―ミラ・ホムンクルスから人間へ―

「いい?
ジェイル、ミラ
この前の検査の結果が出たわ」

ミリアム・シンクレア
魔法学園学長だけど、ジェイルとライルの母親という事の方が驚き。

「で、どうなった?」

「落ち着きなさい、ジェイル。
これは、私の問題よ」

ライルたちのアイザックの戦いからようやく落ち着いて、
契約どおり、ホムンクルスである私を人間に変わる時が来た。

「検査の結果、特に問題なし。
彼しか血を吸わなかったことが幸いね。
それでも、色々な条件があるけど」

「何だ、その条件は?
アイテムが必要なら、何でも取って来てやるぜ」

ジェイルなら本当に溶岩の中でも取ってくるわね。

「いいえ、アイテムとか言う問題じゃないわ。
まあ、手を貸してもらう人はいるけどね」

「ミリアム、その条件は?」

賢者の石なくしてだから、よほどのことかも知れないわ。

「まず1つに、ホムンクルスから人間になるなら、
今持っている魔力の大半を失うわ」

「ええ、それは覚悟していたわ」

確かに今の魔力は人間にしては大きすぎる。
賢者の石があれば失う事はないけど、仕方がない。

「それと、血の提供をしているジェイルの力も必要。
彼も力の大半を失いけど良いかしら?」

「ああ、ミラがそれを望んでいるからな。
かまわない」

「ジェイル・・・」

「そんな顔するなよ、ミラ。
力なんてまたつけりゃ、いいさ」

「・・・ありがとう」

彼には昔から支えられたわね。

「失うといっても、ハンターの資質はあるからそうねぇ・・・
今のライル達ぐらいかしら」

「ゲッ!
アイツらとおなじかよ」

「贅沢言うんじゃないわ。
彼達には私たちも負けたんだから。
それぐらい残っているならいい方よ」

「・・・しゃーない。
それで我慢するか」

文句を言っている割には、嬉しそうね。

「という訳で、ミリマム。
その条件はクリアよ」

「ええ。
次に手を貸してもらう人だけど、瑞穂の力が必要よ」

「瑞穂?」

「ジェイル、あの黒髪の長い制服を着ていない女よ」

「おお!」

すっかり忘れていたわね。
私としても、人間になる前に決着を付けなくてはいけないわね(猫で

「なぜ彼女が必要かは言えないけど、理由を話せば協力してくれるはずよ」

「そう。
なら、問題ないわね」

これでようやく私も人間になれる。
もう、ジェイルに血を貰う必要もなくなる。
彼の重みになることがなくなる。

「後、2つ条件があるんだけど・・・」

まだあるの?

 

その2つの条件を聞いたとき、もの凄く驚いたわ。
こんなに驚いたのは久しぶりよ。
結局、その条件も飲んで準備が始まった。

 

 

―ライル・お出迎え―

「ねえ、ライル。
あの人たち、もうすぐ来るの?」

「ああ、そのはずだよ」

ミラは昨日、無事成功してようやくみんなの前へ出てくる。
でも、見た目は変わっていないらしい。

「あーあ・・・
クロがいなくなったすよ」

「まあ、いいじゃない。
その分、彼女と仲良くしようよ」

リサもクロがいなくて寂しそうだったよな。

「ねえ、瑞穂さん。
一体、どんな協力をしたのですか?」

「それが分からないんですよ。
いつの間にか気を失ってて・・・」

瑞穂は初めは渋っていたけど(なぜ自分が必要なのか教えてくれなかったらしい)、
俺も助力してほしいというと、すぐに了承した。
・・・なぜだ?

「しっ!
学・・・お母さんが来たよ」

向こうから、それらしき影が見えて皆を静かにさせる。
だんだん、見えてきてジェイルとミラの姿を見ると全員固まった・・・

 

 

―ミラ・よろしくお願いします―

「やっぱり、よく似合っているわね」

「動きにくいんだが・・・」

「私も・・・」

ちょっと失敗だったかしら、この選択。

「ほら、皆さんが待っているわよ。
しっかりね」

「はいはい」

「はいは1回」

「・・・はい」

ライル達の前で止まるけど、皆は固まったわ。
それはそうよね、この姿じゃあ・・・

「皆さん、今日は新しく入学する子達を紹介するわ。
どうぞ」

「ジェイル・シンクレアだ。
特技は剣・黒魔法。
趣味は戦闘だ」

全くこの男は・・・
本当に戦闘しか興味がないんだから。

「ミラ・シンクレアよ。
特技は白魔法・錬金術・自然魔法。
趣味は・・・日向ごっこかしら」

日向ごっこは猫の時によくお昼寝していたから、ついね。
言わなくても分かると思うけど、条件に1つがこれ。
『魔力と力が元に戻るまでココに入学しなさい』という事。
以前、ジェイルと話していたけどまさか実現するとは思わなかったわ。

「おい、学長。
コイツら固まっているぞ」

「こら、違うでしょ」

「グッ・・・
お、『お母さん』」

「それでいいのよ。
ついでにミラも呼んでくれるかしら?」

「はあ・・・
『お義母さん』」

そう、もう1つがミリアムを『お義母さん』と呼ぶこと。
ファミリーネームも彼女の方をつけられた。

未だに固まっているライル達を見ながら、
これから先を考えると呆れるけど、今までと違った日々が始まるに違いない。
この魔法学園で・・・

 

 

ミラ・アナザーエンド

 


リサの飼い猫クロことミラです。
実はフィリスの次に気に入っているキャラです。
決してロリということではありませんから(笑
当初はなぜミラが攻略できないと嘆きもしましたが、これはこれでいいと思いました。
ジェイルもいい味出していましたしね。
ヒロインのエンディングにもこの2人がどうなったか伝えられなかったので、こう書きました。
少し、ミリアムの性格が明るすぎるかと思いましたが、気にしないでください(笑
ちなみにジェイルとライルが兄弟というのは『ファーストファンブック』に乗っていました。