アマチュア無線用語集

HF編


24ビットAD・DAコンバーター

   ADコンバーターはアナログ信号をデジタル信号に、DAコンバーターはデジタル信号をアナログ信号に変換す
  る回路のこと。ビット数が大きいほど元のアナログ信号に限りなく近くなるため、24ビットに分解している。
   また、24ビットのADコンバーターでは144dB(デシベル)のダイナミックレンジが取れ、より小さい信号から
  大きい信号までを扱うことができる。
32ビット浮動小数点DSP
   DSPは、Digital Signal Processor の略で、データ処理をリアルタイムに行うための集積回路のこと。アマチュ
  ア無線では、アナログ信号をデジタル信号に変換するADコンバーター、デジタル信号をアナログ信号に変換す
  るDAコンバーターと組み合わせて、変調や復調、IFフィルターなど混信除去、ツインPBT(パスバンドチューニ
  ング)、ノッチフィルターなどに使われる。DSP内部での処理能力を高め、ダイナミックレンジの向上や受信信号
  の忠実度を向上させるため、32ビット浮動小数点タイプの回路を採用している。
ALC
   Automatic Level Control の略。SSB送信機の出力コントロール回路。振幅変調を行うAMやSSBでは、音声
  入力レベルが大きいほど大出力が出るが、出力を出しすぎると振幅幅が広がり、出力段で信号が歪み、スプラ
  ッターなどの妨害波が出たりする。そのため、送信電波が歪む前に自動的にレベルを下げて、送信電波の質を
  保つようにする回路。
APF
   Audio Peak Filter の略。オーディオ・ピーク・フィルターのこと。CWピッチを設定するとき、ピーク周波数を同調
  させ、聞きやすい状態に設定する機能。
CI−V端子
   ICOM Communication Interface-V の略。無線機の操作をパソコンによってコントロールすることを可能にす
  る端子。パソコンのRS-232C端子とCI-VレベルコンバーターユニットCT-17を介して接続する。
CW用メモリーキーヤー
   アマチュア無線のコンテストなどで、CW用の決まり文句(定形文)を送出できるようにする回路のこと。
DXペディション
   常置場所以外に移動して運用することをペディションというが、DXが付くと海外に移動して運用することをいう。
IFシフト回路
   中間周波数を微調整し、見かけ上、IFフィルターの通過帯域を変化させて混信を軽減する回路のこと。SSBの
  受信時に効果的な混信除去機能で、受信している周波数付近に妨害信号が出ているとき、IFフィルターの通過
  帯域を電気的に変化させて混信を低減する。
MOS−FET
   モス・エフイーティと読む。Metal Oxide Semiconductor(金属酸化物半導体)の積層構造をそのゲート構造と
  するField Effect Transistor(電界効果トランジスター)のこと。FETは電圧で制御できるトランジスターで、一
  般的なトランジスターに比べ、入力インピーダンスが高く、使いやすく、消費電力も少なく、低雑音で熱暴走がな
  いという特徴を持っている。このため、受信部の増幅素子として使われている。また、終段に使われるパワーMO
  S-FETもある。
PBT
   パスバンドチューニングの略。2個のフィルター特性の重ね合せ方を変化させて、目的とする周波数だけを通過
  させようという可変型フィルターの一種。
ppm
   parts per milion の略。水晶発振子などの周波数安定度を示す単位。ppmは100万分の1(1X10-6乗)だから、1
  ppmであれば1MHzに対して1Hzしか誤差の生じないということになる。
RIT
   Receive Incremental Tuning の略。送信周波数を変えることなく、受信周波数だけを微調整して相手の送信
  周波数に同調させる機能。一般的に、±10kHz以内で変化させる。
RTTY用デモジュレーター
   ボドー(Baudot。テレタイプの5単位コード)RTTY(Radio Teletype)の電波を解読するのがデモジュレーターと
  デコーダー。瞬時にオンエア(電波を送信している)局のコールサインが表示画面で確認できる。最近では、パソ
  コンや外部デモジュレーターを使用せずにRTTYの電波を解読できる内蔵タイプの無線機もある。
Sメータースケルチ機能
   設定したS(Signal)メーターの振れ方より小さい信号は、スピーカーから音を出さないようにする機能。雑音に
  近い小さな信号は聞こえないので、静かに待受けができる。
TFT
