CYBER-PIT HILO CAR-AUDIO PAGE
Dynaudio
Esotec17WLQ & MD100 2way System
4th Order Passive Crossover Dividing
Network Design |
このページではグランディス搭載の自作SPネットワークの情報を公開しています. (Ver2.0 16th,Dec.2000)
完成したネットワークの画像
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- ちなみに、これで片chぶんです。 つまり2個必要になります・・・
設計の方針について
- 今回の車でのインストールでは、リスナーの耳の位置からウーハーとツイターまでの距離を同距離にすることができるので、位相シフトの特性が綺麗に揃う「Linkwitz-Riely型」の4次(24dB/oct)ネットワークを採用することにしました。 理由は、可能な限りクロス周波数を下げたかった事が第一の理由で、特にツイターにおいて低い次数のネットワークではクロス周波数以下の減衰量が少ないため、どうしても音量を上げると音色が濁ってしまいがちな事を経験的に知っていた事、それとリスナーから見たウーハーとツイターの上下方向(俯角)の差が大きいため、ウーハーから高域が漏れるとこれに定位が引っ張られて音像が下がってしまう事を嫌って、L-R型ながらも鋭い切れが得られるように4次の回路構成としました。 しかし、これだけの次数になると、厳密にユニットのインピーダンス特性に合わせて回路設計を行わないと期待した特性を得ることは出来ず、公称のインピーダンス値などでは全く用をなしません。 そこで、ウーハーは実測した周波数vsインピーダンス特性を基に「インピーダンス補正回路」を搭載しました、ツイターのほうはバイアンプ使いながらも、意図的に「パッシブ型アッテネータ回路」を使用することでクロス周波数付近のインピーダンス変動の影響を軽減するようにしています。
ウーハーのインピーダンス特性(車載状態)
- 友人の所へ貸し出していた自作のインピーダンス測定器が帰ってきたのでウーハーのインピーダンス特性を測定してみました。それまでデーターシートのグラフ値を基にネットワークの設計を行ってきましたが、それほど大きな違いはありませんでした、このあたりにDynaudio社の品質管理レベルの高さを実感します。
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- 最低共振周波数は42Hzと4弦ベースギターの最低音Eと同じ周波数でした、よって低域のf特は40Hz近くまで伸びるようです。 85Hz付近にごく僅かな共振が認められました、寸法からいって定在波にしては周波数が低すぎますので、これは窓やノブの隙間からのエア漏れがダクトとして作用しているためでないかと思われます、しかし概ね密閉型のSPに近いインピーダンス特性であることから、シーリング状態はまずまず良好、細かく見ると左右のドアで共振周波数がほんの僅かに違っていました、この原因についてはユニットのバラつきなのか、ドアが原因なのか現在のところ究明中。
ツイターのインピーダンス特性
- これは以前に測定したデーターで車載状態ではありません。
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回路構成(Ver1.0)
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- 上記の回路を実装する際において、コンデサーはESR値を低くできるように、なるべく複数個でパラレル使用(全てカナダSolen社製の「Fast
Cap」)インダクターも同社のリッツ線で捲いたものを使用、特に大電流が流れるウーハーには太いもの(AWG12)をチョイスしました。 抵抗はLYNX社製のものを使用。
尚、ツイター側の2.7Ωとパラに入っている4.7uFはライン系ケーブル長が長くなった為と、ユニットのエージング(老化)が進んできたためか、高域端がやや減衰しているように感じたのでハイエンドのレベル補正用として4.7uFを入れたのですが、補正量が過剰な気がするので、近日中に3.9uFに交換予定、ウーハーのインピーダンス補正用の25uFはLPFの肩特性を微調整するために、敢えて計算値より若干しズラした値にカットアンドトライで決定しました、この値はSPグリルの開口率や角度等の物理的状況でどうしても理論値から少し変わってしまいます・・・。 できれば、そのうちインピーダンス補正回路部分だけはドア内のSP至近に引っ越しさせたいと思っています、理由はドライブする側からSPを見た場合、SPをより理想的な純抵抗負荷に近付ける事で、ネットワークとSPユニット間のケーブルが音質に影響を与える割合を少しでも小さくする事ができると考えているからです。
Ver1.0ネットワークSP負荷時の端子電圧測定
- 実際の音圧特性とかを測定する前に、まず最初に、SPをドライブする信号がちゃんと分離され出力されているかどうかを確認するために、実際に使用するスピーカーを接続した状態で、周波数を変えながらネットワーク出力(スピーカーの端子)電圧を測定してみます。L-R型のネットワークの場合にはクロス周波数は通過域に対しマイナス6dBになるポイントにします、 ツイターの信号測定音源にMini
