皆の記憶が戻ってから・・・
いや、あの喫茶店の出来事から一ヶ月が経った。
それは日常に安らぎが失ってからも同じ月日が経ったと同じ。
オレは今、とてつもない悩みを抱えている。
それはもう切実に・・・
そんな中、ようやく訪れた放課後に机の上でグテッとする。

「今日もお疲れさん、舞人!!」

「キサマ・・・
それは皮肉か?
というより、皮肉だな!!」

そんなオレを嘲笑うように、山彦はニタニタした笑顔で話しかけてくる!!

「オイオイ、疑い深いヤツだな。
同情8割、心配1割、その他が1割だぞ?」

「・・・その他って何だ?」

「はっはっはっ!
気にするな!!」

その爽やかな笑いが、なおさら腹が立つ!!
しかし痩せても枯れてもこの桜井舞人、タダでは起きない!!
だから今は休ませてくれ(弱気

「それにしても、毎日大変だな?」

「変わってやろうか?」

「オイオイ、冗談はよしてくれよ。
変わろうにも『彼女達』が許す事はないだろ?
それに、ただ羨ましいそうにしているそこら辺の男と一緒にしないでくれ」

「・・・そうかよ」

確かに山彦はそういう気持ちを理解しているだろう。
さすが、オレの親友にしてやらん事もないヤツだ。

 

そう・・・
その悩みとは、この桜坂学園にある噂が広まったのだ。
その内容は『3年の桜井舞人が各学年のトップアイドル達を誑かしている』という、根も葉もない・・・とは言えない噂が。

一年は家庭的で思わず守りたくなる『森青葉』と、明るくちょっと胸が小さい事を気にしている『芹沢かぐら』。
二年は可愛くて去年の文化祭のミニスカナースで有名になった『雪村小町』。
三年は今更語らなくてもいいプリンセス『星崎希望』、意外と面倒見が良く付き合いやすい『八重樫つばさ』。
去年の卒業生であの小ささは反則の『里見こだま』、演劇部部長で成績優秀な『結城ひかる』。
以上、山彦が教えてくれた学園の彼女達の評価。

オレから言わせれば詐欺罪で裁判を起こしたいくらいだ(特に二年と三年!!
まあ、その噂のお陰でどこに行くにも男達の嫉妬と憎しみの視線にグサグサと刺される毎日だ。

 

「それで、今日はどうだったんだ?」

「ああ・・・今日ね」

山彦の言葉に今朝の事を思い出してみる。
嵐(彼女達)がやってくる短い時間で・・・

 


2002 BasiL 『それは舞い散る桜のように』

「いつまでも貴方のそばに・・・」
 (番外編U・桜井舞人の日常)


 

〜起床編〜

 

ピピッピピッ・・・ガン!!

 

うるさい。
オレは・・・いや、淫乱肉奴隷とその仲間達は徹夜で弱いものイジメをしてレベルを上げて、
今は宿屋でお休み中なのだ。
というわけでお休み・・・

 

コンコン

『せんぱーい、朝ですよ!』

 

クソッ!
思えばこのゲームの続編が発売され、初プレイで逃げまくってボスに挑んだのが失敗だったか・・・

 

コンコンコンコン!

『せんぱーい、起きてくださいよー!!』

 

やはりレベル上げは大事だよな。
逃げまくってダンジョンに入った途端の戦闘で、逃げ出せずあっさりとやられてしまった。

 

ドンドンドンドン!!

『むぅ・・・
こうなれば最終手段です。
せんぱーい!
最後の警告ですよー!!
起きてくださーい!!』

 

だが、今度はキサマ達の番だ。
オレの眠りが覚めたら最後だ。
首を洗って待っていろ。

 

『・・・起きませんね。
それじゃ、いきますよー。
せんぱいが夜中に続編のゲームをプレイしているのは知っています。
雪村もつい先日クリアしました。
実はー、今回も敵の黒幕は魔王ダンテじゃなくてー・・・』

 

っ!!

