side 浪花 十三
トレーニングなんかが終わって着替える時、ロッカーの鏡に映る自分。
体のあちこちに細かい傷。
戦いによる傷や。 名誉の負傷、男の勲章ってヤツやな。
大きな傷は、治療の過程で整形してほとんど解らんように消してくれる。 まぁ、ワイはそんな傷が残っても気にせぇへんけどな。 男やし。
けど、ちずるとかはなぁ。 ソレと、もう一つ … 。
隣で着替える豹馬を気づかれんようチラリと見やる。
アイツも傷一杯や。 大きな傷はワイ同様整形してもろとるけど、光の加減でうっすら見える肩の傷。
腕を移植した時のヤツや。
人工細胞を使ったサイボーグ義手。 限りなく生身の腕に近い義手。
どんなに見た目が生身の腕と同じでも、動きがスムーズでも、豹馬生来の腕や無い。
アレを見るとワイの傷がうずく。 胸の奥の傷が … 。
今でもあの時ん事思い出すと、辛ぅなる。
正直、助けようと思ってやった事や。 けど、あんな事になるやなんて … 。
ガルーダに撃たれた両腕。 遠目からでも重傷や言う事は解った。
肩のすぐ下。 腕の外側が無茶苦茶やった。 ワイも、最初見た時は目ぇそらしたくらいや。
もし、あのままやったら、豹馬は勇退やったな。 復帰はありえへんかった。
過去に無許可で人体実験してたり、一時は地球側を裏切ったりしてた勝田博士の研究が役立ったなんて、皮肉やなぁ。
豹馬には謝りはしたんやけど、 「十三は俺を助けようとしただけで、腕の事は関係ねぇって。 謝る必要ねぇぞ」 なんて、アッサリ言いおった。 「自分がボケッとしてて、十三が作ってくれたチャンスを生かし切れなかっただけだ」 なんてな。
ちょっとは怒ってくれた方が楽やったんやけどなぁ。
あの後、毒やら拒絶反応やらで大変やったけど、今は落ち着いて … 。
このまま何事もなく、あの腕が豹馬の一生を支えてくれる事を祈るワ。
* 作者の言い訳 *
【第6話 大将軍ガルーダの挑戦】 と 【第7話 絶叫! 俺の腕を返せ】 からのネタです。
あの一件に、十三は直接関わっちゃいましたからね。 多少は自責の念があるのではないかと … 。
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