100のお題 No,059 「笑いが止まらない」





 「あっはははははははははっっ(ToT)」
 「お、お腹が … い、痛 … あはははっ」
 リビングルームのテレビの前にあるソファで、金太と知恵が、腹を抱えて笑っている。
 どうやら、見ていたテレビに出演していた芸人のギャグが、思いっきり二人のツボを突いたようだ。
 「何だぁ? あの二人どうしたんだ?」
 丁度リビングルームに入ってきた豹馬が、近くにいた小介に尋ねた。
 「テレビを見ていて、突然笑い出したんです。 どうやら、芸人のギャグが面白かった様なんですけど、僕は、本を見ていましたので、どんなギャグだったかは分からないんですけど」
 テレビ側でないソファにいた小介は、実際テレビを見ていなかったし、音声も、本に集中していたおかげで、ほとんど耳に入っていなかった様である。
 同じく、小介同様、こちら側のソファで将棋を指していた十三と大作も、豹馬の方を向いて自分たちも同様だった事を言った。
 「じゃ、誰も笑いの原因のギャグは聞いてなかったのか」
 一斉に頷く三人を後にして、豹馬は一木兄妹に歩み寄る。
 「オイ、何がそんなに可笑しかったんだ?」
 そんなに笑う程のギャグとは、どんなモノか? チョット興味がある。
 「あ、あの、ね … ははははははっ」
 「アレが … あははははははははっ(ToT)」
 二人共、一向に笑いが止まらない。 ちっとも説明出来ないでいる。
 「駄目だ、こりゃ┐( ̄▽ ̄;)┌」
 完全に笑いのツボにはまってしまった二人が落ち着くのは、大分先の様だ。

 「なぁに、どうしたの?」
 今度は、ちずるがリビングルームに入って来て、豹馬同様、笑い転げる金太と知恵に目を見開いた。
 先程、豹馬にした説明と同じ事を小介がちずるに説明してやる。 そして、笑いが止まらない事も。
 「駄目だ。 完全にツボにハマっちまってて、内容聞くどころじゃねぇよ」
 二人から内容を聞く事を一端諦めた豹馬が、ちずるのそばまで来て言った。
 二人が見ていた問題の番組は、既に終了している。 どうやら、ツボにはまったギャグを言った芸人は、最後のトリだったらしい。
 二人は、その後も、しばらく笑いが止まらずにいたが、流石に腹筋をかなり酷使し、呼吸が苦しくなってきた為、ようやく落ち着きを見せ始めた。

 「そーいえば … 金太、昼間わろてた、アレ。 結局、どないなギャグやったんや?」
 夕食時。
 ふと、十三が昼間の事を思い出して、木兵衛を手伝う金太に聞いてみた。
 他のメンバーも興味津々。 なにせ、随分笑い転げていたギャグなのだから。
 「ああ、アレ? あれ … は … あれ?」
 首をひねる金太。
 「なぁ、知恵。 昼間のテレビの、オイラ達が笑い転げてたアレ。 どんなギャグだったっけ?」
 「えっ? え〜っと … あれ? どんなギャグだったっけ?」
 同じく首をひねる知恵。
 「ひょっとして、覚えちょらんと?」
 「「 … みたい(^▽^;」」
 あれほど大笑いしていたギャグをすっかり忘れてしまった様である。
 やっと真相が明らかになると、期待していたのに、とんだオチである。
 「いや〜、聞いた時には、すっごくツボにハマったんだけどな〜(^▽^;」
 「笑ってるウチに忘れちゃった(^▽^;」
 一同、がっかり拍子抜け。

 笑いは、何もかもを吹き飛ばす様である。




* 忍の言い訳 *
 でも、笑いのツボって、結構意外な所にあったりするんだよね。
 二度目に聞いた時には、そんなでもなかったりするし(^▽^;




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