坂上家の夕食・・・
今ではめっきり減った、ねぇちゃんもいる全員集合。
悪い意味ではなく、あんな幸せそうなねぇちゃんを見ると・・・
時々、ものすごく緩んだ顔見たときは少し引いたけど(汗
僕も幸せな気分になる。
昨日、課題を教えてもらおうかとねぇちゃんの部屋を訪ねたら、
僕に気づかずにベットの上で雑誌を抱え、ゴロゴロと真っ赤に悶えていたとしても(汗
そんなねぇちゃんが・・・

「なあ、鷹文。
相談があるんだ。
後で、部屋に訪ねていいか?」

「うん、いいよ」

相談を持ちかけてきた。
たぶんにいちゃん絡みとは思ったけど、父さん達の前では言いにくいことなんだろうと思ってOKしたよ。
でもさ・・・
いくら最近、『ちょっと壊れてきたかなー?』と首を捻っていてもさ・・・
僕の部屋に入ってきたねぇちゃんの最初の言葉が・・・

「と、朋也を・・・男を骨抜きにする方法を教えてくれ!!」

「は?」

僕の知っているねぇちゃんから、そんな言葉が出てくるなんて想像できないよ(汗

 


2004 Key  『CLANNAD』
『幸せは手の中に』
本編第二話・朋也を骨抜きにしろ! 女の意地!!


 

「えっと・・・
ねぇちゃん、悪いけどもう一回言ってくれないかな?
耳が悪くなったみたい」

言葉は聞いたけど、内容が理解できない・・・
ウウン、理解したくなくて、真っ赤になっているねぇちゃんに聞き返す。

「だ、だから・・・
朋也を・・・その・・・・・・
な、何度も言わせるな!!」

「ご、ごめん!」

逆ギレされちゃった(汗

「で、でもさ・・・
どうしたの、突然?」

「じ、実はだな・・・」

ねぇちゃんが理由を話すけど、単純なものだった。
初めてのお泊りの時にねぇちゃん一人舞い上がって、にいちゃんはグッスリ。
キスのことも聞いた・・・
『キス魔はやめろ』と言って、実際に少なくなったら『何故キスしてくれない? わたしのことが嫌いになったのか?』
と、逆に不安になってねぇちゃんからキスを求めてしまったらしい。
なんか惚気話しを聞いているような気分だよ(汗

「そうするに・・・
ねぇちゃんがにいちゃんに骨抜きになっているから、にいちゃんにも自分に骨抜きになってほしい・・・
というわけ?」

「・・・・・・」(真っ赤

どうやらそうらしい・・・
けど、それを弟に訊くのもどうだと思うけど。

「でもさ、それならそういう雑誌も売っているんじゃないかな?
僕もそういう風なのは疎いから確実だと思うけど」

「わ、わたしにそんな雑誌を買いに行けと言うのか!?
そんな恥ずかしいこと、出来るわけがないだろう!!」

うーん・・・
男に例えたら、エッチは雑誌を買いに行くくらいに恥ずかしいかな?
ねぇちゃんも学園では有名だし・・・

「わかったよ、ねぇちゃん。
僕も出来る限り協力するよ。
でも、ねぇちゃんも意見を出してね」

「もちろんだ!
それではさっそくだが、何か案があるか?」

えっと・・・

「「・・・・・・」」(汗

姉弟揃って、そういったことには疎くてダメダメだった!!

「諦めるな、鷹文!
2人で考えれば、一つや二つ・・・」

声が小さくなっていくところ、ねぇちゃんは完全に手詰まりらしい。
ここは僕が頑張るしかないご様子。
どうして、こんなことになったのだろう・・・
恨むよ、にいちゃん・・・

「それじゃあ・・・」

 

 

ケース1 〜いつもと違った朝の起こし方〜

 

ほ、本当にやるのか?
しかし、せっかく鷹文が考えてくれた案を無駄にすることはできない。
鷹文、お姉ちゃんは頑張るぞ!!

「ZZZZZZZ・・・・・・」

「・・・ゴクッ」

いつものように未だ寝ている朋也の枕元に座る。
いくぞ・・・

「お、おは・・・」

いかん、声が上擦っている(汗
しっかりしろ、坂上智代!!
おまえは朋也の彼女だろ!!
これぐらいで緊張してどうする!!

「お、おはようございます、朋也さん。
朝ですよ、起きてください」(恥

これが鷹文が考えた作戦。
普段と違うわたしを見せて、そのギャップに男が骨抜きなるらしい。
ギャップと言う所に何か腹が立つが、今の問題とは関係ないので『ひとまず』置いておく。
しかし、恥ずかしすぎる!

