【泣きたい夜に抱きしめて】 P6 (啓X拓)

 重なった身体が熱い。2つの鼓動はドクドクと耳にうるさい程だった。
───本当に素直じゃない。
 でも、拓海のそんなトコも大好きだから、それでいい。

 啓介は腕を弛めて拓海の胸元へ顔を寄せると、もう1度、中断してしまった愛撫を始める。
「はっ…うぁ…っ啓介さ、ん…っ」
 胸元に埋まる啓介の頭を抱き締めて、拓海は荒くなった息から苦しげに啓介の名を呼んだ。
そのコトに満足した表情で、啓介は拓海の下肢へと指を滑らせる。
「あ…だ、だめ…やぁっ!」
 驚いたように逃げる体を押さえつけて、啓介は胸に痕が残るほど強く口付けると、その痕をペロリと嘗めた。

「ダメじゃねーだろ?ほら…」
 胸を舌で下肢を両手で愛されて、襲い来る快感の波を堪えきれずに拓海の目から一筋の涙が零れる。
その様子に、啓介は顔を上げて苦笑すると目元に軽く口づけた。
「…っ、あ、あ…や、やぁー…っく…」
 泣くほど我慢すんじゃねーと囁かれ、きつく自身を上下に扱かれて、拓海は呆気なく弾けてしまう。

 いつも先に達かされるのが、拓海は実は気に入らない。自分だけが乱れてるようでとても嫌なのだ。
 何度か啓介に抗議してみたが、啓介は全く取り合わなかった。
『その方がお前の体が楽だし、柔らかくなった体を抱ける方が俺も楽しい。』…と、言ってくるのだ。

 拓海は男だ。本当は抱かれる為の体じゃない。
でも、啓介は『抱かない』とは言ってやれない。我慢も出来ない。
だから、拓海の体の負担を減らせるだけ減らしたいといつでも思っているのだ。
 優しく出来ない時もあるけど、愛しいと、大切だと思う気持ちも、決して嘘じゃないから。

 吐精の余韻に酔う拓海の荒い息が落ち着くまで、啓介は微笑みながら髪を宥めるようにそっと撫でていた。ゆっくりと拓海が瞳を開けると、視線を合わせてもう1度微笑んで見せる。拓海が知る啓介の最も優しい表情だ。
 拓海は泣きそうな顔で啓介を見つめてきた。きっと、いつもと同じ苦情を言いたいのだろう。解っていて、啓介はソレを無視した。この事に関しては、きっとお互い譲れない。強引に出た方の勝ちだと啓介は思っている。
 拓海の気持ちが解らないわけじゃない。それでも、啓介は譲る気がなかった。
身体が傷ついて傷つくのは拓海だけじゃない。自分だって辛いから。

「啓介さん…」
 呼びかけてきた拓海に、啓介は触れるだけの口づけを贈る。拓海もそのキスを素直に受け止めた。そっと啓介の頬に手を添えて、今度は自分からちゅっと小さな口づけを贈る。
 その拓海に微笑んで、啓介はギュッと拓海の頭を抱きしめた。
胸元に引き寄せられて、拓海は啓介の体温を頬で感じる。
強く脈打つ心臓の音。いつもより、ずっと速いその音に拓海は少し安心する。
───興奮してるのは、2人とも同じだと解るから。

「拓海……いいか?」
 何を言われてるのか、すぐに解る。
初めての夜以外、啓介がこの言葉を発しなかった事は1度もない。
 拓海は目を瞑って啓介の鼓動に耳を傾けながら、ぎゅっとその胸を抱きしめるように腕を廻した。
「うん…」
 小さな返事を声で返せるようになったのは、つい最近からだ。
コクリと頷いて、拓海はゆっくりと身体の力を抜いていった。

 腕の中の身体から力が抜けると、啓介は抱きしめていた腕を解いてまた拓海の下肢へと滑らせた。今度はその足を開かせる為にだ。
 先程、拓海が放ったものを集めるように手を滑らせて、奥まった秘所へと移動させる。その場所に隠れる固い蕾に触れた時、拓海の身体がビクッと震えた。
 啓介は縮こまる身体を慰めるように額に口づけると、蕾の周りに指を擦り付けるように動かした。
「んんっ……ぁあ…」
 刺激に、拓海が甘い喘ぎを上げる。その声に促されるように、啓介は指に力を込めると1本だけその中へと突き入れた。

「あっ……いっ…!」
 眉を顰めて声を上げると、拓海はすぐに唇を噛みしめた。
この瞬間のキツイ痛みだけはどうしようもない。後から訪れる痛みよりもマシなハズなのに震える体を止められない。だから、せめて声は上げまいとしてしまうのだ。
「声…抑えんなって…。痛ぇならそう言え。でないと、辛いだろ?」
 我慢すればする程、痛みというものは辛い。子供が大声あげて泣くのは、きっとその方が少しでも気が紛れると本能で知っているからだ。
 啓介は噛みしめられた拓海の唇にキスをしながら、少しだけ強く中に入れた指を進める。
「うぁっ…った!…ん、んんっ…」
 痛みに拓海が口を開いて声を上げると、啓介はその中に自分を舌を潜り込ませる。これでもう、拓海は噛みしめる事は出来なくなった。
「…んん、あぅ……っ」
 息も止まりそうな激しいキスだ。でも、拓海は逃れようとはせず、その甘さに酔ったように啓介の舌に舌を絡めた。コクリと、交わった唾液を無意識に飲み干している。

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