2.1 Channel Desktop Satellite Speaker

バンドパス型サブウーハ + 密閉型2wayスピーカー システムの自作:サテライトスピーカー編


Introduction:

私の場合、フルレンジにありがちな「いかにも紙です」っていう音色が耳につくとどうしても好きになれないので、どうしてもマルチウェイ構成にしてしまいがちなのだが、極端に小さな箱で2way作るのって結構難しい。 マトモに聴ける音がするツイターはそれなりに大きいので実装するのも大変だし、フランジ自体がウーハーより大きいなんて事もザラにあるのも現実だ。 そんな制約の中で果たして満足いくレベルの音まで到達できるのやら・・・

Speaker Enclosure

徹底的に改造してしまった今となっては正式な型番が判らないが、webで調べてみたところONKYOのBASE-V 10Xという製品の付属品だった物のようだ。 かなり小さい箱なので普通にやってたらフルレンジ一発しか入らない・・・

(画像はITメディアのページから引用)


ウーハーをONKYOの白いコーンのユニットからTymphany製2インチとおぼしき物に換装

ギリギリまで隅に寄せてMDFで新しくバッフルを作成、元々のバッフルに重ねて接着し、暫くフルレンジで鳴らしながら残りのスペースに収まるツイターを探してみたが、今買える物で入るサイズの選択肢が殆どなくて難儀する事になった。

 フランジレスのOC25SC65−04やND25FN-4などを使いフロントバッフルにウエーブガイドを作り込む事も考えたが、NC加工機や3Dプリンターでも持ってないと左右同じ形状に作れそうな気がしなかったので、最終的にはVifa XT25SC90-4に反則技を繰り出して搭載した。

 今思うに型を作ってFRPでウェーブガイドを成形してフランジレスのユニットを使うという手もあったなぁとも思う。今回取った手法は「はみ出したフランジをぶった切る」という実に乱暴な方法でなんとかエンクロージャーに納める事に成功した。 お誂え向きに(笑)、XT25SC90のフランジは樹脂製なので精密ノコギリで簡単に切断できる、今回はPartsExpressで失敗した時のスペアを含めて発注しておいたので何の躊躇なくギコギコしてしまった。


最初の状態のバッフル形状


この状態だとツイターのフランジが前方に張り出している

この状態だとタイムアライメント的にも合わないし、凸凹由来の回折の影響もあってf特的にイマイチうねりが多い状態だったので、根性でツイターのフランジが面一になるまで掘り下げることにした。

最終的な加工が終了したバッフルの画像

トリマーとミニルーターに彫刻刀を駆使してギリギリまで削り込んだ、一応、面一という目標は達成できたが、どんどん板厚が薄くなってしまい最終的には強度的に不安を感じるレベルになってしまったので、エンクロージャ内面にポリエステル樹脂を塗布し補強することにした。


通常グラスファイバーと呼ばれる素材はガラスクロスをこの樹脂で固めたものであるが、吸湿性に優れる?MDFは塗布した樹脂を大量に吸い込んで「ウッドファイバー」とでも呼ぶべき新素材に変化し大幅に強度がアップした。

エンクロージャー内部の補強と同時にシーリングもでき完璧な密閉度が確保できるのでエンクロージャー作りにはオススメの方法だと思う。コツは厚塗りすること、流し込む感じで一気に塗る、薄く塗った箇所はベトベトしていつまでも固まらない、通常の塗料とは逆に厚みがある箇所からあれよという間に硬化していく。 今回は重ね塗りするつもりだったのでノンパラフィン素材を使ったが、インパラフィンの素材にして一回の塗布だけで済ませてもいいと思う。

こんな感じでツルツル、ピカピカになります(笑)

十分に硬化して溶剤が飛んでからユニットを取り付けます、今回は密閉型なので内部は吸音材(サーモウール)を充填しました。
さらなる低域での吸音効果を期待するのと、樹脂による補強で板材の強度が上がった結果 固有共振周波数も上がって、叩くと「コンコン」から「カンカーン」と響くように変わったので、ダンピングが弱くなった板材の制振のために板表面にスポンジゴム系のタイルカーペットを貼り付けました。タイルカーペットを張り込む前後でインピーダンス特性を比較してみたところ、内容積が減少しているにも関わらずインピーダンスの山の高さと周波数が低い方向に変化していたので吸音材としても効いているようです。

この時点でのインピーダンス特性


同じく、自宅で測った20cm近接の周波数特性

2kHz付近にバッフルステップ効果と思われる盛り上がりが見られたので、この後ツイター側のクロス周波数を気持ち上げてみました。

Omini-Micで測定してもらえる機会があリました、近接30cmでの実測結果は以下の赤線部分です。
(塩沢氏の町田オフ会ブログから画像を引用)
ツイターとの繋がりは満足いく状態になりましたが、サブウーハーとの繋がりを考えるとローエンドを、ほんの少し、あと一息のばしたいところ。
しかし、ポリエステル樹脂で内部を固めてしまっているので内容積を拡大する改造が少々困難なのが悩ましいところ・・・

同じ測定条件でのウエーブレット特性 (クロス105Hzのサブウーハー付きでの測定結果です)
(塩沢氏の町田オフ会ブログから画像を引用)
ツイターを沈めて取り付けた甲斐あって、2way間の繋がりも良好でタイムライメント的にも綺麗に揃っており、密閉型なので減衰も早く素直な特性が得られていました。



画像だとサイズ感が伝わりにくいと感じたのでスケールと一緒に撮影してみました。
左右の2個でちょうどCDケース一個分の前方投影面積です
 
Specifications:
	Enclosure Type	Closed box 2 way Speaker System
	Speaker Units	Tymphany 2" Woofer + Vifa XT25SC90-4 Tweeter
Crossover 3kHz, 6dB/oct. each Band Width 160Hz to 20kHz or higher Encl. 9mm MDF board with PEs reignforced.


2.1chシステム全体での総合特性が見やすいようにユニット個別の特性の線を消してみました、大体35Hzから20kHz以上の帯域がカバーできたようです(塩沢氏の町田オフ会ブログからの画像を加工し転載)



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