 

ガバッ!!
ドタドタドタ・・・!!
ガチャ!!

 

「その先を言ったら業務用エアコンで殴る」

「せんぱい、おはようございます!
今日もいい天気ですよ!!」

アア・・・
いるかどうかも分からない神よ。
この小悪魔にどうか裁きを・・・

 

 

「・・・起きないオマエが悪いと思うぞ、オレは。
というより、なんで彼女はゲームをやっているのを知っていたんだ?」

「夜な夜な響く(大声)オレの声(絶叫)でわかったらしい」

「静かにプレイしろよ、オマエ」(汗

 

 

〜朝食編〜

雪村に起こされ、共にお隣さんの森家に向かう。
すると・・・

「おはよう、おにいちゃん!」

「舞人さん、おはようございます」

「おはよう、青葉ちゃん、かぐらちゃん」

テキパキと朝食を用意している青葉ちゃんとかぐらちゃんが出迎えてくれた。

 

記憶の一件までにも時々青葉ちゃんには朝食を頂くこともあったが、
今は雪村やかぐらちゃんを含めた・・・『下級生ズ3人娘』が名乗りを上げたのだ。
初めは俺も断ったが(その時に背後にいた怒りのオーラを纏った某プリンセスが怖かったわけじゃないぞ!)、
半ば無理矢理意見が通された。
一つ上に張り付いている雪村はともかく、それほど近いとは言えないかぐらちゃんは大変だろうと言ったが・・・

『そんなことはありません!!
舞人さんに食事を作って上げられるなら、ご飯だけじゃなくて私も食べちゃってくださいと言いたいくらい頑張れます!!
それはもう亭主関白のようにアゴでコキ使っちゃってください!!』

とか・・・

『私は青葉ちゃんとセットなんです!
それはもう姉妹のようにピッタリなんです!
青葉ちゃんが料理をすれば私もしますし、お手洗いも一緒に行く仲なんですよ!!』

と、どれくらい大丈夫なのかわからない言葉で突き通されてしまった。
ちなみに森家にお邪魔するのはおじさんがいない時のみで、
普段は・・・秘密だ。

 

「せんぱい、せんぱい。
雪村も挨拶をしましたのに、返ってきていません。
青葉ちゃんとかぐらちゃんには挨拶を返すなんて贔屓です。
エコ贔屓です。
雪村にも挨拶をしてください」

「ぷしゃげるなよ、雪村。
前にも言っただろ?
人とは言葉など使わずに感じることができるのだと!!
さあ、今から電波を送るからしっかり受信しろ!!」

「うわー、さすがせんぱい。
好きな人に一番最初におはようとかけてほしいと思う乙女心より、
心霊現象の方が良いんですね。
ちなみに雪村は電波な人ではないのでアンテナは持ちえていません。
その分、せんぱいの表情で先読みしますの許してください」

「・・・オレはそこまで顔に出るか?」

「はい、それはもう」

「グハッ!!」

クソッ!
この前、購入した『必見!!あらゆる事を誤魔化す100の方法』は無意味だったのか!?
高かったんだぞ、これ!!

「お兄ちゃん、早く食べないと遅刻しちゃうよ」

「それにご飯も冷めちゃいますよ」

むっ・・・
雪村はともかく青葉ちゃん達を待たせるわけにはいかないな。

「フッ・・・
雪村、今日の所はこれぐらいで勘弁してやろう。
これからも精進するようにな」

「はい、師匠!!
この雪村小町、日々せんぱいを起こすために様々な方法を考えています。
ちなみに雪村的には13番がお勧めですよ!!」

「・・・ああ、それで頼む」

「はい!了解しました!!」

もうでも良く思い、軽く流す。
というより雪村、その方法とやらはどれだけあるのだろうか?
しかも明日は『金曜日』で、『13番』?
『13日の金曜日』ならず、『13番の金曜日』?
い、意味深だ(汗

「おにいちゃん、はい、ご飯」

「あ、ああ、ありがと、青葉ちゃん」

「えへへ」

まあいい・・・
雪村如き、恐れる必要があるものか!!

