SS…豹馬 オレの操るバイクが、サーキットを駆け抜ける。 長い直線を抜け、カーブにさしかかった。 結構、角度のきついカーブだ。 気を付けねぇと、コケること間違いなし。 オレは、慎重ににバイクを操作した。 ココでコケたら、苦労が水の泡。 コースレコードもおじゃんだ。 追走してくる、バイクが、オレを抜きにかかる。 ふんっ、こんな所で抜かされるもんか! 葵 豹馬をナメんじゃねぇっ!! ブレーキ、クラッチ、アクセル。 全てを絶妙なタイミングで操る。 よしっ、いける! ドカァンッッ! 追走していたバイクがクラッシュした。 へっ、オレをこんな所で抜こうなんて考えるからだぜ。 自業自得だな。 このカーブをこのスピードで走れるのは、他でもない、このスピードの天才、葵 豹馬だからだぜ! 「だぁぁっっっ! またコケたっ(>_<) 何でやねーんっっ?!」 「いつも同じ所でコケますね」 「要するに、操作ミスなんでしょ?」 「あっさり、このカーブば攻略出来る豹馬しゃんは、やっぱりたいしたモンばい」 オレの隣で、十三が大声を上げつつゲーム機のコントローラーを投げ出した。 俺達の後ろじゃ、事の成り行きをちずる、大作、小介の三人が見てる。 ったく、危ねぇなぁ。 もう少しでコントローラーが当たる所だったじゃねぇか。 「ま、当然だな。 体が憶えてんだよ。 どのタイミングで、どんな操作すりゃいいかってね♪」 へへっ。 例えゲームでも、バイクレースでオレが負けるかよ。 まだまだ甘いぜ、十三( ̄ー ̄) |
SS…十三 照準の先には、次のターゲット。 ユラユラ揺れとるけど、ワイにとっては、大した揺れやない。 他のヤツにとっては、どうだか知らんけどな。 揺れのリズムを読んで、角度と距離を測る。 『角度と距離さえ読めるようになればええのや』 ワイの、一番最初の射撃の師匠の言葉や。 この言葉を思い出して、危機を脱した事もある。 射撃の基本の一つ … 忘れたらアカン事や。 ターゲットまでの距離、角度 … よぉっし、OKやっ! トリガーをゆっくり絞る。 一気に引いたらアカン。 照準がブレたりする事があるのや。 よっぽどの場合以外は、ギリギリまで、ゆっくり絞る。 ターゲットの揺れを考慮して、照準を合わせて … 今や! パアンッ! 「よっしゃ、特大チョコ、ゲットや!\(^o^)/」 「やったぁ、十三さん!」 「さっすがぁ! 射撃の天才!!」 隣で見とった金太と知恵が、手放しで喜ぶ。 その両手には、今までの戦利品が、いっぱいや(^ー^) 「兄ちゃ〜ん、もう勘弁してくれや(TヘT)」 屋台のオッちゃんが、ことごとく景品取られて、半泣き状態や。 「何言うとんのや! あと5発、残っとんのやで」 金太と知恵の分、1人10発ずつ、計20発のコルク弾。 15発使って、外したんは1発も無し! さすがワイや♪ 「十三に射的はな〜」 「もう、全部景品取って下さいと言ってるような物よね(苦笑)」 「僕たちの分もやって貰いましょうか?」 「確実に景品ば取れるばい。 ばってん、ソレでは面白味が無かよ」 コネクションに比較的近い神社での縁日。 息抜きに金太と知恵もつれて遊びに来たんやけど、つい、夢中になってしもたワ。 結局、屋台のオッちゃんの泣き落としで、残り4発分は、金太と知恵の許可の元、勘弁してやったんやけどな。 例え玩具でも、遊びでも、やっぱり射撃は負けられへんワ。 |
SS…大作 オイは、ある絶体絶命に遭遇しちょった。 どぎゃんしたら良かとね? “そいつ” は素早く移動する … 巧みに、こっちからの攻撃を避けちょる。 う … も、もう、オイは体が言う事きかんばい。 「ダ、大作サン! 大丈夫デスカ?!」 ロペットが、オイを心配して声をかけてくれちょる。 情けなかぁ … 。 お虎叔母しゃんに 「それでもバトルチームの一員なんか?!」 って、言われそうたい。 「大作くん、頑張って!」 「せや、後少しの辛抱やで!」 「豹馬さん、8時の方向です!」 「ち、ちきしょうっ!」 他のみんなも頑張ってくれちょる。 ココで踏ん張らんと、みんなの頑張りが無駄になるたい。 あ、後少し、後少し踏ん張れば … 。 