100のお題 No,071 「ヤリタイ盛りなの!」





 何が原因か解らないが、ここ最近、一木兄妹のイタズラが多くなった。
 元気いっぱいのこの兄妹。 確かに以前からイタズラをしなかった訳ではないが、その回数がグンと増えた。
 「俺、昨日もやられた」
 「ワイもや」
 「オイも3日連続で」
 「僕なんか、1日で3回引っかかりました」
 「あたしは … 知恵ちゃんにはやられないんだけど、金太君の方がね … 」
 一番の被害者は、勿論バトルチーム。
 他の所員は、仕事の邪魔になる。 下手をするとシステムに支障を来す恐れさえある。 その点、バトルチームはコネクション内にいる時は、イタズラを仕掛けても、支障をきたすという事が少ない。
 彼らの仕事は、コネクション外に出てからだから。
 「だからといってもなぁ、俺らはコネクション内にいる時は、休息 … まぁトレーニングしてる時もあるけど、精神的に休息してるようなモンだろ?」
 「そやそや。 精神的休息の妨げは、願い下げや」
 少しのイタズラなら、チョットした刺激、おふざけで済むが、こう頻繁になるとイライラしてくる。 精神的には、余りよろしくない。
 何度か言って聞かせているのだが、余り改善されていない。
 「木兵衛さんと百江おばさんに、それとなく言ってみる?」
 「あんま、密告しチクりたかねぇけど、しゃぁねぇかなぁ … 」

 ふと、窓の外を見た小介が思い当たったように皆に聞いてみた。
 「ひょっとして、2人もストレスの反動からイタズラしているとか、ありませんか?」
 「金太と知恵にストレスゥ?!」
 「どんなストレスや?」
 我が物顔でコネクションを走り回る、あのマメ台風達にストレスとは … ?
 「ホラ、この間の攻撃で、コネクションの被害もかなりの物じゃありませんか? 建物の中から、外へほとんど出られない状態じゃありませんか」
 そう、前回の攻撃はコネクションの被害も甚大で、職員でさえ建物の外に出るのが困難なのだ。 今日になって、ようやく街へ通じる道を作る事が出来たのだ。
 それまでは、空からしか出入りしかできなかったので、修繕・修理に必要な資材や食料など、輸送機やバトルマリンに寄る空輸に頼っていた。
 そんな状況だから、当然の事ながら、一木兄妹が外に出て遊ぶ事は出来なくて … 子供を遊ばせる為だけに輸送機やバトルマリン、ヘリ、ジェットミニ等を飛ばす訳にもいかないし。
 「外に出て遊べないけんストレス溜まって、反動でイタズラばするっちゅう事ですかのぉ?」
 「そう考えたんですけど、どうでしょう?」
 「う〜ん、どうかなぁ … 。 そういや俺も、しばらくバイク乗ってねぇ … 」
 豹馬のオフロードバイクなら、豹馬のテクニックと合わせて外に出られなくもないが、コネクション内の手伝いが忙しくて、外に出てないのだ。

 「甘いな〜」
 「「「「「?!」」」」」
 5人の背後から声が掛かった。 振り向くと、今まさに話題に上っていた一木兄妹である。
 「ストレスなんて、溜めてないよ♪」
 「そ。 外に出ようと思えば、アタイ等出られるモン。 ケロットで」
 そう、今回ケロットは、いつも置いてある場所ではなく、攻撃を逃れてコネクション内に避難していたのだ。
 「車とかは通れないかも知れないけど、ケロットならジャンプ一発でOKだもんね」
 「ね〜♪」
 確かに、2人の言う通りで、顔つきもサッパリしている。
 「ほな、何でこないにイタズラすんのや?!」
 5人の気持ちを代弁する十三に、一木兄妹はニッコリ笑って一言。

 「「ヤリタイ盛りなの!」」

 「や、ヤリタイ盛り … 」
 「ふざけてんなーっ!」
 くだらない理由を聞き、キレたバトルチームと一木兄妹の追いかけっこが始まった。


 後日、遠慮無く木兵衛と百江に一連の事を密告さチクられた一木兄妹は、しっかり説教を食らったとか。




* 忍の言い訳 *
 イタズラも微笑ましい物ならともかく、笑えない物はね〜( ̄▽ ̄;
 精神衛生上、程々にしましょう。




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