えぞりすクラブ指導員 

 学童保育の指導員という仕事をしている、自転車好きで修理はできる、昔は土方をやっていた…。
力になれることがあるのでは、そう思い、GW、宮城県東松島市へ行ってきた。
 たくさんのコマや絵描きグッズ、テント・寝袋や自炊道具、自転車修理工具一式を背中のリュッ
クと自転車の両サイドにつめこみ出発。苫小牧発仙台行きフェリーで現地に向かう。
 自転車や手押し一輪車のメンテナンスや修理、分解掃除をしてまわり、避難所の子どもたちや青
年たちとあそび、地域の公園の泥かきも手伝わせていただいた。
 難所の人たちからたくさんの話を聞かせてもらった。「地震が起き、生徒や地域の人みんな学校
の体育館に避難した。校舎は倒壊の危険があったので。ところがその体育館にものすごい勢いで
泥水やがれきが流れ込んできて、体育館の真ん中で渦巻いていた。自分は張っていた幕にしがみ
ついて耐えた。たくさんの人が渦の中に巻き込まれて、目の前で沈んでいった…。」そんな悲惨な話
もたくさん。昼間、明るく元気に振舞う少年少女たちが、緊急避難先でそんな体験をしているのだ。
家族や友人を亡くし、まだ行方不明のままだという。辛すぎて、聞いているだけで涙があふれる。
 「学童保育の先生してるんですって。ちょっと相談があるんですけど。」大きな避難所でのこと。
だれかれ構わず殴ったり、大声出したり、言うことを聞かなくて反抗したりする子が何人かいると
いう。「彼らの気持ちが落ち着かなく、甘えられる状況がないのだからかな、と思うけど、その子
たちやその親にどうしてあげたらいいのだろうか」数人の方からそんな相談をうけた。 
 実際、ある子は、自転車修理をしている私にあいさつ代わりに頭突きを食らわせてきた。しばらく
たたかいごっこをしてあそんだ後、引き寄せて膝に乗るともう離れない。胸に、背中に、首に、肩に
とまとわりついてくる。そんな様子をみて、他の子も寄ってくる。
 大規模避難所や混乱した地域での生活では、甘えることも甘えさせることも非常に難しい。また、
子どたちが楽しくすごせ、思い切りあそべるような環境や雰囲気作りに手が回っていないのが現
状。
 傷ついた子どもたち、不安やおびえを抱える子どもたちの心のケアを丁寧にすることは当然。同
時に、日々の生活の中で、たっぷりスキンシップをとることと、思い切り、心ゆくまであそべる環境
を作ることが、早急にとても重要であると実感した。

私たちにできること 

指導員として甚大な被害。復旧・復興には多大な時間とお金と労力がかか
る。私たちも、後方で、また現地で、長く支援を続けていく必要を実感した。
 また、命について、放射能について、エネルギー消費のありかたについてなど、私たち自身が真
剣に向き合い、そして子どもたちに伝え、考え合っていかなければならないと思う。
 避難所や仮設住宅は、被災者の方々にとって、現在の家だ。そのことを肝に銘じながらも、現地
でできることも少なくないと思う。
 指導員は、あそびや生活を中心として子どもと関わっていく専門家。さらに、臨機応変さや柔軟さ、
知恵を使って前向きに生きていく力を育てることに重点をおいた仕事が求められてきた。大掛かり
な支援やその場限りのプレゼントと違う、その後も現地の子たち自身で楽しみつづけられるようなあ
そびや体験を伝えたり、子どもたちの心の声を聴き、生活づくりの助けになるようなことができるの
ではないだろうか。私たちが日々実践していることが活かせるように思う。また、復興で忙しい中で
も、子どもたちに目を向けるきっかけを伝えることができるのではないだろうか。被災地で大きく求め
られているように思う。