「こ、根性 … 根性 … 」 自分で自分に励ましと活を入れる。 みんなば、信じるとよ。 根性じゃぁ、西川大作! 「のやろぉっっっ!!」 一際大きく豹馬しゃんが叫ぶ。 “そいつ” に向かって執拗に攻撃をするんじゃけど、 “そいつ” は素早く、なかなか攻撃が当たらんとよ。 「だぁっっ。 しっかりせんかいっ、豹馬!」 「るっせぇっ! んなこと言ってねぇで、テメェも手伝え!」 「豹馬、飛び上がったわよっ」 「うわぁぁぁっ、コッチに来るっ!!」 小介しゃんも青ざめちょる。 オイは、もう失神寸前たい。 「でりゃぁぁぁぁっっっっっ!!!」 バシィッッ!! 当たった! とうとう、コッチの攻撃が当たったばい! 豹馬しゃん、凄か。 かなりのスピードで飛んでる “そいつ” に攻撃を当てるのは、至難の業たい。 その後、トドメを刺されて “そいつ” は沈黙した。 「や、やったぜ … 」 ゼイゼイと肩で息をする豹馬しゃん。 凄い一戦じゃった … 。 オイからも一気に力が抜ける … 。 「だ、大作ぅ。 大丈夫か? ゼイゼイ 」 「しっかりしぃ。 退治されたで、ゴキブリ」 豹馬しゃんの手にした新聞紙でペチャンコにされたゴキブリは、ロペットが回収して捨てに行ったと。 オイは … ほんに情けないけどぉ … 腰ば抜かして座り込んで、その光景ば見てたとよ。 「しかし、その素早さといい、生命力といい。 『人類が絶滅してもゴキブリは生き残る』って言われるのも無理無いですね」 「しっかり管理されたコネクションでさえ出てくるなんて … ホント、凄いわね」 小介しゃんとちずるしゃんの言葉を聞きつつ、一生縁が切れんこつに、心で泣くしかなかったばい … 。 ゴキブリが絶滅ばした後に、生まれたかったばい … (ToT) |
SS…ちずる んもうっ! 何で、何で、何で! こんなに可愛い女の子がいるっていうのに、綺麗に無視してくれちゃって。 あの人達の恋人は、別にいる … (TヘT) 十人並みよりは可愛いつもり。 スタイルだって … 悪くないはずよ。 自慢の長い髪の手入れだって、結構念入りにしてる。 仕事柄、痛みやすいから、特に気にかけてるのよ。 あまりにも近くにいすぎるせいかしら? それとも、お転婆が過ぎる? でも、仕方ないじゃない。 仕事柄、おしとやかなんかにしていられないわ。 そんな事してたら、逆にに足手まといになっちゃう。 性別の違いから、パワーや体力に劣るんだもの。 せめて、足手まといにならないように … 。 頑張ってるのよ … 女の子らしさをかなぐり捨てて。 小さな彼は、難しい本やパソコン。 大きな彼は、スケッチブック。 細身の彼は、物騒な銃器。 気になる彼は、オートバイ。 … はぁ …(-。-) 戦い終わるまで無理かしら? 別に、今すぐ彼氏が欲しいとか、そんな事は無理だって言うの分かってるから、望まないけど … つまんない … 。 「よぉ、ちずるぅ。 ケーキ買ってきたんだけどよ、食うか?」 「えっ?!」 「((((・ ・; な、何だよ」 驚ちゃった。 だってぇ、バイク遊びから帰ってきた豹馬の手に、ケーキの箱よ! あの、あの豹馬が 、ケーキよ! どんな顔して買ってきたのかしら? 「//// い、いらねぇなら、知恵にでも … 」 きゃぁ。 照れてる、照れてるv 「食べるに決まってるじゃない♪ お茶入れるわ。 一緒に食べましょうよ、ね、豹馬v」 腕組んだら真っ赤になってる。 可愛い〜v チョットは、あたしの事、考えてくれてたのね♪ アリガトvv |
SS…小介 今まで、周りの大人と張り合っていたように思います。 この年で、アメリカの大学に留学できたのは、持って生まれた、幸運な頭脳のおかげ。 その事に関しては、良いんですが … 性格的には、かなり生意気と思われていたでしょうね。 僕達が、南原博士に招集されたばかりの頃は、他のメンバーからも、そう思われたでしょう。 ソレも仕方ないんです。 張り合わないと、やっていけなかったんですから。 でも … 。 「思ったんだけどよ。 小介って、最初に比べると丸くなったって言うか、子供っぽさが出てきたよな」 「そうですか?」 自分的には分からないですけど、他の人から見ると、そうなんでしょうか? 