「舞人さん、お茶をどうぞ」

「おお、すまんな」

 

ちなみに、いつもの事だが朝食は旨かったということだけ知らせておこう。

 

 

「朝から彼女達の手作りの朝食かー。
羨ましいですなー」

「そうは言っても昨晩の残りだぞ?」

「おいおい、相変わらず鈍感だな。
よく思い出してみな、その朝食に昨日の残りは何品あった?」

「それは・・・あれ?」

「まあ、そういう訳だ。
彼女達に感謝しろよ」

「そうだな。
感謝してやらん事も無いかもしれない」

「どっちだよ?」

 

 

〜登校編〜

ご想像の通り、雪村達と共にアパートを出て登校。
男1人に女の子が3人と、傍から見れば羨ましい状況だろうが当人にとっては、
落ち着かない事この上も無い。
と言いっても『下級生ズ3人娘』はまだいい。
大人しいというより雰囲気がほのぼのだし、まだオレの方がリードしている。
しかし、その時間も長くは続かないものだ。
歩く事10数分・・・

「おはよう、舞人君」

「おっす、舞人」

「・・・おはよう」

駅前プロムナードで待ち構えているプリンセスと八重歯のイジメッ子がいるからだ。

当初はこの2人も部屋まで押しかけようとしたが、入りきらないとオレが断った(もの凄く睨まれた)
納得できなかったようだが、2人が出した条件をのむ事で解決した。

「ねえ、舞人。
今日の課題ちゃんとやった?」

「フッ・・・
ナメるなよ、八重樫。
このニヒルでクールなハードボイルドの桜井舞人、課題如きに慌てるものか」

「・・・つまりやっていないわけね、舞人君?」

「もちろん!!」

星崎に向かって、爽やかな笑顔でグッと親指を立てる。
なのに、何故か彼女達(雪村達も含む)全員揃って溜息を一つ。

「どうしてそこで開き直るのよ、アンタは」

「もう、舞人君ったら」

「おにいちゃん、課題はちゃんとしないと駄目だよ」

「雪村はそのワケを知っていますが、
このままですと、成績はもちろん内申も落ちちゃいますよ」

「いっその事、留年しちゃって私達と一緒に授業を受けましょう、舞人さん!!」

それぞれがオレを非難する。
仕方ないじゃないか!!
全部あそこで全滅した淫乱肉奴隷達が悪いんだ!!
・・・って、かぐらちゃん?
それはオレに2年も留年しろと言うのですか?
何、雪村が先に卒業?
駄目人間じゃん、オレ・・・

「ど、どうしたの、舞人君?
急に落ち込んじゃって?」

「い、いや・・・
ちょっとイフの未来を思ったら悲しくなってな」

「そ、そうなの?」

ちょっと困った表情で、ポンポンと軽く肩を叩いて慰める星崎。
うう、お兄ちゃんは嬉しいぞ(泣
ついでにその嫉妬深い性格も抑えてくれ。

「いつまでもモタモタにしていると遅刻するわよ」

「グエッ!」

「八重ちゃん!?」

そんなオレに八重樫は襟首を掴んでズルズルと引きずっていく。
ていうか苦しい!

「ろ、ロープ、ロープ!!
苦しいっす、決まってるっす!!」

「ウルサイ」

「ヒッ!!」

こ、怖えよ(汗
心の中でサメザメと泣きながら引きずられていく。
星崎たちは助ける所か、気にする様子もない。
それもそのはず。
これが『日常』になっているからだ。
何時か見てろよ、この屈辱を晴らしてやる!!