「ZZZZZZZ・・・・・・」

そんなわたしを放って、朋也は今だに夢の中。

「あ、あの・・・
朋也さん?」

軽く揺すってみる。

「ZZZZZZZ・・・・・・」

が、無反応。

「朋也さん・・・」

「ZZZZZZ・・・・・・」

抑えろ、智代!
ここで、怒鳴っては・・・!!

「朋也・・・」

「ZZZZZZZ・・・・・・」

抑え・・・

「・・・・・・」

「ZZZZZZ・・・・・・」

プチ

 

「いい加減に起きろ!!
朋也!!」(怒

 

ドゴッ!!

 

「グハッ!!」

「アッ・・・」(汗

やってしまった・・・

 

 

「・・・それで、失敗しちゃったわけね」(汗

「・・・すまない」

いつもはもっと強く起こしているらしいし、
今更弱くしても起きるはずがない・・・か。
にいちゃん・・・(しみじみ

「そ、それじゃ、その後に続く予定だった『あーん』と『いってらっしゃいのキス』は?」

「それが・・・
思いのほか強く入ってしまって、お互いに遅刻寸前で・・・」

「・・・だからギリギリだったんだ」

「ああ・・・」

すっかり落ち込んじゃったよ(困
ココは励まさなくちゃ!!

「つ、次だよ、ねぇちゃん!!
一回くらいで落ち込むなんてねぇちゃんらしくないよ!!
次でにいちゃんを骨抜きさ!!」

「そう・・・だな。
私らしくないな!!
鷹文、ねぇちゃんは頑張るぞ!!」

内心、不安が一杯だけど・・・(汗

 

 

ケース2 〜ご一緒に昼食を〜

 

朋也の昼食がパンの日に、お昼休みに学園から抜け出してお弁当を届ける。
そして一緒に食べて、朋也の仕事仲間に私たちの仲を見せ付ける。
その光景を見た仕事仲間に冷やかされながらも、祝福してもらう。
すると朋也は『智代ー!! やっぱり俺にはおまえだけだぜー!!(抱き付きあり)』というわけだ。
なるほど。
まずは埋めるのは外枠というわけか。
さすが鷹文だ。
提案した本人は『ほ、本当にこれでいくの?(汗』と心配していたが、これほど完璧な作戦はないだろう。
さすが私の自慢の弟。

実際に開始すると、朋也が『別にいいって。 それにどうやって学園から抜け出すんだよ?』などと、
乗り気ではなかったが、何とか言いくるめた。

ついに当日、学園に外出許可(私は理由を言わなくても申請するだけで許可が出るらしい)をもらって、
お弁当2つ抱えて、事前に訊いていた場所まで急ぐ。
それほど時間も掛からず、電柱の下にいる朋也が見えた。

「朋也」

「おっ、智代か。
すまんな」

「気にするな。
私から言い出したことだ」

「サンキュ」

会話しながらお弁当を渡す。
すると、上から(電柱の)朋也と同じ作業着を着た年上の男性が降りてきた。
何となく、朋也に似ている。

「ん?
岡崎、この学生は?」

制服を着たままだから、やはりココにいることが不自然か。
それは仕方がない。

「紹介しますよ。
芳野さん、こいつがその・・・彼女の坂上智代です。
智代、この人が俺の先輩で指導してもらっている芳野祐介さんだ。
今日は、ちょっと弁当を届けに来てもらったんです」

「坂上智代です。
朋也が世話になってます」

「貴女が岡崎の・・・
話しは彼からよく聞いていますよ。
自慢の彼女で俺にはもったいないくらいだと」

「っ!」

慌てて朋也の方を見ると、真っ赤になって明後日の方を見ている。
私も恥ずかしさ以上に、嬉しさと喜びを感じた。
これだけでも成果はあった。
だが、常に計画と言うのは最高の結果を出さなくてはならない。
その為に、作戦を続行させよう。

「いいですか、坂上さん。
人と人は縁で結ばれている。
しかし、その縁を強くするのも壊すのもまた人。
ですが貴方達なら何事にも負けない縁を築くことが出来るでしょう。
その為に・・・」