「せやな〜。 第一印象は 『超クソ生意気なガキ』 やったからなぁ(笑)」 「言い過ぎよ」 「しゃぁないやろ、ホンマの事や」 「だよな〜。 頭が良すぎる分、余計にだったよな〜」 豹馬さんと十三さんは言いたい放題。 大作さんは、あえて沈黙。 おそらく、フォローをしようとしても、豹馬さんと十三さんにやりこめられると思っての事でしょう。 正解ですよ、大作さん。 でも、分かる気がします。 自分でも、変わった所があるっていうの、知ってますから。 やっぱり、皆さんのおかげですかね? 今まで、僕の周りにいた人達とは、全然タイプの違う方達ですしね。 それに、金太君と知恵ちゃん。 同世代や年下の子が自分の周りにいませんでしたしね。 いや、いた事もあるんですけど、物心付く頃くらいまでですかね? 「まぁ、俺達が広い心で見守った事もあって、本来の子供らしさを取り戻したっての?」 「せやせや。 いきなり大人にになったりしたらアカン。 子供時代は大切やぁ」 「よく言うわ」 「年の割に子供っぽい方達と一緒にいれば、自然と子供っぽくなりますよ(笑)」 「何だと小介ぇっ」 「やっぱり、生意気なガキやっ」 僕も、チョットはやり返さないと。 やられるままでは、やっぱり駄目ですよね。 同じバトルチームのメンバーなんですから、できる限り対等でいたい … まぁ、年齢はともかくとして(^_^; そんな所に一木兄妹の横槍が … 。 「でも、小介さんって、子供っぽいトコ、十分にあるよね。 兄ちゃん?」 「そ〜だよな〜( ̄ー ̄)」 Σ( ̄□ ̄;;) 金太君に知恵ちゃん … そ、その目は、その顔はっ?! 「「ね〜、小介さぁんv」」 ケロットを無理矢理作らせた時のそれに似て … ( ̄Д ̄lll) 「おっ、何だ、何だ? 金太、知恵。 何か知ってんのか?」 「ワイらにも教え」 あ゛ーっっ!!! ヤバイッ、ヤバイッッ、ヤバイッッッ!!! 「き、金太君! 知恵ちゃん! こちらでジュースでも飲みながら、お話ししましょう!!! ね!」 何とか、2人の口封じには成功しましたが、ケロットの改造をするハメになりました … (T_T) あの2人には、一生かなわないかも知れません … 。 戦いが終わって、両親の元に戻った時。 留学先に戻った時。 かつての僕を知る人達は、今の僕を見て、どんな顔をするでしょうね?(笑) |
SS…四ッ谷 チビリチビリと、美味い酒を楽しむ。 う〜む … 良い酒は、じっくり飲むに限るのぉ。 最近は、キャンベル星人の攻撃で、ゆっくり酒を楽しむ暇もない。 親友の南原博士は、惜しくも他界してしまった為、一緒に酒酌み交わす事もできん。 1人、チビチビやるしかない。 源さん(堀部源造 技師長)を誘っても良いのじゃが、時間が合わんしのぉ。 ワシは慣れとるが、源さんは 「酔った状態での整備はできん」 と言って、なかなか飲もうとせんのじゃ(-。-) では、木兵衛さんはといえば、奥さんの百恵さんに、ばっちり管理されとって長くは付き合ってもらえんし … 。 バトルチームの面々は、お子様じゃしのぉ。 他の職員は、ワシの事を 『ウワバミ』 じゃと言って付き合ってくれん。 最初の内は、付き合ってくれた者もおったんじゃがの。 ほとんどの者が酔い潰れてしまって、翌日には使い物にならなくなってしまってのぉ(^▽^; 各部署の責任者から、 「仕事に支障を来すから、職員を自分の趣味の犠牲にするのは止めてくれ」 と言われてしまった。 しかし … 犠牲とは … 別に犠牲にしているつもりはないのじゃがの。 酒を飲むのは、ごく一般的な事じゃろうが。 ただ … 他の連中が不甲斐ないだけじゃっ。 で、ワシは、密かに進めている計画があるのじゃ。 狙いを定めているのは、まず十三。 次が大作。 そして、豹馬。 ちずるは女じゃし、小介は時間がかかりすぎる。 と言う訳で、この3人を計画に入れておる。 「でも、いいのかよ、おっちゃん? 俺達、一応、未成年だぜ?」 右足を立て膝にして座り、グラスを揺らす豹馬。 「せやなぁ。 一番成人に近いワイでも、後2年あるんやで?」 グラスの中身を傾けて、中身をチビリと舐める十三。 