「何?」

「ナンデモアリマセン」

だから、今のうちは大人しくしておこう(泣

 

 

「プライド無いな」

「う、うるさい!
何時か八重樫に『許してください、舞人さん(泣』と言わせてみせる!!」

「・・・その前にオマエの命が尽きそうだな」

「ガフッ!」

「でもよ・・・
ちゃんと課題は出してたよな?」

「ああ、八重樫に見せてもらった」

「・・・見返すどころか借りを作ってどうするよ?」

「グハッ!!」

 

 

〜授業・体育編〜

数ある授業でも体育が一番疲労する。
その他の授業は寝てしまうので(時々起こされたりドクターイエローに拉致される)
最近授業に安らぎを感じてしまうが、この授業ばかりは別だ。
男女別々に分かれるのはいい。
三年にもなると体育なんてただの消化科目に近く試合ばかりだ。
今日もグランドでサッカーの試合をするが、オレの周りには味方はいない。
チームに分かれるが、敵も味方もこの機会にオレを集中的に狙うのだ。
後、女子にも(特に星崎達に)良いところを見せようとする。

「喰らいやがれ、桜井!!」

今回もゴールキーパーに任命され、物騒な掛け声と共にシュートという名目に顔面を狙うクラスメイトA。

「ナメるな!!」

「ガハッ!!」

ノリが良いと自他共に認めるオレは足でボールを止めるように見せ、
逆に相手の顔面へ蹴り返す。

「脇役とは違うのだよ、脇役とは・・・っ!?」

「次だ、オラー!!」

決め台詞も言い切る暇も無く、クラスメイトBが襲い掛かる!!
どうする、舞人!?

1受け止める
2蹴り返す
3山彦にぶつける

3!!(即決)

「グハッ!!
ま、舞人、テメェ・・・」

いい具合に後頭部へ当たり、
ふらつきながら文句をを言う山彦。
うむ、ナイスパス!!

「何処がだ!!」

人のモノローグにもツッコミを入れる山彦にグッドラック!!

 

しかし、それ以降は敵どころか味方までオレにボールをぶつけようとする。

「桜井、パスだ!!」
・・・その全力の蹴りの何処がパスだ!!

「スマン、間違えた!!」
・・・思いっきりこっち向いていただろ、オマエ!!

「こんちくしょう!!
何でオマエだけ!!」
・・・私的な掛け声だな(汗

 

それでもいい加減、攻められてばかりでついに・・・

「いい度胸だな、わがクラスの男子の皆様。
そこまでするなら、この泣く子も黙る桜井舞人も黙っちゃいないぜ!!」

ゴールキーパーの任務を『咄嗟的』に忘れ、敵に攻め込む!
オラー、合戦じゃー!!
誰か太鼓を叩けー!!

 

「頼むから試合をしろよ、オマエ等」(困

鬼風間の一言が空しく響く中、試合という名の乱闘はチャイムが鳴るまで続いた・・・

 

 

「いやー、いつも凄いよな。
ウチのクラスの試合は」

「・・・そうだな。
それはもうドクターイエローが真面目にしているぐらいに凄いな」

「・・・よくわからん例えだな」

「・・・気にするな」

「それより舞人、気づいてるか?」

「何がだよ?」

「オマエが一人ツブす度に、女子から歓声が上がっていてな。
それを男子どもは『人気集め』と非難しているらしいぞ」

「オイオイ、人気を上げようとしているのはアイツらじゃないか。
所謂、被害者はオレだぞ・・・
って、それで星崎の機嫌が悪かったのか・・・」

「そういうこった」

 

 

