―教会・ミサ―

今日も教会でミサが始まる。

ロンサールでは神父がいない。

代わりにシスターである、カトリーヌ=ルグランが行なっている。

 

彼女はかつて3つの罪を犯した。

1つ、人を殺めたこと。
―戦争で負傷した男を看護していたが、その男は愚かに彼女を欲望のはけ口にしようとしたのだ。
  彼女は嫌悪感と神に操を立てている身が許さなく、守る為に殺めてしまった。

2つ、快楽に溺れたこと
―人を殺めた罪に潰され、その貞操が重すぎたのだ。
  そして・・・その貞操をある青年に捧げ、その後は青年と共に全てを捨てる為に快楽に溺れた。

だが、その青年と友人のエマ=プランケットが彼女を救い立ち直らせた。

そして、3つ目・・・

彼女はその青年―クロード=フラヴィーニを愛してしまった。

彼女は神の道に戻る為に彼と最後のキスを交わす・・・

 

彼女の神の教えは、市民にとってはそれ程重要な事ではない。

実際に、そこまで教えを守る者は少数だろう。

ただ、彼女に気力をもらっているのだ。

それこそが彼女の魅力といえるだろう。

そして、いつものやり取りが始まる。

 

 

―カトリーヌ、教会・ミサ―

「ですから―」

今日も、教本を読んで人々に神の教えを伝えています。

人々の中にガビーの姿もあります。

さすがお姉さんですね。

しっかり聞いておくのですよ。

さて・・・って・・・

か、彼女は!!

「あっ!」

 

 

―エマ、教会・ミサ―

「ふぅん」

少し様子見で来たけどもう大丈夫のようだね。

これで、こいつは自分を見失う事はないはず。

それにしても、あの坊やも頑張った。

あの2人がお互いを愛していたのはわかっていた。

でも、カトリーヌが決着を付けたんだろうねぇ。

という事は、坊やはずっと独身かい?

・・・それは行き過ぎかな?

でも、坊やの性格を考えると・・・

「あっ!」

やれやれ、見つかっちまったかい・・・

 

 

―ガビー、教会―

「どうして、あなたがここにいるんですか!?」

「なんだい、あたしがここに居ちゃおかしいかい?」

カトリーヌもエマお姉ちゃんも落ち着いてよ。
ケンカは駄目だよ・・・

「当たり前です!
ここは清く正しい神聖な場所です!」

「ちょっと、あんた?
それはどういう意味だい?」

もう、駄目だってば!

「言葉通りの意味ですけど」

「へえ、あたいにケンカ売っているわけ」

駄目!!

「ケンカは止めて!!」

「「えっ!?」」

「ケンカはだめだよ」

「べ、別に私たちはケンカしているわけじゃないのよ、ガビー」

「本当?」

「本当です。ねえ、エマさん?」

「やれやれ・・・そうだよ」

よかった。

あ、それなら・・・

「ねえ、ミサが終ったら3人でお散歩しようよ」

「え、3人で?」

「うん。
だって、3人一緒って中々ないし。
どうかな?」

いつもどちらかだけだから・・・

「あたしは別にいいよ」

「本当!?」

さすが、エマお姉ちゃん!!

あとは・・・

「ねえ、カトリーヌも行こうよ」

「もう、しょうがないですね」

「やったあ!!」

楽しみだな・・・

 

 

―カトリーヌ、教会の外―

「さて、行こうかね」

「うん」

もう、ガビーったら嬉しそうですね。

・・・・・・

・・・

クロード様・・・

貴方には本当に感謝しています。

そして本当に愛しています。

たとえ、もう2度と想いを口にすることが出来なくても・・・

もう、口付けを交わす事が出来なくても・・・

神よ、せめてあの人の幸せを少し特別な想いで祈る事をお許しください。

「カトリーヌ!
早く早く!」

「さっさと来ないと置いてくよ」

「ま、待ってください!!」

せめて・・・

 

カトリーヌ・ハッピーエンド

 


カトリーヌです。
シスターです(笑
期間中はイベントが少なく(シャルロット・ミレーヌと比べるのが間違いかな?)物足りなさがあります。
ラングさんは日記に「どこで恋愛感情が生まれたのかに疑問」と書いていましたね。
確かに、そう言われればそうですね。
でも、貞操を捨て処女を捧げる相手をクロードに選ぶ行動が、
その前から恋愛感情を持っていたということではありませんか?
「抱いてくれなければ、舌を噛んで死にます」という言葉がその気持ちの現れじゃないかなと。
逆の意味で考えれば、クロードがいなければ自殺しているかもしれないと・・・
まあ、キャラのあれこれはこれぐらいで・・・
SSは少し短いという事もありますが、一番早く書けました。