   Thin Film Transistor の略。アクティブマトリクス方式を利用した液晶ディスプレイ。表示はクリアだが、価格は
  単純マトリクス方式を利用したSTN(Super Twisted Nematic) よりも高価である。
VFO
   Variable Frequenncy Oscilator の略。可変周波数発振器のこと。設定したバンドの全周波数をダイヤルで可
  変できるようになっており、これで希望する周波数に合わせる。
凾sX
   デルタ・ティエックスと読む。受信周波数を変えることなく、送信周波数を微調整して相手の受信周波数に合
  わせる機能。一般的に、±10kHz以内で変化させる。
アンテナチューナー
   送信機とアンテナをロスなく接続するための装置。無線機に内蔵されたオート・アンテナ・チューナーは、多少
  周波数のズレたアンテナが接続されたときでも、十分な性能を発揮できるように、自動的に整合させる。
エレクトロニック・キーヤー
   電気的に短点と長点を連続的に連続送出できる電子キー。最近は、無線機に内蔵されているものが多くなっ
  ている。
コメント入力機能
   メモリーに記憶させているすべてのチャンネルに、どんな内容を記憶させているかをアルファベット、数字、カナ
  、記号で分かりやすくコメントを付けるための入力機能のこと。メモリーチャンネルが多くなってくると必須の機能
  である。
シェイプファクター
   IFフィルターなどの遮断特性の波形のこと。波形の上部が平坦(リップルが少ない)で、遮断特性が急峻なほ
  ど良い。
周波数シフト機能
   SSBモードからCWモードへ切り換えた時、周波数シフト機能がONだと、キャリアポイントを動かさずに周波数
  をシフトさせることができ、シフト機能がOFFだと、キャリアポイントを動かして周波数を同一に保つことができる。
スタッキングレジスター機能
   運用しているバンドの最終運用状態を常に記憶しておき、次にその運用バンドを選択したとき、瞬時に元の状
  態に戻ることができる機能。
スピーチコンプレッサー
   音声信号を圧縮してトークパワーをアップする機能。従来はAF部(音声増幅部)で音声圧縮回路を動作させて
  いたので、AFスピーチコンプレッサーと呼ばれていたが、RFタイプのコンプレッサー回路も開発された。RFスピー
  チコンプレッサーは平均電力がアップするため、AFタイプに比べて、よりパイルアップやDX(遠距離)通信時に威
  力を発揮するようになった。最近では、DSPによるデジタルRFスピーチコンプレッサーが開発され、コンプレッシ
  ョンレベル(圧縮レベル)を高く設定しても歪を発生させることなく、相手局の了解度を高めることができるようにな
  り、しかも、音声処理の階調が原音に極めて近く、すべてのコンプレッションレベルにおいて最上の音質を実現し
  ている。
スプリット運用
   送信と受信を別々の周波数で行うのがスプリット運用。送信と受信のたびごとに周波数を切り換えて対応して
  いる。HF帯のスプリット運用は「たすきがけ運用」と呼ばれ、国内と海外では、許可されている運用周波数が異な
  ることがあり、互いに自国で許可された周波数で送信し、相手国の周波数で受信するものである。
スペクトラムスコープ
   運用する周波数付近のバンド状態をチェックする、監視している周波数帯で新たに運用を始めた局をすばやく発
  見する、スプリット運用でパイル(混雑状態)になっている時の隙間になっている周波数やコールバック周波数を
  確認する、といった高度な運用を可能にする機能。監視帯域は、受信周波数を中心に±12.5kHz、±25kHz、±50
  kHz、±100kHzなど切り換えることが出来る。また、スペクトラムスコープ専用のアッテネーターを装備しているもの
  もある。
ゼネラルカバレッジ受信機能
   General Coverage の略。ゼネカバ受信機能ともいう。アマチュア無線に許可された周波数範囲だけではなく、0
  〜30MHz付近までの周波数がすべて受信できる受信機能。ほとんどのHFトランシーバーには、この機能が内蔵さ
  れている。
セミブレークイン
   CW運用時、電鍵を押すと自動的に送信状態になり、電鍵を離すと一定時間送信状態を保持した後。受信状態に
  切り換わる機能。
ゼロイン
   相手の送信周波数に受信周波数をピッタリと合わせること。RTTYモードでは、送信周波数にピッタリと合わせる
  のが微妙で難しいため、ゼロイン状態を視覚的に表示するインジケーターを装備した無線機もある。
ツインPBTR
   単独でも動作するPBT(パスバンドチューニング)を2つ組み合わせ、中心周波数を変えないで通過帯域幅を上
