弓の毛替えについて

まず、僕らが多く聞かれるのが「弓の毛替えは、どのくらいの期間ごとにするものですか?」ということです。

確かに、弓は毎日使っている中で、ある日突然全く音が出せなくなる物でもないだけに、専門家でもない限りなかなか毛替え時期を判断するのは難しいものです。

ですから、このように次の毛替えまで使っていられる「期間」を皆さんが知っておきたいというのもよく分かります。



ただ、この「期間」に関しては、お客様の楽器を弾く頻度などの使用条件でも全く違ってきますから、毛替えの時期は「期間」でお考えになるより、毛の「状態」そのもので考えるべきだと僕は思っています。

具体的には、「毛の長さ(のびのびになっていないか)」「毛のバランス(バラバラに乱れていないか)」「毛の引っかかり感(何だか最近やたらすべる感じがする)」などが、使用に耐えなくなった「状態」を毛替えの時期と判断します。



とはいっても、その「状態」を判断するのも、それなりに難しいと思いますので、僕の考えとしては前回の毛替えから半年くらいを目安に(不安な方や、かなりハードにお使いの方は、もっと早くても問題ありません)技術者に毛替えをすべきか相談するのが理想的ではないかと思います。

そうすれば、その弓の「状態」に対して、「まだ長さもバランスも崩れていないから、極端に毛の引っかかりが悪くなければ今すぐ毛替えをしなくても大丈夫ですよ。」とか「毛がもう長く伸びすぎているので毛替えしましょう。」というふうに、明確な毛替え時期としてお知らせできます。



ちなみに、「半年くらいを目安に」と言ったのは、そうすることで、毛替えと同時に楽器の健康チェックにおいても理想的になるからです。

これくらいの頻度で楽器も弓も技術的(客観的)にチェックすることで、所有者が、毎日の使用による「慣れ」によって気がつかない楽器の日々の変化を極端に悪い方向へ進めないためにも大切だからです。



楽器も弓も問題がなければチェックだけで済みますから、長きに渡って楽器の傷みを少なく維持していくためにも、あまり面倒に思われずに、弓にせよ楽器にせよある一定の期間で工房で見せるのを習慣にしていただけたらと思います。