雑賀衆の芽衣「土佐・中富川の合戦」をダイジェスト版で公開します。
本作はネーム(絵・コンテ)のみの制作なので、雑な作画となっていますが御了承下さい。

雑賀衆、鈴木芽衣 (ネーム2ページ)

 戦国時代、紀伊(和歌山)北部、雑賀。
芽衣は二人の家臣を連れ、狩りに来ていた。そして熊を一撃で仕留める。
「我ながら ほれぼれしちゃう腕前だわ!」
それでも納得はいかない。
芽衣が撃ちたかったのは天下人『織田信長』なのであった。

 紀伊・雑賀(さいか)は鉄砲の生産地の一つで、大名は無く、地侍達が独立を維持している国。
鉄砲で武装した地侍は『雑賀衆』といい、傭兵集団として他国の合戦に加勢していた。
雑賀衆は頭領の『鈴木孫一』に統率され、本願寺に見方して織田軍と11年間戦い抜いた経歴を持つ。

 この時、天正10年初夏。
織田信長が明智光秀の謀反により、本能寺で世を去った直後だった。


 

長宗我部家からの援軍要請 (ネーム6ページ)

 雑賀衆頭領、鈴木孫一の所に、四国・土佐(高知)の長宗我部 元親から援軍要請の使者が来ていた。
使者の名は『中島 可之助
(べくのすけ)』という。

そこに孫一の娘、芽衣が狩りで捕った鹿の角を持って飛び込んできた。そこで援軍要請の話を聞く。
「土佐…援軍!この鈴木芽衣、必ず味方の勝利に貢献いたしましょう」
孫一は やかましい芽衣を外に追い出し、話を進める。
「次の合戦では特に優れた射手が欲しいと言ってましたな…」
「このワシに劣らぬ凄腕がいるが、戦に出たことがない女子
(おなご)でも良いのかな」

 孫一は芽衣の鉄砲の腕は認めており、戦で多くの事を学ぶ機会になるのなら、土佐への援軍2千人の中に加えても良いと考えていた。
ただし、その条件は『戦以外の時は女らしくする事』『掃除、洗濯、料理を覚え、狩りは10日に一回。門限は酉の刻
(6時)

「望むところだ!」
さっそく女らしい着物に着替えてくる芽衣だったが、その手には鉄砲が握られていた。

 

芽衣、密航 (ネーム10ページ)

 長宗我部家の使者 中島可之助は援軍二千人を1ヶ月後に到着させてもらう約束をして土佐に帰って行った。
それを見送りながら孫一は言う。「1ヶ月後か・・馬鹿娘を教育する良い機会になりそうだな。」

 土佐へ向かった船は領内の阿波南部まで進んでいた。
その時、高波に揺られた勢いで樽が転がり、中から芽衣が飛び出してきた。
「ゆれますね〜船…」
突然の事に言葉も出ない可之助。そして孫一も部屋に残された手紙を読んで愕然としていた。

『父上へ
この手紙を見つけた頃 芽衣は土佐の船に忍びこんでいるでしょう
こうなれば私は援軍の先鋒 雑賀の大将なのです
だから父上の鉄砲は借りていきます』

芽衣は孫一が信長との戦で使っていた大切な鉄砲を持ち出し、勝手に土佐へ出発したのだった。

 

土佐、長宗我部家 (ネーム11ページ)

 群雄割拠していた国内を長宗我部 元親が平定すると、他国へ進軍。四国の大名達は織田勢力に属して、これに対抗していた。

 長宗我部家の居城「岡豊(おこう)城」に到着した芽衣は当主の元親と対面する。
「かっこいい おじ様ではないか。ウチの父上とは大違いだー。」
芽衣は優しそうな元親に気を良くしたのか、船の中で可之助に聞いたという元親の評判を話しだすのだった。
「四国中の敵から恨まれてて、敵にすると嫌な男だと言っておりました。」
中島可之助は焦り始めるが、素直な芽衣に元親は笑いだす。

 しかし、その場にいる長宗我部の家臣達は不信感をあらわした。
そこで一人の若者が口を開き立ちあがる。
「俺達にとっては大事な合戦だというのに…遊び半分で鉄砲を撃ちに来たんじゃないだろうな。」

 この程度で怯む(ひるむ)芽衣ではなかった。

 

長宗我部 信親 (ネーム13ページ)

若者は言った。
「鉄砲を持って表へ出ろ。雑賀衆の実力を確かめてやる。」
そして、さっさと部屋を出て行くと、その後ろ姿に向かい芽衣も言い放つ。
「なんだぁー、偉そうな奴!ケンカなら買うわよ!」

 しかし、その相手が若様と呼ばれたのを聞き、さすがの芽衣も驚いた。元親は芽衣を気遣って息子『信親』の非礼を詫びるが困った様子はない。

 信親は鉄砲の練習で使用する『的(まと)』を持って馬上にいた。
「この的を騎馬武者の頭だと思え!」
距離をおいて芽衣は向い合い、銃に弾丸を込める。
家臣達は信親を止めようとするが、元親は平然と見ていた。
「かまわん、やらせろ。」
元親は芽衣の真剣な表情を見て言った。
「自身がなければ、あの眼はできんよ。」

 信親は馬を左右に走らせ芽衣を挑発する。
「どうした。もっと近づいた方がいいか!?」
元親と家臣達が静かに見守る中、芽衣は引き金を引いた。

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