「いけいけ〜っ!!」
「あっ、バカッッ!!」
敵との戦闘時、必ず … とまでは行かないが、90%位の割合で一緒に出撃してくる一木兄妹操るケロット。
正直、邪魔な時も有れば、危機を救って貰ったり、敵の目をそらして貰ったりという時もある。
しかし、そのほとんどは、邪魔 … というか、何の役にも立ってなかった。 彼らなりに、有る程度の分別があるらしく、黙ってみている事もあるくらいだ。
コン・バトラーの危機を救った事もあるくらいだ。 基本的には賢いのである。
しかし … 基本的には賢くとも、やはりまだ子供だった。
コン・バトラーの分が悪く、一端退こうとした時、ケロットが敵に突っ込んでいってしまった。
「ガムガム弾発射!」
ケロットの口からスプーンですくったガムが発射される。 その粘着力で相手を拘束しようと言うのだろうが、相手が悪すぎる。
コレが、普通の地球人くらいになら有効かも知れないが … 。
いつも通り、さほどの効果もなく、ケロットは敵に蹴り飛ばされてしまった 。
「お前等なぁ … 」
あの後、何とか敵を撃退し、つかの間の平和が訪れたコネクションのリビングルームで、一木兄妹はバトルチームから説教されていた。
「あんな所で、突っ込んで行くなよ! むやみやたらに突っ込んできゃ勝てるって訳じゃねぇんだぞっ!!」
「そや。 一歩間違ごうたら 『痛い』 で済まなくなるんや。 死んでまうんやで!」
次々にガミガミと説教されたが、それくらいで引く一木兄妹ではない。
そんな事で退くくらいなら、ケロットなんかで毎回のように戦場に出ては行かない。 そこら辺の子供とは根性の座り方が違うのだ。
「でも敵に攻撃を当てる為には、飛び込まなきゃでしょ?!」
「そうだよっ!」
もっともな意見なのだが、突っ込むばかりが兵法ではない。
「バカ野郎っ! お前等がいつもやってる事を忘れてんのか?! 敵の隙を作る為に、囮になってくれたりしてるじゃねぇか。 何の為だ? コン・バトラーで確実に敵にダメージを与える為だろ?」
「そ、そうだよ」
コン・バトラーから比べれば … と言うか、比べる事自体が間違っているかも知れないが、ケロットの戦闘能力は高くない。
ソコの所をわきまえて、囮になってコン・バトラーをサポートしてくれる時が多々あった。 そんな賢い行動が、バトルチームの面々に一木兄妹を “次期バトルチームメンバー” と認めさせている要因にもなっていた。
「だったら、退く時は退けよ! ソレも戦い方の一つなんだ」
「そうよ。 一端退いて体勢を立て直すとか、相手を油断させるとか、隙を作らせるとか … 。 今までコン・バトラーの戦いを見てきて、そして自分達でも戦いに参加して、色々解っていたと思ってたけど」
「「 ………… 」」
焦っていたのかも知れない。
役に立ちたいという想いが空回りする事が多いから。
言われてみて、冷静に考えれば、退くべきだったと … コン・バトラーに迷惑をかけたと解る。
「「ごめんなさい … 」」
2人の様子から、自分達の言った内容を理解してくれたと悟った豹馬は、2人の頭に手を乗せた。
ガシガシと乱暴に頭を撫でながら腰を落として視線を合わせる。
「しっかりしてくれよ。 お前等は “次期バトルチームメンバー” だろ? 今度からはちゃんと攻める時は攻めていいけど、退く時は退けよ」
「そやそや、ワイ等期待してるんやで」
『期待している 』 その十三の言葉に他のバトルチームの面々も頷く。
自分達が “期待されている” と言う事で気分が上昇してきた一木兄妹は、 「「次はちゃんとやる!」」 と決意を新たにした。
「いけいけ〜っ!!」
「だから退けってっっっ!」
「学習能力がない … と言うより、熱くなっちゃうと駄目みたいですね( ̄▽ ̄;」
今日も元気に突っ込んでいくケロットだった(笑)
* 忍の言い訳 *
恐れず、突っ込んでいく勇気は認めるけどね( ̄▽ ̄;
|