「春なんだよな〜?」
「ああ、春の筈や」
「春 … なのかしら?」
「暦的には、春です」
「気象的には冬じゃなかと?」
例年にない異常気象。
春なのに、北風が吹き、雪がちらつく事もある。
キャンベル星人の攻撃が関連しているのだろうか? それとも、以前のようにキャンベル星人の仕業なのか?
それは解らないが、ともかく寒いのだ。 体感、見た目、気温、共に冬と言って良い。
「ったく、やっと温かくなってくると思ってたのに。 バイクに乗りやすくなるの待ってたのによ」
「何や、これくらいの寒さ。 柔いやっちやな」
「何言ってんだ。 別に我慢できないとか言ってる訳じゃないぜ。 只、冬よりは春や秋の方が乗りやすいって話をしてるんだろ?!」
「ホンマかいな〜?」
「けっ、東京より南の温い所で育ったお前なんかより、ずっと寒さには強いぜっ」
「温いとは何や?! 育った所は関係ないやろっ」
「そうたい。 大阪より南の育ちのオイでも寒さに弱いっちゅう事はなかっ」
ちずると小介がビックリしている間に、話はどんどんエスカレートしていった。
「ほな、北海道育ちでも、ほとんど室内におった小介はどうや?! よっぽど温いトコにおるやんかっ」
「なっ、チョット十三さん。 僕に我慢ができないとでも言うんですか?」
とうとう小介まで巻き込んで、我慢強さを自慢する言い争いに発展してしまった。
「ど、どうしたんですか、皆さん … 」
バトルチーム男性陣のその姿を見た所員達は、タップリ1分近く固まった。
その後、ようやく我に返った所員の1人が、やっと口を開いたのだ。
「おう、どうだ? 日本男児って感じだろ?」
機嫌良く豹馬が応じた。 が、所員達は、固まってはいないものの目が点になったままだ。 まぁ、いきなりフンドシ姿の彼らを見れば、仕方がないが … 。
「これから海に行くんや」
「海ぃ〜?!」
驚く所員達を尻目に、バトルチーム男性陣は準備運動を始める。
「まったくもぉ〜」
その声に振り返ると、普通に戦闘服を着て頭を抱えているちずるが居た。
所員は、チョット残念がった者も居たようだが(何に?(笑))コレ幸いと、ちずるに事情を聞く事にした。
「じゃ、誰が我慢強いかで喧嘩になって … 」
「 『なら、試してみよう』 と寒中水泳をする事になったと … 」
「そう言う事(-。-)」
事の顛末を聞き、ようやくフンドシ姿に納得した(一部 「海パンでも良いのでは?」 と納得しかねる部分もあるが)所員達は豹馬達に視線を戻して言った。
「燃えてるね」
「おう、燃えてるぜっ(^ー^)v」
「うん、若いって良いね」
「そんなくだらない事で燃えなくて良いのよ!」
「頑張れよ〜」
「異常気象に負けんなよっ」
やんや、やんや。
引き留めるどころか、応援を始めた所員達に、更なる頭痛を覚えるちずるだった。
寒中水泳開始と言う事で、かけ声も高らかに外に出て行ったバトルチーム男性陣と、それを止めさせようとついて行くちずるを見送りながら、所員の間で密かに “誰が一番我慢出来るかトトカルチョ” が開催されたとか … 。
が、キャンベル星人来襲でチャラになったというのは、後に聞いたお話。
* 忍の言い訳 *
第45話 【敵の秘策! スピン封じ】 が元ネタです。
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