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【幸せの定義】 (新キャラ(笑)&ユウリ) P3
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| ユウリが音を奏でるその場所は、清らかで優しい空気に包まれていたように感じた。 いつまでも其処にいたいと思わせるような、そんな場所たっだ。 それでいて、まるで、そこだけ透明の膜に遮られた別世界のようにも感じられて、自分は一緒にいられないと思ってしまうような、不思議な寂しさも、同時に存在していたように思う。 そう。 流れる音に、じっくりと耳を傾けていると、その音が内包する優しさが全身を包むような感じで、頭の中にある様々な悩みが取り除かれて、だんだん心が軽くなるような不思議な感覚をもたらす。 ユウリは何かに熱中している時、よくあんな風に別の時空にいるような雰囲気を醸し出しているよと、曲の合間にシモンがやや切なげな表情で仲間達に語っていたのが、やけにケストナーの印象に残っていた。 そんな、確かに稚拙ではあるけれど、ずっと聴いていたいと思わせるようなユウリの演奏を傍でじっくり堪能していたケストナーとしては、ぜひ間近で聴きたい、と言い出す周囲の気持ちは分からないでもない。 ここ数日、練習のために談話室に通うユウリの様子を伺っていたので、多忙なシモンより余程長い時間、彼の傍にいて気づいたのだが、ユウリの近くにいるとインスピレーションが湧いてくるというか、とにかく、やたらめったら感性を刺激されるのだ。 本当に、些細なことばかりだ。 でも、それに気づくと、心の奧底から、今感じているそのイメージを音にして表現したい、という気持ちを揺り動かされてしまい、ワクワクして、ジッとしていられなくなるのだ。 わが校自慢の優等生であるシモンを筆頭に、在学中は魔術師と異名を取っていたアシュレイや、シェークスピア寮に集まる芸術家達の筆頭であるオニールなど、数々の名のある男達がユウリに構わずにはいられない理由は、たぶん、そこにあるのだろう。
数年前に亡くなってしまった友人、ヒュー・アダムスは、ユウリともケストナーとも親しい友人だった。 『ユウリはいつも謎めいてて、僕はその謎を知りたいのかもしれない。・・・どうしてそんな風に思うのか、理由は自分でもよく分からないんだ。だけど、とにかく、近くて遠い場所にいるアイツの傍にいたくて、近づきたくて仕方がない。・・・でも、ユウリは・・・どうしてかな?今、掴まえていても、次の瞬間にはスルリと離れていってしまうような、そんな気がして・・・時々、僕は、どうしようもない程、不安になってしまう。』 ギュッと拳を握りしめながら、切なげな様子でヒューがそう語るのを聞いた時は、正直とても変なセリフだと思った。 ”近くて遠いっていう表現が、ホントにヒューらしい言葉だったよなぁ。でも・・・まさにその通りだ。” 目の前に確かに存在しているのに、まるで別の空間にいるように、ユウリの周囲だけが切り離された世界であるような、不思議な疎外感に捕らわれることがある。 ”それにしても・・・僕は、随分、惜しいことをしてきたみたいだ。” ”でも、まぁ、いいか。この先1年、息抜きと称してたまに談話室に誘うくらいは、許されるだろうし。” たぶん、自分はそのくらいの距離で、ちょうどいい。 ”なんせ、あのベルジュですら、掴みきれていないって感じだもんなぁ。・・・やるなぁ、ユウリ。”
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