【終わらない夜】 P2 (啓X拓)  …裏に移動してまいりました(爆)


 最後に少し長めのキスをしてから名残惜しげに唇を離して、啓介は抱きしめていた腕の力を抜いた。
すると、今度は拓海がだるい腕を伸ばして、啓介の首にふわりと絡ませてきた。
軽く啓介の首を引き寄せて、ほぅ…と何とも甘い吐息をつく拓海に、啓介はガラにもなくドキドキした。
「なっ!……何だ?おい?・・・どうかしたのか、拓海?」
いつもと違う拓海の突飛な行動に慌てる啓介に、今度は拓海がクスクス笑いはじめた。
「何、焦ってんすか?」
 ・・・声がしっかりしている。どうやら、拓海は完全に目覚めているらしい。らしいが、様子がどうもいつもと違う。もしかして夢じゃねーだろうな?と一瞬自分の正気を疑ってしまうくらいだ。
「何って…お前・・・何か変だぞ?」
「変ってドコが?」
 どこか艶を含んだ声で聞き返されて、啓介は言葉に詰まった。ドコというか全てというか・・・とにかく今の拓海はいつもと違う。  誘われてるような、イケナイ気分になってきたって正直に言ったら、離れていってしまいそうだし・・・。
(…それはちょっと、もったいねーしなぁ。)

 返事に困っている啓介を見て、拓海は楽しそうに、嬉しそうに笑い出した。
クスクスと小さく声をたてて笑うその様が余りに可愛くて、啓介はグラリと自分の理性が揺れるのを感じた。こんな拓海は本当に珍しい。
「・・・ったく、何、笑ってんだよ?」
困ったようにブツブツ言いながら、啓介は自分の頭を抱える細い腕を外させて、笑う拓海の頭を抱え込んだ。柔らかい茶色の髪を鼻先で潜って、探りあてた耳朶を唇だけで軽く喰む。
「…ほら、教えろよ。」
そして吐息とともに、小さな声を吹き込んでやった。
───小悪魔の悪戯に、ほんの少しの意趣返し。
 拓海の体がピクリと反応したのに、啓介はニヤリと笑った。感じてくれたコトが嬉しい。単純だが、そんなコトがとても嬉しいのだ。

 耳を攻められると拓海の負けは、ほぼ確実だった。拓海の急所の一つだと啓介は十分に承知しているのに。
『ソレはズルイだろ〜!』
 簡単に教えるのは、ちょっと癪だ。でも、このまま教えないと教えるまで攻められるのは分かっている。時々酷く優しいクセに、こういう時の啓介はちょっとイジワルだ。
でも…好き。大好き。どうしてなんて、解らないけど。ずっと抱きしめて、抱きしめられて、その温もりを感じていたいと思うくらい好き。
───それはもう、拓海自身でもどうしようもない気持ちで・・・。

「…あ、…んっ…」
 焦れた啓介に今度は耳朶に軽く歯を立てられて小さく喘ぐと、拓海は渋々降参するコトにした。
「………だって啓介さん、……何か慌ててるから。」
 今更このくらいくっついたくらいで、慌てるなんて。さっきは隙間もナイほど、2人で躰を重ね合わせていたのに・・・。とまでは流石に言えなくて、拓海はじーっと啓介の瞳を見つめた。

 その拓海の返事に、啓介はハァーと、大きな大きな溜息をついた。
「あのな〜……俺が慌ててんのは、お前のせいだろうが。」
「俺?」
 どこが?何が?と言わんばかりに、満面に?マークを浮かべる拓海に啓介は、このヤロ!と思った。この天然小悪魔、一体全体どうしてくれよう!

(・・・でもこういうトコがツボって言やぁ、ツボなんだよなー、くそぅ!)
 手玉に取られているようでめちゃ悔しいが、もろストライクゾーンなのだから仕方ない。
可愛すぎて、愛しくて、好きにならずにいられない。
そんなコトを考えてるウチに、ぎゅーっとしたくなったので、啓介は素直にそうするコトにした。

「うっ!…ぷはっ!…け!けーすけ…さっ…んっ」
 急に強い力でぎゅうっと抱きしめてきた啓介に文句を言おうとした拓海の口は、啓介のソレで簡単に塞がれてしまう。そのキスは息も継げないほど激しくて、拓海は眉間に皺を寄せた。でもそのすぐ後、体の力を抜いて、ちゃんとキスに応えを返す。その方法を拓海も知っているから。何度も啓介と交わした行為だから。

 ぴちゃっと濡れた音を響かせて、啓介がキスを解くと拓海は大きく息をついた。
「・・・あんな真似されると、誘われてんのかと思っちまうだろーが。」
言いながら拓海の躯を離そうとする啓介に拓海はしがみついた。
「・・・誘ってるって言ったらどうします?」
 拓海から出た思わぬセリフに啓介は動きを止めて、マジマジと恋人の顔を見つめた。些か気に障るその視線に拓海はむぅっと拗ねた顔をした。
「・・・マ、マジ?」
カラカラに乾いた喉で訊き返してしまった啓介にムカッとなった拓海は、唇をツンと尖らせた。
「いーよ、もう!……別に、したくねーなら!…ふんっだ!」
拗ねた声でそう言ってプイッとそっぽむくと、拓海はシーツにくるまって眠りの体制に入ろうとする。
「わー!!…待て待て、ちょっと待てーっ!」
 啓介は慌てて離れていく躯を捕まえると、拓海の身体を包む布を引っ張った。
クルクルと面白いように布は外れて、ポロリと拓海が転がってきた。
剥がされないように布をしっかり掴んでおかなかったのは、多分きっとわざとだろう。
 ギリギリセーフか、と、心の中でほっと息をついて、啓介はまだちょっと口を尖らせて怒っている拓海にゴメンのキスを贈った。ついでに拓海の上に被さって、自分に都合の良い体制にもちこんでしまう。

「そんなワケねーだろ?喜んで誘われるに決まってんだろーが。」
「フンッ!どーだか。」
 尚もそっぽむく拓海の顔を両手で無理やり戻して、啓介はもう一度、啄むような優しいキスから始めた。
拗ねてしまった唇を柔らかく解いてから・・・お楽しみはそれからだ。

(何が何だか解らねーけど、今日はむちゃくちゃラッキーだぜ!)
 拓海の機嫌の直すのは少しばかり骨が折れるが、この美味しいシチュエーションなら何とかなるだろう。

 熱くなる予感に気を高ぶらせながら、何時しか口付けに夢中になっていく。互いの吐息を重ねて、微笑み合って、抱きしめ合う。互いの指先の熱さに煽られるように、躰の芯も熱を帯びていく。

───2人の夜は、まだまだ終わらない。


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