「《ほな、2人とも大丈夫なんやな?》」
「《ああ。 他の日本人会のメンバーも大丈夫だって、ジャクソン総長が教えてくれたよ》」
「《脳に埋め込まれた物でしたから、後遺症が心配でしたけど》」
「《良かったばい」
ニューヨークで行われた祝賀会。 その一つ、 【ニューヨーク日本人会】 主宰の仮装パーティは、キャンベル星人の作戦に利用されてしまった。
「《しかし、勿体なかったなぁ。 せっかくのパーティやったのに。 ワイ等は、戦いさえ終わればパーティに戻って楽しめる思うてたのに … あわよくば途中で交代してて考えてたんやで》」
キャンベル星人は、撃退すれば、最低でも数日は攻撃してこない。 おそらく、次の攻撃の準備があるからだろう。 だからこそ、十三のような考えも出てくる。
「《メンバー全員病院送り。 会場は火事で黒コゲ。 続きどころじゃないわね┐( ̄▽ ̄;)┌》」
ちずるとしても、豹馬としずかのイチャイチャが気に入らなかったとはいえ、パーティへの出席など滅多にない機会なので、それなりに楽しもうと思っていたのだ。
だが、帰還の時間は迫っている。
「《おお〜い、各機、進行状況申告。 修理・整備が終わったら、総長に挨拶してコネクションに帰還するからな〜》」
実は今までの会話、通信機を通してのもの。
先程までの戦闘で傷ついた機体をチェック・修理・整備しながらの会話だった。
普段ならコネクションの整備班に任せる所だが、ココはニューヨーク。 勿論、整備班の出張など無い。 バトルチーム5人だけで来たのだ。
ニューヨークにバトルマシンの整備・修理が出来る人材が居る訳もなく、当然自分達でやらねばならない。
必要最低限の事は、みっちり仕込まれている。 大きな修理はちずるがマリンで、小さな修理と整備は小介の指示も交えてと、皆、忙しく動いていた。
「《豹馬、帰る前にもう一度病院行くんか? あの “熱烈キッスプレゼント☆” の嬢ちゃんに会いに》」
「《ね、 “熱烈キッスプレゼント☆” って … /////》」
「《ね、 “熱烈キッスプレゼント☆” ぉ(# ` ´)》」
“熱烈キッスプレゼント☆” 娘 … 言わずと知れた、五条しずかの事である。
バトルチームがニューヨークに着いてから、一体豹馬に何回キスした事か … おかげで、ちずるの機嫌が一時悪かった。
レセプションやパーティへの出席、戦闘などがあって、すっかり忘れていたが、十三の一言に話が蒸し返された。
「( 彼女は妹、妹、妹 …)」
病院でのおねだりに応えてくれた豹馬を信じようと、ちずるは豹馬にとってしずかは “妹” なんだと繰り返して、気持ちを落ち着けた。
「《そ … そうね。 もしかしたら目が覚めてるかも知れないし。 パーティの主催者である五条氏にご挨拶もしないと … 》」
からかうつもりで言った “熱烈キッスプレゼント☆” の一言に、余り反応を示さなかったちずるに、十三は拍子抜けした。
大作と小介も、ちずるの剣幕を近くで見ているだけに、反応の薄さに驚いていた。
「( ひょっとして、あのおねだりに応えたの、正解だったか?)」
十三の一言に一瞬おびえた豹馬だったが、ちずるの反応に、密かに胸をなで下ろしたのだった。
* 忍の言い訳 *
いくらニューヨーク在住とは言え、アメリカかぶれが過ぎると思いません?<五条しずか
元は日本生まれ日本育ちの彼女が、そんなにあっさりとアメリカの習慣、ハグ&キスを受け入れられるのが疑問ですが … それとも、元々その気があった?!
|