〜昼休み編〜

「・・・舞人君は女誑し」

「はっ?」

昼休み、昼食の弁当を用意している星崎と八重樫(これが朝の迎え来ない条件)の元に行くと、
いきなりプリンセス様は非難なされた。

「証言1、容疑者は沢山の女の子に想われているのに、まだ手を出そうとしています」

「フムフム、それはいかんな。
ドコのどいつだ、その羨ましいヤツは?」

「(ピクッ)
証言2、容疑者は朝には下級生の子達に起こされて、朝食も頂いています」

「朝食は朝の力の源だからな。
しっかり食べなくちゃいかんぞ、星崎君」

「(ピクピクッ)
証言3、登校もその下級生達と一緒で、さらにクラスメイト2人も増えます」

「そうか、仲が良いな。
オレも見習いたいものだ」

「(ピクピクピク)
・・・新証言、その容疑者はとても鈍感でその女の子達はヒヤヒヤします」

「そういう場合はその男にガツンと言ってやればいいんだ。
そうすれば少しは控えるだろう、間違いない(笑」

「(プルプルプル)」

「ん?
どうした、星崎?
人生相談ゴッコはもう終わりか?
しかし、それとオレに『女誑し』と言うのとどう繋がるんだ?」

首を傾げて頭の上に?を沢山だすと・・・

「クキキーーー!!」

「おわっ!!」

ご乱心なされたよ、このプリンセス(汗

「・・・舞人」

「ん?
何だよ八重・・・」

 

ペシペシ

 

「あの・・・八重樫さん」

「何?」

「どうしてハサミで私めの頬を叩くのでしょうか?」

「どうしてだと思う?」

質問を質問で返されてしまった。
ここで見当違いな回答をしたら切られてしまう!
いや!
ニヒルでクールなハードボイルドなこの桜井舞人!!
女一人にいつまでもヘコヘコしてたまるものか!!
ここは一つガツンといってやろう!!

「オイ・・・」

「・・・」(ギン!

ものすっごく睨まれてしまった(泣
こ、怖え〜

「あ、あの・・・
恐れならが申し上げますが・・・」

「ん?」

 

ピタピタ

 

またもや頬をハサミで叩く八重樫さん(汗
しかしこれは言わせてもらう!

「・・・『脅迫』というお言葉は知っておられるでしょうか?」

 

ジョキ!

パラパラ・・・

 

あ、あの、八重樫さん・・・
髪が少し切れたのですが・・・

「『無知は罪』という言葉、知ってる?」

満面の笑顔でそうおっしゃるが雰囲気は最悪だ。
桜井舞人、ただ今ライブでピンチです(泣
そんな中・・・

「まあまあ、星崎さんも八重樫さんもそれくらいにしなよ。
コイツはそんな器用さも甲斐性もないんだから」

あまりに失礼なフォローをする山彦。
そんな言葉に2人の反応は・・・

「そうなんだけどね・・・」

「わかっちゃいるけどね・・・」

溜息一つに諦め切った表情の星崎と、
クルクルとハサミを回しながらこちらも同じ表情の八重樫だった。

「ほら、舞人も。
廊下で雪村さん達が待ってるぞ。
行って来い」

何か納得できないが腹は警告音こそは鳴らさないが、
状況的(あらゆる意味で)に引き下がる方が良いだろう。

「よし、昼飯を食いにいくぞ!
者共付いて来い!!」

「もう、舞人君ったら」

「コイツはバカだから、これくらいでいいのかもね」

ハッハッハッと廊下に向かうオレに、荷物(弁当)を持ちながらも着いて来る星崎達と共に、
雪村達が待っている廊下に出る。

 

ちなみに昼食は・・・

「おにいちゃん!
これ、私の自信作なの!!」

「ムッ・・・
舞人君!
これ食べてみて!!」

「モガッ!!」

「おーい、ゾンミ・・・
いきなり突っ込むとムセるわよ」

「あはは・・・」(汗

「ゴホゴホッ!!」

「せんぱい、お茶です!!」

「舞人さん、大丈夫ですか!?」

色々トラブルもあったが青葉ちゃんたちの朝食同様、
星崎達の弁当も旨かったという事は知らせておこう。

 

 

