内張りのスピーカーグリル部分を金網化 (REPLACING SPEAKER GRILLS)


Introduction

純正の内張りのスピーカーグリル部は成型品であるため開口率が低く、中高域への影響が大きかったのでドリル加工でギリギリまで穴を広げ開口率を上げる改善を行ってはいたのだが、やはり内張りを外した音と比較すると樹脂製ゆえの厚みもあるためにその影響は皆無とはいえず、今回思い切って金属(ステンレス)メッシュに入れ替える加工を行った。
単にカットして「そのままオープン」という大胆な手法もあるが、これではあまりに無防備だし、何よりも見てくれが極端すぎるので、今回はなるべく違和感なく仕上がるように留意しながら作業を行った。 (上の画像は作業が終わった状態)

Prologue

まずは樹脂成形品の内張りのグリル部分をカットすることから始めます。

ドリルで穴を広げる加工をしてあるので元々かなりスカスカの蜂の巣状態なグリルをニッパーで穴どうしを繋げるように軽くラフカットしていきます。

円周部分はグリルの枠として見えるように加工するので綺麗に仕上げないとダメなので大型のカッターで円周に沿って切断します。
「超音波カッター」とか持ってれば楽勝でしょうね...

破壊作業(笑)の途中画像

カットし終わったら周囲をキレイに見せるためにサンディングクロスで磨きます、このクルマの内張は素材の色そのままで塗装も何もしてないのでこれだけで十分な仕上がりとなりました。

Formig Grill Mesh

愛車の内張にピッタリのメッシュグリルなんて売ってる訳もないので、当然ながら自作することにします。
素材はホームセンターで見つけたステンレス製の網で、縦横が交差する部分がくっついているものをチョイスしました、理由は単に編んであるだけの物だと振動でビビったりする可能性もあるし、加工し丸くカットしていく段階でどんどんバラけていく危険性もあるためです。

内張の裏側からはめ込む形で取り付けるためと、平らなままでは構造的に弱く共振したりしてしまうので強度を上げるためにも、ハンマーで叩き出し加工をします、内張りの内周より僅かに小さめにカットした板をガイドにしながら内側からハンマーで叩き出して行きます、一気に変形させると歪んでしまって綺麗に丸くならないので、気長に少しづつ叩き出します。 中心部は内側からまんべんなく軽く板に打ち付けるように叩いていくと上手く反って半球状に変形させることができます、削った木片を当てながら叩くという方法もエッジを綺麗に成形する際には有効なテクニックだと思います。

最終的に思うような形に成形できたので内張の穴に内側から差し込んでみて、気持ちキツめにハマる位に周囲を「金切りバサミ」でカットしていきます、周囲に隙間があるとビビリがちなので、なるべくピッタリとはまるように現物合わせをしながら少しづつカットしていくのが良いでしょう。

Painting Metal Mesh

金属素材そのままの質感を活かして、いかにも「メッシュ化してみました」という路線もアリでしょうが、今回は目立たせたくなかったので内張りと同色で塗装することにしました。 素材がステンレスなので塗装の乗りが悪い可能性もあるため以下の下処理を行いました。
上記の処理を行ってから十分に乾燥したところで仕上げの塗装をします。

取り付けで固定する際に接着剤を使うので、完全に乾燥させます、この作業は真夏に行ったのであっという間に乾いてしまいました。

Mounting

殆どのクルマの内張りはPP(ポロプロピレン)素材で出来ていると思います、しかしこの素材は一般的なG17などの接着剤とは極めて相性が悪く、すぐに振動や経年変化で剥がれてしまいます。 また真夏に高温になる車内では「ホットボンド」も文字通りホットメルト化してしまいます、そこで今回は金網を内張りに固定するために パッケージに「PPが接着できる!」と銘打ってあるこれを使ってみました。
基本的にはピッタシのサイズなのでグリルをはめ込むだけでも動かない状態なのですが、大音量で鳴らすと間違いなく振動でビビリが生じます、これでは音質的に悪影響を及ぼすので、隙間ないようにキッチリと固定します。

作業前と後の比較画像です、判りづらいかもしれませんが左側がドリル加工した純正の内張一体型樹脂グリル、右が金属メッシュ化したグリルです、右側の方の明るく見えているぶんだけ開口率がアップしています。 何も加工していない状態の純正内張りとの比較であれば相当の差があるものと思います。

Finish

同様の加工を左右にFドアについて行いました
ほぼ純正状態と違わぬ仕上がりにできたと思います、実際 カミさんはこの加工したことに全く気づいていません(笑)

Epilogure

上記のような手順を経て、無事作業を終えることができました、乱暴な同乗者の直撃からもしっかとユニットをガードしてくれているので、あくまでもストックの状態に近い仕上がりでありながら実用的にも、音響的にも十分満足のいく加工となりました。 最後に音に関するインプレッションを簡単に書いておきます。


[注意事項]
 本情報は、確実な性能及び動作等の一切を保証するものではありません。 従って本情報に基づいて加工した際に、思うように動作しない、もしくは、期待した性能が得られない等の障害が発生したり、万が一に事故等が発生したとしても、当方は一切の責務において関知しないものであります。 従って実際に加工や改造を行う際は、あくまでも各自、個人の責任において行ってください、なによりも腕に自信の無い方は絶対にトライしないで下さい。
[Caution:] (If you use above information, At Your own risk!)
更新日 2007.Dec.30