side 南原博士
バトルマシンの最終パイロット候補が揃った。
天才的スピード感覚と戦闘センスの持ち主・葵 豹馬。
射撃の天才・浪花 十三。
柔道の達人・西川 大作。
大人以上の天才的頭脳の持ち主・北 小介。
そこに私の孫、南原 ちずるを加えた5人。
この5人が、これからの地球の命運を担う事になる … 。
バトルマシンは、単体でも使えるが、最大の能力を発揮するのは、やはり合体した時。
しかし、合体しても、それぞれのパイロットがいがみ合っていては発揮できるはずの力も発揮できずに終わってしまう恐れがある。
どうすれば良いか?
最大限に力を発揮するには、皆の心が一つにならないといけない。 チームワークが大切だ。
このメンバーで、それができるか?
所員達から意見もあった。 このメンバーにチームワークを求めるのは … と。
コンバインする時に、全員の脳波の一致を合体のキーとしたのは、それがある。
皆の心を一つにしておかないと、合体していてもそれぞれのマシンで勝手をし出す恐れがあるからだ。
万が一の事を考えて、合体してからもメインパイロットの操作以外に、合体したままの状態で担当部分だけは各パイロットの操作で動かせるようになっている。
それがアダにならないように、全員が結束してくれる必要があるのだ。
葵 豹馬 … 。
施設で育ち、世間や大人に対し不信感がある。
グレて暴走族に入ったものの、族仲間とは一緒にいるだけで彼の中で “仲間” と認識していなかったようだ。
浪花 十三。
老舗旅館のお坊ちゃん。
一時グレた事があったが、更正。 しかし、クールで一匹狼的な所がある。
北 小介。
わずか9才でアメリカの大学に留学する程の頭脳を持つ分、子供との接触は少なく、大人の世界で育ってきた。
その分、精神的に大人びており、大人に対しても冷ややかな態度をとる事がある。 悪く言えば馬鹿にしている。
そして、ちずる。
前記の3人程の問題はないが、有るとすれば、私の孫だとと言う事。
その事で、皆からどう対応されるか … 。
西川 大作は、家族も円満。 弟と妹がいる分、世話焼きだったり思いやりがあったり。
皆の “和” となってくれる事を期待している。
確かに、これだけを見れば心配にもなる。
しかし、他の側面を見れば…。
豹馬は、孤児として差別されたから世間に不信感を持ってはいるが、施設では年下の子達の面倒を見ていたし、慕われている。 良いお兄ちゃんなのだ。
十三は、一匹狼的な所があるとは言っても、完全に他人との交わりを絶っている訳ではない。 ライフル射撃では、ライバルであり親友だという人物もいる。
小介は、同世代や年の近い人間との交わりがなかっただけであって、悪い子ではない。 今までより比較的年の近いメンバーと一緒に行動し、今までに無い経験をする事で人間的に丸くなれるだろう。
それに大作の “和” が加われば … 。
良い仲間になってくれる事を願う。
彼らの姿が、地球全体に影響を及ぼす事になる。
彼らが良い仲間になってくれれば、地球全体も、いつか良い仲間になれるはずだ。
* 作者の言い訳 *
第2話で、 「国境? そんなモノは忘れて頂きたい!」 って、南原博士は言ってましたよね。
そう、地球人は “宇宙船・地球号” の乗組員仲間ですからね。
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