年は色々ありましたが、今年も頑張っていきますのでよろしくお願いします!!
久しぶりの『幸せなる日々』SSですが、いかがでしたか?
自分もすっかり『幸せなる日々』の感覚を忘れてしまって、読み直しましたよ(汗
そのせいで、執筆がほとんど大晦日当日の半日程度しか時間が無かったです・・・
短いのはそのせいです。
ショートSSになってしまいましたが、楽しく書けました。
それでは皆さん、良いお年を・・・