「オイも、成人式は、まだ先たい」 背中を丸めながら、グラスを両手で包み込むように持つ大作。 「将来の為じゃ♪」 そう、将来の為と言う事で、今からこの3人にコッソリと酒を教えておる。 昔、グレておった豹馬と十三は、コッソリ煙草や酒をやっとった事があるようで、すんなり飲めた。 大作も、あのお虎おばさんの血を引いているせいか、最初こそタドタドしかったが、すぐ慣れた。 今はコッソリじゃが、2年我慢すれば十三が成人するから、堂々と付き合わせる事ができる! ソレまでに、有る程度飲めるように体を酒に慣らしておかんとな♪ 「何考えとるんですか?! この3人に飲ますとはっ!!」 あちゃぁ … 見つかってしまった … よりにもよって源さんじゃ。 騒ぎを聞きつけて、ちずると小介もやってきた。 「3人とも未成年でしょっ! 豹馬や十三君はともかく、大作君まで … 」 「( 「言い訳無用じゃ! 勧められたからと言って、未成年の分際で、飲むバカがおるかっ!!」 「それ以前の問題ですよ。 敵の攻撃あったら、どうするんですか? 一般の航空機のパイロットだって、常務何時間前からは飲酒禁止って規定有るでしょう? 僕たちは、いつ出撃有るか分からないんですよっ!」 「「「「 ……… はい、ごもっともで … 」」」」 4人で、廊下に正座させられて、こってり絞られてしまった( ̄▽ ̄; あれから、真面目な大作は、二度と付き合ってはくれんかった。 豹馬と十三は、敵の攻撃があって、完全撃破した(途中で撤退されなかった)その日なら、コッソリ、程々に … 。 完全撃破出来れば、その日の内に再攻撃に来るというのは、無いからの。 《 お酒は、二十歳になってから 》 …… 忌々しい標語じゃ。 後、2年くらい早まらんかの? |
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ぽかぽかと日差しが暖かい。
敵の襲撃もなく、穏やかな中、南原コネクションでは、奇っ怪な事件が起ころうとしていた … 。 「 ![]() リビングルームのソファでくつろいでいると、何やら可愛らしい鳴き声。 「な、何や?」 「え?」 「これって … 」 「猫 … ?」 赤い服を着て足に白いブーツのようなモノを履いた猫が居た。 が、実はソレは猫ではなかった。 「 ![]() 「豹馬〜っ?!」 「って、何やぁ、そないにちっこくなりおって! それにその耳?! そのシッポ?!」 皆一斉に目を見張った。 確かに、ソコは先程まで豹馬が居た所。 自分のしている事に集中していたので、誰も豹馬の変化に気づかなかったのだ。 豹馬は、猫耳が生え、シッポが生え、小さくなり、ソファにちんまりと座っていた。 不思議な事に、服などは、体と一緒に小さなサイズになっていた。 「 ![]() 特にする事もなく、隣で銃の手入れをしている十三の手元を見ていただけだったので、自分の変化に気づくのが遅れたらしい。 驚きつつも、おかしそうにしている十三に 「 ![]() 「いやぁ〜ん、豹馬、可愛い〜vvv」 「 ![]() 猫姿の豹馬に、ちずるが飛びつきギュウッと抱きしめた。 頬すりもしている。 ちずるの豊かな胸に押しつけられて、恥ずかしいのと嬉しいのと息が苦しいのが相まって、豹馬の顔は真っ赤だった。 「( 「大丈夫よ、豹馬。 元に戻るまで、あたしが面倒見てあげるわ♪」 猫豹馬を抱きしめながら、いい子いい子と頭を撫でるちずる。 豹馬はこの位置がまんざらではないらしい。 大人しかった。 「大丈夫でしょうか?」 「どぎゃんしたら良かか、解らんばい。 ばってん、あのままじゃバトルマシンに乗るのも無理じゃけん、ほんに何とかせんと … 」 「抱っこするのに、丁度良いサイズ♪」 奇っ怪な事が起こったにもかかわらず、楽しそうなちずるに抱っこされたまま、豹馬はため息をついた。 「 ![]() 「( 一部、妄想している輩もいた … 。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