芳野さんが良いことを話してくれる。
これはしっかりと聞いておかなくては。

「ああ・・・
智代、こうなったらこの人は止まらないからメシ食おうぜ」

「何を言う。
年上の話はちゃんと聞くものだぞ。
それに良いことを話してくれているじゃないか、芳野さんは。
聞く価値はあるぞ」

「・・・マジ?」(汗

「?
本当だが・・・」

どうしてそんな驚いたような顔をする?
これから先の心構えとして、とても為になる内容じゃないか。

「・・・なら、先に弁当を食うぜ」(呆

「ああ・・・
話が終わり次第、私もいただく」

「そんな余裕があればいいが・・・」

最後は小さい声で聞き取れなかったが、まあいい。
今はそれよりも芳野さんの話しだ。

「これからの人生・・・
時にはその縁を揺さぶったり、切れそうにもなるでしょう。
それに耐えるものはお互いの信頼と愛情です。
これがある限り、負けることは決してありません。
さらに言えば・・・」

「フムフム」

真剣に聞いていたのはいいが、いつの間にか昼休みが終わる時間(予鈴がなる時間)になっていた。
結局、私は昼食もとらず走って教室に戻る羽目になってしまった・・・
お腹減った・・・

 

 

「・・・ねぇちゃん」(呆

「何も言うな・・・
何も言わないでくれ」

失敗するとは思ってたけど、どうしてそう斜めに失敗するかな(汗

「だ、だがな!
朋也は私を褒めて自慢していたんだぞ!!」

「それは偶然聞いただけで、本来の計画とは関係ないでしょ」

「・・・・・・すまない」

正座してシュンとするねぇちゃん。
それなりに反省しているようだし、ここら辺にしよ。

「でもさ・・・
正直、これ以上提案がないんだけど・・・
ここは素直に、にいちゃんに話したら?」

「だがっ!!」

「僕が聞いた限りでも、にいちゃんはねぇちゃんを本当に好きになってるよ。
それはねぇちゃんもわかってるよね?」

「ああ」

「だったら変な意地を張らなくても、今まで通りでいいんじゃないかな?
どう、ねぇちゃん?」

「・・・そうだな。
私は朋也が好きで、朋也も私を大切にしてくれる。
それが一番大事だな」

「うん。
分かってくれて嬉しいよ」

ふぅ・・・
どうして僕がここまで言わなくちゃいけないんだろう?
どっちかというと、これはにいちゃんの役目だと思うけど・・・
・・・そうだ!!
ねぇちゃんを利用するようで悪いけど、ここはにいちゃんへの意趣返しに・・・

「ねぇちゃん。
最後に一つだけ案があるけど、チャレンジしてみない?」

「そうだな・・・
区切りをつける為の最後のチャレンジか・・・
よし、乗ろう」

「ちょっと勇気と言うか度胸がいるけど、ねぇちゃんなら大丈夫だよ!」

「まて、鷹文!
何をさせる気だ!?」

 

 

ケース3 〜ドッキリ大作戦〜

 

「朋也、湯加減はどうだ?」

『おう、最高だぜ。
やっぱり仕事の後は風呂だな』

今日は週に一度のアパートでのお泊りの日。
前回のことがあってから、両親と再度相談し許可が出たのだ。

朋也は入浴中。
ドア越しに話しかける。
私はいつも通りなら着替え一式の用意。
その後は食器洗い。
だが、今日はそれだけじゃない。

「朋也、少し話があるんだが」

『何だ?
金ならないぞ』

「・・・そんなことは私が一番分かっている。
って、そうじゃない!!」

いかん、またもや朋也のペースに惑わされるところだった。

『なら、少し待っててくれ。
早めにあがるから』

さて、ここからだ。
名誉挽回の為に、朋也と本音で話し合う為に、ここは強行にいこう。

「その必要はない」

『は?』

「朋也の背中を流しながら話すからだ」

『はあっ!?』

これが鷹文からの案。
お詫びを込めて朋也の背中を流しながら、本音を語りあえという単純なものだ。

「何だ、私では不満か?」

『そ、そうじゃなくてだな!!
だ、第一、どうやって入ってくるんだよ!?』

よかった・・・
入ること自体は拒絶していないようだ。
(それは悲しい男のサガだよー by鷹文)

「もちろん用意をしてある」

『用意?』

鷹文は厚めで濡れてもいい服を着ろと言っていたが、
わざわざ濡れるのに服を着たままというのも効率が悪い。
もちろんタオル一枚も論外。
なら、ちょうど良いものがあるじゃないか。

「水着だ」

『み、水着ー!!?』

どうして、そんなに驚く?
予想出来るものではないか。
それにもうこちらの用意も万全だ。
朋也が入っている間に、少し恥ずかしかったが出来るだけ端っこに寄って、
カーテンをして居間で着替えた。
私の肌を見るのは朋也だけで充分だ。

