タバコ





別に私が吸ってるわけじゃないですよ。
小学校の時の、思い出です。

2年生だったかな。担任の先生が休みで、代わりに教頭先生が来た。
教頭先生は、教壇に立ち、タバコを吸い始めた。

「みんなが静かにしていたら、タバコの煙の輪が、崩れないんだぞ。」
クラスのみんなが、ジッと先生のタバコを見つめる。

タバコの煙が、見事に綺麗な輪になって天井に上がっていった。
子供達は、一言も喋らず、輪を見つめている。
喋ったら、輪が崩れる。大変な事だ。だから黙っている。

自然に輪が無くなるまで、黙っていた。

私は、「なんて先生は凄い事ができるんだろう。大人って凄いな。」と、
素直に思った。

思えば、私の小学校時代は、先生が、普通に教室でタバコを吸っていた。

私達も、大人だから当たり前だという認識だった。

大人と子供は、全く違うものだという認識があった。

真似して吸おうなんて微塵も思わなかった。

だって、私達は、子供なのだから。

あの頃の先生方はきっと、自分に自信があったに違いない。

「オレは大人なんだぞ!だから堂々とタバコを吸う!」

子供が自分を見てタバコを吸いたがるなんて、思ってなかったんだろう。
だから堂々と吸っていたのだろう。

そう思うのは当たり前。だって大人と子供は、全く違うものなのだから。

いつから、世の中全体で、こんなにも子供に大人が気を使う様になったのだろう?

なんで私ら大人の方が子供に気を使わなくてはいけないのだろう。

・・・きっと、自分に自信の有る大人が、少なくなったんだろう。

素直に大人を尊敬していた子供の頃の私。

それだけ、本当に周りの大人の人がしっかりしてたのだと思う。

私は、すっかり子供のまま、大人になってしまった。

あの時の先生みたいに、かっこいい大人になりたかった。


ちなみに私は、かっこよくタバコを吸う、大人の男の人が好きだ。

40歳位で、かっこよくて、マナー良くタバコを吸っている横顔を見たら、クラクラしてしまうだろう
(笑)。

だけど、そんな人なかなか居ないんだよね〜〜〜。

・・・まぁ、いいけどさ。


何となく思う事