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![]() リビングルームで再び鳴き声が上がった。 とにかく、このまま豹馬が猫化したまま元に戻れなかったら大変だからと、検査を受けさせようかと皆が腰を上げた時のことだった。 「 ![]() 「何ですかっ、今の悲鳴(?)はっ?」 「十三しゃんの声っぽかったばい」 「十三君が悲鳴上げるなんて … ねぇ、豹馬?(なでなで)」 その鳴き声と豹馬の姿から、チョット想像が出来たが、現実を認めたくなくて、振り返るに振り替えれなかった。 「 ![]() 密かに豹馬がため息をつきそうになりながら、ちずるの腕の中からちずるの背後を覗いた。 「 ![]() ソコには豹馬同様猫化して、ソファに 「 ![]() 「ええーっ、十三さんも猫になっちゃったんですか?!」 豹馬に続いて十三の猫化に頭痛を憶える小介。 一体、何がどうしてこんな事になったのか? 「 ![]() よからぬ野望達成のチャンスとばかりに、正に猫なで声でちずるに抱っこをねだる猫十三だった。 が、 「猫豹馬で手一杯だから、駄目っ」 「 ![]() アッサリ振られていた。 「当然じゃね」 「ちずるさんが猫豹馬さんを抱いているのは、可愛いからのみならず、豹馬さんだからですよ。 理屈じゃありません!」 大作と小介は、複雑な乙女心を猫十三に叩き付け、とどめを刺していた。 「 ![]() 『 ![]() 「 ![]() 哀れな妄想男に、冷たい一瞥をくれる猫豹馬だった。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
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猫豹馬と猫十三。 そろって検査を受けた。
それはもう、徹底的に検査した。 頭の先から足の先まで、ありとあらゆる角度から様々な可能性を考えて検査した。 しつこいくらいに検査した。 これでもかと検査したが、とうとうどこにも異常は見つからなかった。 「う〜ん、可愛くなるだけで害は無いのじゃが、敵が攻めてきた時にはどうするか … 」 四ッ谷博士も首をひねるばかり。 そんな時、豹馬に変化が見られた。 みんなの前で徐々に大きくなり、猫耳が消え、シッポが消え、元の豹馬の姿になった。 「元に戻った … 」 四ッ谷博士は慌てて再検査を始めた。 元に戻ったからと言って、後遺症が無いとも限らない。 それはもう、徹底的に検査した。 頭の先から足の先まで、ありとあらゆる角度から様々な可能性を考えて検査した。 しつこいくらいに検査した。 これでもかと検査したが、異常は見つからなかった。 完全に元通りである。 「あ〜ん、勿体ない … 可愛かったのに」 豹馬を抱っこして撫でるなど、普通出来る事ではないので、ちずるは心底残念がった。 「 ![]() 「豹馬〜。 もう一回、猫化しましょうよ〜♪」 ちずるの眼中にも入らない十三は、部屋の隅で 『の』 の字を書く。 「ですから、無駄ですって。 猫十三さん」 「 ![]() 「 ![]() 「あれっ、大作?」 「だ、大作さん?!」 大作の言葉がおかしくなってきた。 あれよあれよという間に小さくなり、猫耳が生え、シッポが生え、とうとう大作も猫化してしまった。 「 ![]() 「 ![]() 「猫だが … 結構大型だな」 猫豹馬や猫十三に比べると猫大作は、かなり大型だった。 「元の体の大きさに比例するんでしょうか。 そう言えば、猫十三さんも、猫豹馬さんより大きめですよね」 確かに猫十三も猫豹馬よりは大きかったが、これ程の差はなかった。 「流石にその大きさだと、抱っこは無理ね」 「 ![]() ちずるの一言に 「 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
