「はぁ」

王城にある私の部屋から夜空を見ながら、
私は溜息が何回も出てしまいます。

「お兄ちゃん・・・」

今の私の中はお兄ちゃんの事でいっぱいです。

幼い頃からずっと慕っていたお兄ちゃん。

私が王位継承者だと知ってもお姫様でなく、
私自身を見てくれたお兄ちゃん。

お姫様になってから色々な事が、
ううん、世界が滅びる事になるような出来事もあったけど・・・

やっと気持ちが通じ合い、結ばれた・・・

私だけのナイト様・・・

「なのに・・・」

「はぁ」

また溜息が出ちゃう・・・

「せっかく恋人同士になれたのに・・・」

なぜ溜息が出るのは・・・

「私達って、恋人同士の過ごした事って1度もないのよね」

これが原因の1つなんです。

せっかく結ばれたのにお兄ちゃんと1度もデートもしていないんです。

確かに私はお姫様だけど・・・

その前に1人の女の子なんだもん。

そんな事を思っても不思議じゃないですよね。

それに、世界が平和になって森の民のファルエルさんとアースさんも時々来られます。

女の子同士という事もありファルエルさんとはよくお話をしますが、
よくデートなどのお話が出ます。

といってもファルエルさんが勝手に話しているだけなのですが・・・

正直に言って羨ましいと思いました。

だって1日中好きな人と一緒に居られるんですもの!

私だって・・・

「それだけじゃないのよねー」

これが最大の原因ですが・・・

先程の色々な出来事の中には、
いつの間にかお兄ちゃんに好意を持っている女性が出てきたのです!

ワーラン騎士団の騎士団長のヴァレントさん(最近シスコンとの噂)の妹、エオーテさん。

ラバール市場にある雑貨屋のリネットさん。

お兄ちゃんの近くに住んでいるメイベルさんの所のミュウ。

スラム街に住んでいるキッシェさん。

彼女達はあらゆる方法で私の(強調)お兄ちゃんにアタックを掛けているんです!

これでは、いつお兄ちゃんを取られるかわかりません・・・

 

・・・・・・

 

「決めた!!」

こうなったら私もお兄ちゃんとデートに行きます!

それでは善は急げという事でさっそく実行しなくちゃ!

まずお父様を説得しないと。

お父様ならきっと許してくれるはずです!

もし、許してくれなかったら・・・

ふふふ・・・

・・・いけない、いけない。

では、行ってきます。

目指せお兄ちゃんのお嫁さん!!

 


2001 F&C 『時の森の物語 〜TEAR〜』

「恋人の過ごし方」


 

 

やって来ました、昔の我が家。

いえ、もしかしなくてもお兄ちゃんと愛の巣になる予定なので言い方を変えた方がいいかも。

今は朝日が出始めた頃なので、朝に弱いお兄ちゃんは夢の中です。

とりあえず朝ご飯を作ってあげなくちゃ!

そう考えながら私は我が家のドアを開けて(合鍵を使って)台所に行きましたが・・・

 

・・・・・・・・・・・・(汗

 

お兄ちゃん・・・

なんにもないよ、材料・・・

もちろんお兄ちゃんが料理なんてしないとわかっていたけど・・・

どうしよう、これじゃあ何も作れないよー。

こんな朝早く、しかもお姫様1人で買い物なんてできないよ

もう、お兄ちゃんッたら!!

気を取り直して取りあえず、お兄ちゃんの寝室に行きましょう。

「・・・はぅ」

お、お兄ちゃんの寝顔っていつ見てもかわいいんです。

もう、溜息しか出ません・・・

「・・・はっ!」

じゃなくって!

どうしよう・・・。

起こすには少し早いし・・・。

そうだ!