「何だ?
これでもスタイルは良いと自負しているし、手入れも欠かしていないんだぞ」

『手入れって、ドコとドコですかー!?』

こら、不埒な想像するんじゃない。
このスケベめ。

「水着と言っても、別に露出が多くもなく色気もないシンプルなものだ。
朋也も見慣れている」

『あっ、そう』

そこで残念そうな声を出すな。
このままでは埒が明かん。
強行突破だ。

「というわけで、入るぞ」

『ちょっとまてー!!
何がというわけだー!!
しかも見慣れているって何だよ!?
俺は女の子の水着なんて知らないぞ!!』

「見れば分かる」

正直言って少し寒い。
背中を流したら、朋也にはそのまま上がってもらおう。

 

ガラララ・・・

 

ドアを開け、中に入る。
朋也は浴槽に入って、頭以外の身体全体を隠している。
その視線は私に向いたまま。

「こら、朋也。
確かに見れば分かると言ったが、ジッと見続けるな。
恥ずかしいじゃないか」

「・・・・・・」(固

ん?
何か予想と違ったりアクションだな。
それより、背中を流そう。

「朋也、早くそこから出ろ。
ああ、タオルが手元にないのか?
それなら、ほら」

タオルを朋也に手渡すが、固まったまま。

「どうした、朋也?
もしかして、これでも刺激が強かったか?」

「・・・・・・」(固

・・・どうしたらいいんだ(汗

「・・・・・・す」

「す?」

ようやく、何らかの反応が返ってきた。

 

「スクール水着ー!!!!?」

 

それも大声で・・・

「うるさいぞ、朋也。
ただでさえ響くんだ。
それに近所迷惑だぞ」

「ど、どうして、それなんだよ!?」

少しは話を聞け。

「どうしてって・・・
昔はプールや海なんて合わなかったし、去年はそんな余裕なんてなかった。
だから、私用の水着は持っていないんだ。
なら、これしかないだろ?
それに、朋也も見慣れているじゃないか」

「い、いや、それはマズイって、色んな意味で!!
主に俺の理性とか身体の一部とか!!」

「??」

何がどうマズイんだ?
首を傾げる私にオルをぶん取って、奥に逃げる朋也。

「?
よく分からないが、さっさと出ろ。
背中を流せないじゃないか」

「近づくな!
近づくんじゃない!!」

朋也・・・

「・・・迷惑か?
それとも私のことが嫌いになったのか?」

「ち、違う!!
そうじゃなくてだなっ・・・
ああ、泣きそうな表情をするな!!
あっ、マズッ・・・!!」

朋也はよほど慌てていたのだろう。
運悪く、足が滑ってしまい・・・

 

ガツン!!

 

「グフッ」

「と、朋也ー!!」

後頭部を打って気絶してしまった。
頭が沈む前に慌てて抱きとめ、朋也に呼びかける。

「朋也!
しっかりしろ、朋也!!」

微妙に幸せそうな表情を浮かべていたことに気づきながらも、
気にする余裕は全くなかった・・・

 

 

「それで・・・
救急車を呼ぶ一歩手前に、にいちゃんの意識が戻ったんだ?」(呆

「ああ・・・
あれは大変だった」(しみじみ

ねぇちゃんの天然な行動を嘆くべきか、にいちゃんの過剰反応に呆れるか、
判断に迷う所だね(汗

「それに結局、背中を流すことは出来なかった・・・」

論点がそことは違うよ、ねぇちゃん。
まだ諦めてなかったの?

「鷹文!!
今度こそ、朋也の背中を流してやるぞ!!」

「が、頑張ってね」(汗

ねぇちゃん・・・
手段が目的化しているよ・・・

「待っていろよ、朋也!!」

にいちゃん・・・
頑張って、ねぇちゃんの天然を修正してください・・・
それが出来るのはにいちゃんだけだから・・・

これが初めて、にいちゃんにするお願いだった・・・(汗

 

 

本編第三話へ


さて、今回も微妙に遅くなってしまったと思うsiroです。
全てはドラクエ8が悪いんです(責任転嫁
当初は甘々にする予定だったんですが、出来上がると半分コメディになってしまいました(汗
ここまでする予定ではなかったのですが、何故に?
ちなみにスクール水着は代表的なデザインと色で、胸には名前付です(笑
そろそろ年末が近づいてきて、忙しい時期になってきました。
おそらく今回で今年は最後でしょう。
ですが、年末年始よろしくお願いしますSS一本(年が明けた途端に投稿するSS)を頑張って書いています。
久しぶりにあしたの雪之丞・『幸せなる日々』の出番です。
では、あとがきまで読んでくれた皆さん、来年に!!
クルーザーさん、ご感想ありがとうございました!!