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![]() 「何か、某テニス漫画の猫みてぇな鳴き声だな」 「日向で丸くなって、なりきっちゃってますね … 猫大作さん(ToT)」 結局、猫大作も検査を受けたが、猫化の原因は分からなかった。 仕方がないので猫十三共々、様子を見る事にした。 豹馬が何の異常もなく元に戻った事で、少し安心したせいもある。 「人としてのプライド無いんかいな?」 「あれ、十三。 元に戻ってやがる」 日向ぼっこしている猫大作に気をとられて、十三が元に戻る様子に気づかなかった一同だった。 「 ![]() 「ちっ、ちずるさんっ?!」 今度は、ちずるの言葉がおかしくなってきた事で、どうやらちずるも猫化するらしい事が解った。 「 ![]() 「今度はお前かよ … ほら、コッチこい」 「 ![]() 猫化が解った時点で、豹馬がちずるを呼び寄せる。 チョットした想像力と独占欲が手伝った。 猫ちずるなら、さぞ可愛いだろうと予想したのである。 「チョット待てや。 ワイの方に抱かせんかいっ!」 先程、ちずるに抱っこして貰えなかった事を気にしているらしい十三は、 『せめて抱っこしたる』 と考えていた。 が、猫ちずるは十三を綺麗に無視して豹馬の膝でくつろぎ始めた。 「 ![]() 日向ぼっこしていた猫大作は、ポツリと呟いた。 「( “男のロマン” ならぬ “男の子のロマン” みたいなモノを持っていた小介だった。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
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「しかしなぁ … 何か順番に猫化してね?(なでなで)」
「 ![]() 自分の膝に猫ちずるを乗せ、撫でつつ今回の奇っ怪な現象を考える豹馬だった。 「そやなぁ … 猫化する原因も解らへんしなぁ」 豹馬に 『羨ましいヤツ』 という視線を送りながら、十三も同意した。 無理矢理ちずるを抱っこしようものなら引っかかれそうなので、諦めたのだった。 「短時間だけ作用するウィルスとかかのぉ?」 伸びをしながら日向からソファに戻ってきた大作。 どうやら元に戻ったようである。 「 ![]() 今まで考え込んでいた小介が、何時の間にやら猫化していた。 「 ![]() 「お〜。 とうとう小介まで猫化が回ったか」 「お〜、片手に乗るで」 先程、 『猫化した姿の大きさが、元の大きさに比例する』 というのを証明するように、豹馬やちずる以上に小さい子猫になった猫小介が居た。 「コラ、ちずる。 暴れんなよ。 お前も猫化してるんだぞ」 猫ちずるは、どうやら猫小介を抱っこしたいらしい。 豹馬の腕の中でバタバタ暴れている。 「ちずるしゃんが元に戻っても小介しゃんは猫化しとると。 急がんでも大丈夫たい」 「 ![]() 「 ![]() 猫ちずるは、早速猫小介の抱っこ予約を取った。 「なんでやね〜んっ?!」 自分は抱っこして貰えなかったからだろう。 十三は、再び叫んでいた。 「猫小介は、ちっちゃくて可愛いからだろ?」 豹馬はサラリと理由を言って、十三にとどめを刺す。 「 ![]() 「小介ぇ … 解ってんだろうな … (¬_¬)」 「 ![]() ちずるに抱っこして貰えると言う事で、 “男の子のロマン” が実現する事に期待し、胸をドキドキさせていた猫小介だったが、豹馬の睨みに、言葉にされなかった言葉を察して、コクコクと首を縦に振るのだった。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
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「お、ちずる降りろ。 元に戻りそうだぜ」