  側と下側から同時に、あるいは片方だけ狭くし、混信を低減する機能。片側からの混信除去には、2重になってい
  るPBTツマミを同方向に同量だけ可変することで、IFシフトとしても動作する。
デジタルIFフィルター
   超高級機に搭載するアナログIFフィルターでは、通過帯域の平坦性(リップル)を優先するとシェイプファクターが
  悪くなり、なだらかな特性(ブロード)になってしまい、使用する振動子を増やすと物理的な限界が生じ、位相特性
  が著しく悪化し、音質が劣化するなどの問題が生じる。これを解決するために開発したのが、DSPによるデジタルI
  Fフィルターである。デジタルIFフィルターでは、ソフト処理の変更を行うだけで、アナログフィルターに例えると、振
  動子の数を自由に増やすことができ、リップルをほとんどゼロに保ちながら理想のシェイプファクターを追い求めるこ
  とができるとともに、運用するバンドやモードに応じた、最適なシェイプファクターを得ることができる。
デジタルボイスメモリー
   専用スイッチにより、どのような表示状況からでもワンプッシュで音声の録音/再生が行える機能。コールバック
  の確認など実戦的に使用できる。
ノイズブランカー
   FM/WFMモード以外で受信しているとき、自動車のイグニッションノイズなどのようなパルス性ノイズを低減する
  機能。
ノイズリダクション
   アマチュア無線では、信号とノイズを分離する機能のことをいう。ノイズリダクションは、ノイズに埋もれた信号に
  効果がある。また、ノイズ抑圧量が可変できるため、ノイズ量によって適切な動作ポジションを選択することができ
  る。
ノッチフィルター
   目的信号への音質変化を最小限に抑えながら、不快なビート音をスパッと除去する機能。
パイルアップ
   一度に多くの無線局から呼ばれる状態をいう。珍しいDX(遠距離)局が現れたり、DXペディション(アマチュア無
  線局が少ない国 や地域へ移動して運用すること)が始まると、これらのDX局と交信しようとする数多くの局によっ
  て発生する現象。
バンクリンクスキャン機能
   500チャンネルもの数多くのメモリーチャンネルがある無線機では、メモリーチャンネルを5個とか10個に分割しな
  いと、何処に何を記憶させたのかが分かりにくくなるため、メモリーバンクが設けられているが、このバンクの内、指
  定されたバンクに記憶されたメモリーチャンネルだけをスキャンする機能。
バンドスコープ
   受信周波数を中心に±12.5kHz、±25kHz、±50kHz、±100kHzなど一定の範囲の近接信号が監視できる機能。
  信号を受信しながら、近接電波の使用状況が視覚的に確認できるので、目的の信号をすばやく捕えることができる。
フェージング
   電波が強くなったり、弱くなったりする現象。建物や山などによって反射するなど、複数の伝搬経路を通ってきた電
  波同士が干渉し合って発生する。
フルVFOスキャン
   いわゆるフルスキャンと同じ。指定したバンドのすべての周波数範囲をくまなくサーチし、信号が出ているところを探
  し出す機能。
フルブレークイン
   CW運用時、電鍵の操作に従って瞬時に送受信が切り換わり、キーイング中でも信号を受信することができる機能。
フロントエンド
   アンテナからの電波を直接、受け取って増幅し、中間周波数に変換する部分までの回路をいう。各バンドごとに設け
  られた同調回路、RF段(高周波増幅段)、BPF(バンドパス・フィルター)、局部発振回路、ミキサー回路が含まれる。
マイクイコライザー
   マイクで拾った送信音の高音域と低音域を調整し、最適な周波数特性が設定できる機能。
マルチモード
   SSB・CW・AM・FMなどすべての受信モードに対応する無線機や受信機。
メモパッド
   VFO状態/メモリー状態に関わらず、DX局(遠距離局)を発見したときなど、運用中の周波数とモードを瞬時に書き
  込むことができる機能。
メモリーネーム機能
   メモリーチャンネルが多くなると設定した周波数がどんな内容だったのかを忘れてしまうことがある。そのため、すべ
  てのメモリーチャンネルにアルファベット、数字、記号によるコメントが入力でき、保存できるようにした機能。
メモリーバンク機能
   メモリーチャンネルに記憶させた周波数をまとめて整理するための機能。たとえば、周波数帯ごとにメモリーバンクを
  使い、ここに該当するメモリーチャンネルを記憶させるなど、色々な使い方ができる。


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