Discを使用しようとしたら、なんと16kHz以上はマトモに測れませんでした(・・;)
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- 上のグラフはMD100ツイターをドライブする電圧特性を測定したものです、約10kHzから4.7uFのコンデンサーによりハイブーストが掛かっているのが読み取れます、計算では20kHzにて3dB弱のブースト量に達するはずです、ツイターのユニットがまだ新しく、ラインケーブルが十分に短かいのであれば、この4.7uFは無い方が良いと思います。 2kHzから少し下にあるピークはツイターの最低共振周波数でのインピーダンス上昇によるものです(上のMD100インピーダンス特性グラフと比較すると良く解る)が、通過域に対して17dB程も減衰していますので、この程度なら直列型のインピーダンス補正回路を入れて消さなくてはならないほどの問題では無いと思います、このへんが今回も抵抗アッテネーター回路を外せなかった一番の理由です。
- 次に17WLQウーハー側の出力電圧の測定結果を示します。
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- マゼンタ色の線がインピーダンス補正回路定数が(25uF+3.9Ω)の場合、青色が(20uF+3.9Ω)の場合です、一見すると青色の特性の方がいいように見えますが、総合的に出てくる音を聴くと、明らかにクロス周波数付近が盛り上がってキンキンと耳障りに聞こえました。 このようなダラ下がり気味のウーハーに上図のような特性のツイターを組に合わせると必然的に1〜2kHz付近の音圧にツイターのレベルを合わせるセッテイングになるため、全体では気持ち低域側が持ち上がった感じにの音造りになります。
Ver1.0でのサウンドインプレ
- とりあえず前の車から載せ換えて、WFユニットをDynaudio 15W75から Esotec17WLQにした以外は殆どそのままという状況に近かったのですが、鋭いネットワークの切れと、SPユニットまでの距離が揃えられたお蔭で、自分でも予想外なほど簡単にそこそこのレベルの音が得られました。 傾向としては低域方向にかけての音が厚いマッキン的?な色が濃い音となりました、 高域端でのブーストをしている4.7uFを外すとホールの奥行きや距離感が増し残響が綺麗に決まるようになりますが、逆にオンマイク録音のソースでは再生音にややカスミが架かってしまい、至近距離のイメージのリアルさに多少の物足りなさを感じます。
回路構成(Ver2.0)(Updated Dec.10th,2000)
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- Ver1.0の回路で暫く鳴らしていましたが、高域端のブースト量がやや多すぎたのと、ウーハーの中低域からクロス周波数にかけての特性がややダラ下がり気味になってる気がしたので、ヒアリングを重ねながら中域の張りだしを優先するようにカットアンドトライで定数を変えてみました、最終的にはWFのインピーダンス補正の定数と初段のインダクターの値を変更しました、その結果、WFインピーダンス補正用コンデンサーの容量はさらに少なくなって22uF、これ以下にするとどうしても1kHz辺りがピークっぽく聞こえてしまったので、許せるだろうギリギリの所です、この定数でネッワークのウーハー出力を測定してみたのが下のグラフです、1kHz付近にほんの僅かながら盛り上りが認められます、フラットという観点で言えば、やはりVer1.0の補正用Cの25uFと3.9Ωという値は絶妙の値だったようです。
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- サイン波を記録したCD-Rを再生しながらネットワーク出力端(Speaker端子)での電圧を測定してみると上記のようなグラフで、400〜500Hz辺りが0.5dB程落ち込んでいるように見えてちょっと気になります、恐らくこれはインピーダンス補正のC容量を意図的に少なくしたため、1kHz付近が少し盛り上がった結果、相対的に中域が下がっているように見えるのだと思われます、肝心のクロス周波数の2.7kHzではちょうど6dB落ちていますので、4次のLinkwitz-Riely型ネットワークの基本通りに同相接続でうまくTWと繋がるはずです。
- 中域からクロス周波数にかけてややダラ下がり気味の特性となるため落ちついた重厚な感じの音であったVer1.0に対して、Ver2.0は意図的に中域音の張りと、エッジを強調する方向に振ったものになっており、殆ど同じ部品を使いながらも二味ほども違うチューニングになっています。
下のグラフは実際のスピーカーを繋ぎ、TWのブースト用コンデンサーを(0.33uFにする前に)3.9uFで鳴らしていたころにネットワーク出力電圧を測定したものです。 明らかに高域のブーストをやりすぎなんですが(笑)、特定のソース(女性ボーカル等)では非常に艶かしい感じがするので、これはこれで好み次第であって、場合によってはアリなのかもしれませんね?
