―ライル・思い出の服―
コンコン・・・
「フィリスー
ライルだけど、いる?」
『あ、ライルさん。
どうぞ、入ってください』
今日も朝食をフィリスと一緒に食べに行くから、迎えに来ている。
瑞穂と相部屋だけど、彼女は朝が早いから部屋にはもういない。
「それじゃあ、お邪魔しまーす」
ガチャ
「おはよう、フィリス・・・って、その服」
「ええ。
前にライルさんから頂いた服です」
そう、フィリスが身体にあてているのは、始めて町に行った時に買ってあげた服だ。
「大切にしまってあったのですが、つい・・・」
「ははは。
まあ、大切にしてくれて嬉しいよ」
「もちろんですよ。
だって、ライルさんから頂いたものなんですから・・・」
そこまで大切にしてくれていると、こっちも嬉しいな。
「そろそろ行こうか?
遅れちゃうよ」
「はい・・・
あっ、そうだ」
何か思い付いたのか、フィリスがじーっとオレの顔を見つめる。
「ライルさん、今日のご予定は?」
ん? 予定?
どうしたんだ、突然?
しかも、悪戯っぽい笑顔が何か怪しい。
「予定と言っても、午前中は講義に出て、午後からは外でモンスターと・・・」
「外に出るんですね?」
何?
外に何かあるの?
「それでは、午後に買い物に付き合ってください。
そして、明日の休みにこの服を着て外でお弁当を食べましょう!」
おいおい(汗
「えっ?
それって、サボりになるんじゃあ・・・」
さすがにそれはちょっと・・・
「・・・ダメですか?」
「うっ」
ああ、フィリス、そんな残念そうな顔をしないでくれ(汗
「わかった、わかったから。
いやー、実はオレも町に行きたかったんだよ」
ここはもう従おう。
それに惹かれているのも事実だし。
「ありがとうございます!
それじゃあ、取り合えず朝食に行きましょう」
笑顔でオレの手をとって引っ張っていくフィリスに、『偶にはこういう日もいいかな』と思える。
でも、フィリス・・・
強くなったね(汗
―ライル・町でお買い物―
「ライルさん、次はあの店に行きますよ」
「ねえ、フィリスー。
まだ買うの?」
両手に一杯の荷物を持っているけど、フィリスはまだ買うらしい。
「あ、もしかして疲れましたか?」
「それもあるけど、少し買いすぎなんじゃあ・・・」
それに時間があまりないし・・・
「でも・・・
せっかく、ライルさんに食べてもらうんですからいっぱい作らなくちゃ!」
「はははは・・・」
相変わらず、フィリスはオレに一直線だな。
「ほら、もう少しですから頑張ってください」
こういう時、女の子の体力が信じられないよな。
「はいはい。
どこまでも付き合いますよ、お姫様」
「ふふふ、ライルさんったら」
その後、荷物が2つ増えた・・・(泣
―ライル・デート当日―
「フィリス、おまた・・・」
「ライルさん、どうですか?」
フィリスの姿に思わず見惚れてしまう。
プレゼントした時に一度見たけど、よく似合っている。
「フィリス・・・
綺麗だよ」
「あ、ありがとうございます」(照
「「・・・・・・」」
な、なにか、照れるな。
「ふふふふふふ」
「はははははは」
何か可笑しくてお互いに笑いあう。
「何やっているんでしょうね、わたし達?」
「そうだね」
本当に何やっているんだろ?
いつものおれ達でいいじゃないか。
「ライルさん、そろそろ行きましょう」
「そうだね。
お弁当、期待しているよ」
「はい!」
それから、フィリスと手を繋いで笑いあいながら歩いて行く。
―フィリス・お弁当―
「おいしいですか、ライルさん?」
「うん、もちろんだよ!」
「ふふ、よかった」
ライルさんは本当に美味しそうに食べてくれます。
でも、昨日に『作りすぎないでね』と言われたのでサンドイッチにしました。
「ほら、フィリスも食べなよ」
「いいえ。
今はライルさんを見ていたいんです」
「そ、そう」
本当は食べさせてあげたかったのですが、
ライルさんったら先に取っちゃうんですから。
「これからは学園ばかりじゃなくて、こういうのもいいですね」
「うん。
でも、前日にサボるのはやめようね」
「もう、ライルさんったら!」
意地悪なんですから・・・
「まだまだありますから、たくさん食べてくださいね」
「もちろん」
・・・本当にいいお天気ですね。
―フィリス・自分の想い―
コンコン
「ライルさん?」
おかしいですね。
ジャスティンさんに聞いたら自室にいると聞いたのですが・・・
「ライルさん、いらっしゃらないのですか?」
試しにドアノブを回してみると
ガチャ
開いています。
少し、悪いと思いましたが部屋の中に入ると・・・
「すー、すー・・・」
「ライルさん・・・
寝ていたのですか」
机に向かって座ったまま寝てしまってます。
「どうしましょう?」
本当は起こしてベッドで寝た方がいいのですが、
こう気持ちよく寝ていられると躊躇われます。
「ふふ、仕方ないですね」
起こすのを諦めて、ライルさんの上に毛布を掛けてあげます。
「ライルさん・・・」
そのままライルさんの寝顔を見ていると、愛おしさがこみ上げて来ます。
貴方のおかげで、私はサキュバスの血に決着を付けることが出来ました・・・
貴方がいたから、人を愛するという事を知りました・・・
貴方に教えられました、仲間を信じるという事を・・・
貴方が・・・
「ライルさん・・・
私、フィリス・サイフォンは貴方・・・ライル・エイントワースを心から愛しています。
今も、そして、これからも・・・
貴方だけを・・・」
だから、いつまでも側にいてください・・・
フィリス・ハッピーエンド
私が一番のお気に入りのフィリスです。
彼女はよかったですね。
ストーリーもエゴ特有の感情や心のうちをよく表してくれました。
発作になるたびにライルに抱かれ、自分の気持ちに悩む葛藤。
見た目のイメージと違って可愛い所も。
一番好きな所は、実験をロレッタに止められた時の感情の爆発。
自分の為にではなく、ライルを愛するゆえにサキュバスの血を消そうする。
サキュバスの血を消す事が『目的』から『手段』に変わって、ライルと結ばれたいと言う気持ち。
一番心に残りましたね。
でも、エンディングであれほどラブラブになるとは思いませんでしたが・・・(苦笑
もし、ライルが少しでも浮気をすれば殺されるかもしれませんね(笑
SSもラブラブ全開です。
これからも、彼らには幸せが訪れるでしょう。