 

ゴソゴソ・・・

 

お兄ちゃんのベットの中に入って一緒に添い寝しましょう。

はぁ、やっぱりお兄ちゃんのそばが1番落ち着くね・・・

おやすみなさい、お兄ちゃん・・・

 

 

 

「テ、ティ、ティアァァァァァ―――!?」

お兄ちゃんの叫び声で目が覚めました。

「おはようー、お兄ちゃん・・・」

でも私は少し寝ぼけてます。

「テ、ティア!? どうしてここに!? それ以前になぜ一緒に寝てるんだ!?」

「それはーー」

「それは!?」

「お兄ちゃんと一緒に寝たかったからー」

「そ、それはそれで嬉しいけど・・・。
取りあえず顔を洗って来い」

「うんー」

言われた通りに顔を洗いに行って、カンペキに目が覚めました。

「おはよ、お兄ちゃん」

「おはよう」

お兄ちゃんはベットの上で手と足を組んで私を見ています。

少し睨んでいるかも・・・(汗

「説明してくれるか?」

「う、うん」

そこで私はお兄ちゃんに説明をしました。

恋人同士になったのにデートをした事がないと。

お父様の許可をもらって、家に来てデートをしたいと。

でも、さすがに伏せている事もありますが・・・

お父様をちょっと脅迫した事とか・・・

「そうか・・・」

「お兄ちゃん、迷惑だった?」

何か考えるように言ったお兄ちゃんに不安になり、
思わず聞いてしまいました。

「そんな事はない。ただ、ティアの気持ちも考えなかったなって・・・」

「それじゃ・・・」

「行こうか、デート」

「うん!!」

お兄ちゃん・・・

やっぱり優しい・・・

でも・・・

「お兄ちゃん・・・」

「ん?」

「ご飯はしっかり食べようね!」

「・・・はい」

ちゃんと忠告を忘れてはいけません!

 

 

 

それから私達は市場に行ってデートをしました。

もちろん恋敵の彼女達にも会いましたが、今日は私がお兄ちゃんを独占しました。

最後にラウラの丘に行って木の下で、お兄ちゃんに膝枕をして休みました。

本当に幸せで・・・

平和で・・・

なによりお兄ちゃんのそばにいる事が・・・

何より大切なのだと・・・

 

 

 

夜になって私はお兄ちゃんにお城まで送ってもらいました。

もちろんお兄ちゃんはすぐに引き受けててくれました!

お城に着く前にお兄ちゃんにお礼を実行しました。

「お兄ちゃん・・・」

「ん? どうした?」

「今日はありがとう。 とても楽しかった!」

「そうか。 俺も楽しかったよ」

見た目は普通に会話してるけど、どきどきしてます。

「それで、お礼がしたいんだけど・・・」

「お礼って?」

「目をつむって」

「なんで?」

「いいから!!」

「わ、わかったよ」

もう、お兄ちゃんの鈍感!!

やっと目を閉じてくれたお兄ちゃんに・・・

 

ちゅ!

 

唇にキスしちゃいました!

「ティア!?」

「それじゃね! お兄ちゃん!!」

もう顔が真っ赤になってるのが自分でもわかります。

そのままお城の門まで走っていきました。

 

 

 

自室の戻ってやっと落ち着いてきました。

デート・・・

本当に楽しかったなぁ・・・

また行こうね、お兄ちゃん!!

 

 

 

おまけ

いけない、いけない。

重大なことを忘れていました。

さてと・・・

 

・・・・・・

 

これでよし!

明日が楽しみだね。

 

 

 

ざわざわ・・・

すごい人ですね、集めた自分が言うのもなんですが。

今、城門の前に国民の皆さんを集めてもらいました。

重大発表をすると連絡を出したからです。

私は皆さんの上に立ってます。

もちろん騎士としてお兄ちゃんはとなりにいます。

私が片手を上げると静かになってくれました。

「皆さんにお集まりいただいた事はある事を発表する為です」

皆さん静かに私を見ています。

さすがに少し怖いですね・・・。

それにめげずに続けます。

「私こと、ワーラン王国第一王女リースティアは、
騎士レクスとの婚約を発表します!!」

 

おおおぉぉぉぉーーー!!

 

す、すごい声ですね・・・。

私の後ろでお兄ちゃんが冷や汗が出てるのがわかります。

でも、これで後には引けませんよね。

私を幸せにしてください・・・

お兄ちゃん・・・

いいえ・・・

レクス・・・

 


あとがき

はじめまして、siroといいます。
ラングさんにリースティアの攻略に多少協力した者です。
リースティアを完全攻略が出来ましたので、ラングさんにお礼として送らせて頂きました。
これからちょくちょく投稿させて頂きたいと思いますのでよろしくお願いします。