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- このグラフのウーハ側の2本線は左右chの電圧特性で十分揃ってました、ツイター側はブースト用コンデンサーが3.9uFなので回路図のものとは異ります。ver2.0の定数ではツイターの高域端の特性は、グラフで見る限りは殆ど水平(ほんの僅かなブースト)になっています。
Ver2.0でのサウンドインプレ(Updated Dec.16th,2000)
- とりあえず現状では全て左右同じセッテイングにして鳴らしています、当然ながら全てのスピーカーからの距離が同じとなる場所(運転席と助手席の間)に座って聴くと綺麗に繋がってSPの存在感は希薄になり、音像だけを強く感じるような非常にキモチイイ音が聴けますが、シートに座った状態では左右の距離差のために、センターに定位する音源の位相(時間軸)がズレている事がシビアに気になるような音になってしまいました。 なまじ綺麗に位相が揃う場所があるだけに、僅かでもズレていると非常にキモチ悪いのが極端に目立つというのが特徴?のようです。 この辺りを解決するにはタイムアライメントができる機材を導入するか、物理的なセッテイングで余り気にならないようにしてしまうか、単に気にしないようにするしか(笑) なさそうです。
- 音色的には中域からやや上にかけての帯域の音がほんの少し張りだす感じが元気なのと、高域端のブースト機能がハマるソース(女性ボーカルのシビランスやシズル感等)と、そうでないソース(奥行き感が欲しいシンフォニー等)に分れてしまうことが悩みで、今後その妥協点を見いだせるかどうかが課題です。 暫くはこの定数でいろんなソースを聴いて、平均的な妥協点の持って行くポイントをどの辺りにするのか考えてみます。
その他のコメント
- 私の場合、バイアンプで鳴らしているので問題ないのですが、2chのアンプで鳴らす場合にはツイター側のゲインをもう少し上げる(アッテネート量を減らす)必要があります、具体的な値についてまだ正確に測定していないので、近日中に周波数対音圧特性を測定するときついでに測定して結果をアップしようと思います。
組立てと取付け
- 構造:
- シナ合板にコルク薄板を貼ったものに穴を開けて部品を実装、裏側で配線を行ない、これにアクリル板を加工したカバーを被せて使用している。 バイアンプ接続が可能なように、ウーハーとツイター用アンプが独立して接続できるだけの接点数を持った端子台を使用。 インダクターの固定には「ネジ穴付きタイトン」と木ネジを使用しているが、固定に使用するネジ類は全て非磁性体のブラス(真鍮)素材のものを使用しました。
→組み立て行程の画像を見る(148kB)
- 注意事項:
- 車にパッシブ型ネットワーク搭載する場合、コイルに鉄板が近接すると磁気ヒステリシス効果とインダクタンス値が増える影響で、いきなり音色が濁ってしまうので、可能な限り鉄類からは離す必要があります。従って、ドアの内張りの中なんて場所だと、まず鉄板との距離が確保できず、何のために空芯コイル使ったのか訳が判らない状態になってしまうため、論外な訳です。 これは次数に関係無くどんなネットワークだって相当に音色が変わってしまいます、もちろん市販品SPシステムの付属ネットワークの場合も同じですから、皆さんも取付け位置には気をつけましょ〜。
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