【Sweet Sweet Pain】 P1 (涼X拓) …何となくでたらめな英文字←アホか
(SCENE 1 TAKUMI VISION)
帰り際、別れる前に不意に抱き寄せられた。
いつも、いつも、優しい腕。
そんなに強い力じゃない。
───それは振り払おうと思えば払えるくらいの強さで。
でも……振り払えない。いつだってそんな腕だ。
「りょ・・・涼介さん?」
戸惑って名を呼ぶと、一瞬、少しだけ強く抱きしめてくる。
暖かい腕、暖かい胸……こんな風に抱きしめられるのは好きだ。
気持ちよくて、眠くなるのに何だか似てる…そんなカンジだ。
だけど……
「藤原?」
名前を耳元で囁かれると、どうしても困ってしまう。
いつもいつも…自分が困ってるの分かっているくせに。
暖かい体が少し離れて、顔を上向かせられる。
切れ長で、キレイすぎて怖いような瞳と出会う。信じられないくらい整った顔だち。
見つめられると……胸の鼓動が速くなって少し苦しかった。
「こんな風に…俺に触れられるのはイヤか?」
苦笑してそんな事をいうこの人に、いつも逆らえない。
黙って首を横に振ると、そっと口づけられる。
───触れるだけの優しいキス。
その優しさと温もりに、不意に涙が出そうになる。
泣きたくなんか、ないのに。体は少しも自分のいう事をきいてくれない。
「・・・泣かれると辛いな。ごめん。もう何もしないから。」
(偽物〜って何だっけ何だっけ、それは私が書く兄よ〜←歌ってます)
いつのまにか、零れていた涙を唇で拭われて、何だか居たたまれない気持ちになる。
・・・違う。こんな触れ合いがイヤなわけじゃ無いのだ。
抱きしめられるのも、抱きしめるのも、キスされるのも…イヤなんかじゃない。
それ以上の触れ合いを求められてる事も、イヤなわけじゃない。
───でも、首を縦に振れない。その理由は……?
恋をしている時は、幸せだと誰かが言った。
でも、そんなの絶対ウソだ。こんなにも、苦しい。幸せだけど苦しい。
憧れて、側にいたいと望む頃のほうが幸せかもしれない。
居場所を手に入れたら、今度は失う時が恐くなる。
そして、自分がこんなにも臆病だと思い知らされてイヤになるのだ。
───抱き合ってしまったら、その後は?
そんな思いに捕らわれて、結局、逃げているだけだ。
いつまでも、このままで居れるハズないと解っていても・・・。
ただ、この人が好きで好きで堪らない。その気持ちだけが、胸の中を支配している。
その気持ちを、何故痛いと感じてしまうのだろうか。
───簡単な『好き』という一言が、どうしていつもきちんと言えないのだろう?
誰かを『愛しい』と思う気持ちがこんなに深いモノだなんて、この人に逢って初めて知った。
自分の中に、こんなに自分ではどうにもできない感情もあったのだ……と。
でも伝えたい。この気持ちを…上手く言葉には出来ないけれど。
「涼介さん・・・」
だから、ギュッと涼介に抱きついてみた。すごく恥ずかしいけど。
暖かい胸に顔を埋めて必死に顔を隠したけれど、真っ赤に染まってる耳はきっと彼に丸見えだろう。
(…いや…隠したいのは私のほうさ…ハハハ…(T_T) )
サラリと頭を撫でられる。
繊細で、やわらかく髪をくぐる指先すら、なんて愛おしいのだろう。
こんな時でも、彼は動揺すらしない。自分とは違って、なんて大人なんだろう。
それが、悲しい。───いつまでも追いつけない、自分が悔しい。
「嫌なワケじゃないんだな?」
どうやら何とか、言いたいことの半分くらいは伝わったらしい。
フワリとそのまま、抱き返される、優しい腕で。
コクコクと胸元で懸命に頷くと、クスっと小さく彼は笑った。
「じゃあ、待ってやる。よかったな、俺が我慢強い男で……」
そう言って、額に小さなキスを落とすこの人は、きっと絶対解っていない。
───自分がどれだけ、この人に溺れているかということを…。
別れ際、去っていく車のテールランプを見つめながら、また涙がこぼれそうになる。
自分の方こそ、あの人の本当の姿を解っていないのかもしれない。
───胸に残る小さな痛みを、唇を噛みしめることで堪えていた。
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