「・・・その結果、食べ過ぎて午後の授業もダウン。
そして今に至るというわけか」

「ああ・・・グフ」

悩みごとに一つ追加。
『競い合うように弁当の量が増えていく』と・・・

「そういえば・・・
舞人、里美先輩達の話しが無いんだが・・・」

「こだま先輩達は、朝はさすがに卒業した母校まで着いていくのは諦めて、
放課後に待ち合わせてあるから皆で行く予定だ」

姐さんなら気にせず堂々とすると思っていたが意外だったな。

「噂では『誑かしている』となっているが、振り回されているのってオマエじゃん」

「な、何を言うかね、相楽君。
こ、この男・桜井舞人を掴まえてたかが女共に振り回されるなどと!!
いいか!
オレはハードボイルド系、クールな男だぞ!!
女なぞ包んで丸めてゴミ箱にポイじゃ!!」

途中からヒートアップし、机に片足を乗せて天井に右の人差し指でビシッとポーズを決める。

「あ、星崎さん、もう終わったの?」

山彦の言葉でピシッと固まってしまう。

「っ!?」

な、何!?
帰ってきてたの?
いや、聞いていらっしゃったの!?

「ち、違うんですよ、星崎さん。
決して女性を非難したわけではなく、ただちょっと調子に乗っちゃっただけなんです!
だから、オシオキは勘弁・・・いいえ、せめて軽くしてください」

さっきのポーズから星崎の姿を確認せずに謝り倒す。
だって、見るのも怖いんだもん(泣

「舞人、冗談だよ」

「へっ?」

その恐怖を露知らず、山彦は苦笑しながら白状する。
慌てて周りを見るが、確かに星崎も八重樫もいない。

「キ、キサマ!!
お、オレに恨みでもあるのか!?」

「さしずめ体育の件だな」

「うぇーん!
山彦なんて、子供を泣かして親に怒られちゃえー!!」

「はあ?」

ガラス細工よりも脆いハートを粉々に砕け散り、捨て台詞を吐いて廊下出ると・・・

「おまたせー、舞人君」

「私達を置いてどこに行く気だったのかしら?」

「せんぱい、どうしたんですか?
泣いていますよ?」

「おにいちゃん?」

「舞人さん、何か悲しい事があったんですか?」

今度こそ本当に彼女達が迎えに来た・・・
グッドラック!!

 

 

結局、そのままこだま先輩達がいる所まで拉致されてしまった。
それから2時間くらい遊んで、メンバー全員でアパート(本当に狭いぞ)に集まって夕食を頂いた。
その時もドタバタとあったが、今回はマシな方だった・・・

皆が帰った後、シャワーを浴びた夜11時頃、ゲーム機に電源を入れ再び冒険に出た。
コラ、そこ!
『三年にもなってそんな余裕がるのか?』というツッコミはいらないぜ。
今のオレは淫乱肉奴隷なのだからな!!
さあ、行くぜ!!

 

 

・・・・・・

ドンドン!

『せんぱーい!
朝ですよー、起きてくださいよ!!』

ZZZZZZ・・・

『こうなったら予告通り、雪村小町・対せんぱい用起床術・13番いきますよー!!』

ZZZZZZZZZZZZZZZ・・・

『せーの・・・!!』

 

 

謎のまま終わる

 


どうも皆さんお久しぶりです、siroです!
いやー、遅くなってスミマセン。
このSSの続きを『幸せなる日々』を書いている途中で時々続編を希望していただいたので、
ラングさんのリメイクでこれを作成しました。
一応言っておきますが、『いつまでも貴方のそばに・・・』は前後編で完結しています。
あくまで『番外編』として出していますので、よほど希望があるまでこれ以上書かないでしょう(汗
今回のSSは舞人の日常というより、彼女達の日常と言った方が良いかもしれませんね。
その分、舞人の特徴(コメディ)が弱いですね(笑
そして・・・今回もこだまとひかり姐さんが出せなかった(泣
キライじゃないんですけどフルメンバーで同時に出すのは私の能力が足らず、泣く泣く省略しました。
もし、次回というものがあればこの2人を押し出したいです。
ラングさん、HPリメイクお疲れ様でした!!