100のお題 No,067 「燃えてるね」





 「春なんだよな〜?」
 「ああ、春の筈や」
 「春 … なのかしら?」
 「暦的には、春です」
 「気象的には冬じゃなかと?」
 例年にない異常気象。
 春なのに、北風が吹き、雪がちらつく事もある。
 キャンベル星人の攻撃が関連しているのだろうか? それとも、以前のようにキャンベル星人の仕業なのか?
 それは解らないが、ともかく寒いのだ。 体感、見た目、気温、共に冬と言って良い。

 「ったく、やっと温かくなってくると思ってたのに。 バイクに乗りやすくなるの待ってたのによ」
 「何や、これくらいの寒さ。 柔いやっちやな」
 「何言ってんだ。 別に我慢できないとか言ってる訳じゃないぜ。 只、冬よりは春や秋の方が乗りやすいって話をしてるんだろ?!」
 「ホンマかいな〜?」
 「けっ、東京より南の温い所で育ったお前なんかより、ずっと寒さには強いぜっ」
 「温いとは何や?! 育った所は関係ないやろっ」
 「そうたい。 大阪より南の育ちのオイでも寒さに弱いっちゅう事はなかっ」
 ちずると小介がビックリしている間に、話はどんどんエスカレートしていった。
 「ほな、北海道育ちでも、ほとんど室内におった小介はどうや?! よっぽど温いトコにおるやんかっ」
 「なっ、チョット十三さん。 僕に我慢ができないとでも言うんですか?」
 とうとう小介まで巻き込んで、我慢強さを自慢する言い争いに発展してしまった。

 「ど、どうしたんですか、皆さん … 」
 バトルチーム男性陣のその姿を見た所員達は、タップリ1分近く固まった。
 その後、ようやく我に返った所員の1人が、やっと口を開いたのだ。
 「おう、どうだ? 日本男児って感じだろ?」
 機嫌良く豹馬が応じた。 が、所員達は、固まってはいないものの目が点になったままだ。 まぁ、いきなりフンドシ姿の彼らを見れば、仕方がないが … 。
 「これから海に行くんや」
 「海ぃ〜?!」
 驚く所員達を尻目に、バトルチーム男性陣は準備運動を始める。
 「まったくもぉ〜」
 その声に振り返ると、普通に戦闘服を着て頭を抱えているちずるが居た。
 所員は、チョット残念がった者も居たようだが(何に?(笑))コレ幸いと、ちずるに事情を聞く事にした。

 「じゃ、誰が我慢強いかで喧嘩になって … 」
 「 『なら、試してみよう』 と寒中水泳をする事になったと … 」
 「そう言う事(-。-)」
 事の顛末を聞き、ようやくフンドシ姿に納得した(一部 「海パンでも良いのでは?」 と納得しかねる部分もあるが)所員達は豹馬達に視線を戻して言った。
 「燃えてるね」
 「おう、燃えてるぜっ(^ー^)v」
 「うん、若いって良いね」
 「そんなくだらない事で燃えなくて良いのよ!」
 「頑張れよ〜」
 「異常気象に負けんなよっ」
 やんや、やんや。
 引き留めるどころか、応援を始めた所員達に、更なる頭痛を覚えるちずるだった。


 寒中水泳開始と言う事で、かけ声も高らかに外に出て行ったバトルチーム男性陣と、それを止めさせようとついて行くちずるを見送りながら、所員の間で密かに “誰が一番我慢出来るかトトカルチョ” が開催されたとか … 。


      が、キャンベル星人来襲でチャラになったというのは、後に聞いたお話。




* 忍の言い訳 *
 第45話 【敵の秘策! スピン封じ】 が元ネタです。




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