ちずるの身体の変化を膝に乗せていたおかげで、いち早く感じ取った豹馬は、猫ちずるを脇に置いた。 「 ![]() 途端、豹馬の隣で元に戻っていく。 「猫ちずるは、さすがに可愛かったなぁ」 「アリガト、十三君」 十三に褒められて、チョット嬉しいちずるだった。 やはり女の子は、どんな時でも “可愛い” と褒められるのは嬉しいらしい。 「すっかり元通りたい」 「さ、小介くぅん♪」 「 ![]() さっそくと、ちずるは猫小介を抱っこ。 更にご機嫌になった。 が、逆に機嫌が低下する人も … 。 「 … (¬_¬)」 無言で猫小介に視線を送り、圧力をかける豹馬だった。 「 ![]() 「やっぱり、ちっちゃい猫は可愛い〜♪ 猫豹馬は成猫だったけど、猫小介君は子猫ね」 人間の時の大きさは、やはり猫化した時の大きさと比例するようだ。 「オイと十三しゃんも成猫じゃったけど、豹馬しゃんよりは大きめだったばい」 「やっぱり、元の大きさが影響しとんのやな」 「どーせ、俺は小柄だよっ」 長身の十三や大作と比べると、小柄な豹馬。 男として、ちょっぴりコンプレックスらしい。 「そのおかげで、ちずるに抱っこされとったくせに!」 大きさはちずるに抱っこされた事とは余り関係なかったが、十三は自分がちずるに抱っこされなかったので、大きさのせいにしたいらしい。 「 ![]() 「アレより大きくても、豹馬しゃんなら抱っこして貰えたと思うばい … 」 「 ![]() 大作と猫小介は、大人げない十三に、それぞれにため息をついた。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
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程なくして猫小介も人間に戻り、今回の奇っ怪な出来事は、一応終息した … かに見えた。
豹馬が廊下を歩いていると前方に猫 … 。 「 ![]() よくよく見ると、良く見知った整備員 … の猫化した姿だった。 豹馬達が猫化した日を境に、コネクションのあちこちで所員が猫化する現象が見られるようになった。 原因は未だ不明だが、しばらくすれば元に戻り、体に害がない事は幸いだった。 「少しだけ、猫化のパターンが解ったそうです」 「へぇ。 何か周期かキッカケでもあったのか?」 いつもの如くリビングルームでくつろぎ始めた時、小介が猫化現象についての最新情報を持ってきた。 「猫化した事のある人達にアンケートを採った結果なんですがね。 皆さんも書きましたよね?」 「そう言えば、書いたばい」 「そやったな」 「で、そのアンケートの集計結果で何かのパターンが解ったの?」 小介は集計結果の紙をテーブルに置いて、他のメンバーにも見せつつ言った。 1.猫化に年齢・性別は関係ない。 2.短くて5〜10分、長くても1時間くらいで元に戻る。 3.健康状態、その他に影響は全くない。 無害。 4.猫化してから元に戻るまでの記憶がちゃんとある。 5.忙しい・集中している時などには猫化せず、リラックス・休息している時などに猫化する。 「って事は、猫化する時は、戦闘中とかにいきなり猫化したりはしないって事だよな?」 「そうですね」 一同は少し安心した。 猫化した体は、元の体の大きさと比較するとかなり小さい。 戦闘中にいきなり猫化して、レバーやスイッチの操作ができなくなったら大変だ。 「ばってん、猫化している最中に敵が来たらどぎゃんすると?」 あり得ない事ではない。 敵は、何時攻めてくるか解らない。 攻撃予告などしてくれない。 「今のところ、どうなるかは解りません。 実例がないので … 」 小介も困ったように答えた。 その時になってみないと解らない。 「ほなら実験してみよか?」 「「「「実験?」」」」 十三の発案内容を聞いて、皆はナルホドと頷き、 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
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ターゲット確認。
