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アスベスト問題をどうとらえるか


産業界が、高い発がん性をもつアスベストを、被害者が発生するとわかっていながら、長い間使用し続けてきた理由は何でしょうか?アスベストが安価で、莫大な利益を生むものだったからです。

2005年夏、予測されていなかった環境曝露による多数の被害者発生を目のあたりにして、アスベスト業界は強い衝撃を受け、被害者への救済金を支払うことを決めました。生産活動の結果として、あらかじめ発生を見込んでいた労働現場の被害者に対する補償制度を、工場の外にまで広げ、環境曝露による被害者にも適用することにしたわけです。

一方、行政は、責任問題に発展することを恐れ、急ピッチでこれまでの検証を行い、自分たちには責任はなかったという自己評価を既成事実にしようとしています。そして、これまでの無関心は何だったのかと目を疑うばかりに、大慌てで対策に乗り出し、調査をし、次から次へ検討会や委員会を作って、新法の制定にこぎつけました。

この結果、大勢の被害者が救済される道が開かれ、非常に大きな前進をしました。
被害者や家族の方たちの勇気ある行動が、行政や企業の壁を打ち破ったのだと思います。

被害者に対する救済が優先されるべきなのは言うまでもありません。
それと同時に、金銭的な償いが解決のすべてではないということも忘れてはなりません。

アスベスト問題は、いわば、お金のために作り出されてきた問題です。
お金のために生み出されてきた犠牲にお金で償う・・・もしそれだけで問題が解決したことになってしまうなら、この問題が生み出されてきた背景を、私たちも受け入れたことになってしまうからです。

アスベストは、大勢の被害者の発生を前提として使用を認められてきました。
このような政策決定を認める構造的な欠陥が、アスベスト問題の背景にあるのだと思います。

被害者の発生が明らかにならなければ、対策は何も進んではいませんでした。
被害者救済が進められても、この点が解明されなければ、アスベスト問題は解決したことにはならないといえます。

本質的な問題は何も解決されていません。
アスベスト問題を生み出してきた背景は何も変わってはいないのです。

金銭的な解決とは別に、このなぜこのような問題が生み出されてきたのかという原因を突き止めるための努力を、私たち自身が続けていかなければならないのだと思います。

多くの利害関係者の力を結集して・・・それはとても難しいことです。
このHPが、そのために少しでも情報交換の役割を果たすことができればと思っています。

アスベストについて考える会
大内加寿子(2006.5.28)

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