豹馬達は とは言っても、対象者に 『被験者になってくれ』 等とは言わない。 あくまで、 『緊急時にどうなるか』 という事を知る為の実験をしなければならないので、何も言わず、勝手に被験者としてしまう。 実験内容はこうだ。 猫化している被験者にウソの緊急事態を告げ、その時に猫化している身体に変化があるかどうかを見る。 被験者にとっては、 “どっきりカメラ” みたいなモノだ。 「出来れば、緊急事態になると猫化が解けて元に戻ってくれると良いのですが … 」 「ほな、行ってくるで」 緊急事態を告げる役に立候補した十三が、被験者に向かって焦った風に走り出した。 その後、豹馬達は十三の迫真(?)の演技で猫化した被験者にウソの緊急事態を付ける様子やあせりまくる被験者を見ながら何度も笑いをかみ殺し、結果が出た後に爆笑すると言う事を繰り返した。 「 ![]() 「 ![]() 「 ![]() 「 ![]() 「 ![]() 実験の結果、猫化しても緊急事態と本人が認識すれば、猫化は解けるらしい。 1人や2人では、偶然もあり得るので、10人ばかり試してみた。 猫化が解けた後、事情を話して実験させてもらった事を告げれば、皆、猫化に関しての情報が余り無かったので、新たな事実が分かり、緊急事態にも対応できることが解ったので、勝手に被験者にした事をさほど怒りもせず許してくれた。 この実験結果は、四ッ谷博士に報告され、その後コネクション中に伝達。 やはり、緊急時に猫のままでいたらどうしようという不安があったらしく、皆を安心させていた。 「 ![]() 猫豹馬の何気ない一言に、 “猫化した自分達に何が出来るか?” と言う考えが皆にも浮かび、今度はソレを確かめようという話になった。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
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「
![]() とか何とか言いつつ、司令室の指令席に丸くなる猫四ッ谷博士。 酒瓶は普段から小さめのモノを持ち歩いているものの、猫姿では、さすがにチョット大きい。 しかも、猫姿で酒を飲んで体にどんな影響があるか … 。 体の大きさから考えると、飲み過ぎで急性アルコール中毒になるかも知れない。 四ッ谷博士が急性アルコール中毒と言うのは考えづらいが、普段とは違う状況なので用心に超した事はない。 遅くても1時間くらいで元に戻るのだ。 その間は寝て過ごせば禁酒も余り苦ではない。 「あ、おったで」 「じゃ、さっそく実験 … 」 豹馬と十三が、あるペットボトルを手に猫四ッ谷博士に近づいた。 「おっちゃん」 豹馬が、指令席で丸まる猫四ッ谷博士に声をかける。 「 ![]() 「酒、飲んでねぇの?」 手を付けられていない酒瓶にチラリと視線を向けて聞いてみる。 「 ![]() 「ほな、代わりに、猫化しとる時はコレ飲んだらエエワ」 持っていたペットボトルから、小さな紙コップに中身を注ぐ。 「味見してみぃ」 十三は、猫四ッ谷博士に紙コップを差し出した。 「 ![]() 「ウォーター系の飲み物や」 「猫化中はこれが良いんじゃないかと思ってさ。 おっちゃんの意見も聞きてぇんだ。 試してみてくれよ」 猫四ッ谷博士は、クンクンと紙コップの中身の匂いをかいでみる。 「 ![]() かいだ匂いに反応し、猫四ッ谷博士は紙コップを受け取ると一気に飲んでしまった。 「 ![]() たった1杯で、ふわふわ、フラフラ状態になった。 「うっわ〜、ココまで反応しやがるとは … 」 「ホンマやなぁ。 ココまでとは思わんかったワ。 恐るべし “またたびウォーター” … 」 「猫化した時のおっちゃんには、コレだな。 安上がりだ」 猫用フード “またたびウォーター” 230円。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
イラスト1 拍手用に描いた物です。 豹馬だけ、サイズが違う … (^_^; ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
イラスト2 拍手用に描いた物です。 豹馬のみで、他のメンバー分はありませんでした。 と言う事で、この猫ひょ〜まは、ある意味スペシャル画像でした。 ![]() |
イラスト3 拍手用に描いた物です。 豹馬とちずる。 いつものイラストの描き方とは違う描き方してみました。 今のところ、ペアものはコレと今拍手にあるモノ1枚だけ。 ![]() |
アイコン1 拍手用に作った物です。 豹馬&十三は 【別館】 に格納されてますので、そちらでどうぞ♪ ![]() ![]() ![]() ![]() |