「私の場合は、あらゆるものへの遺伝的な不満だ」
「私は作品なんかで不死を達成したくない。
死なないことで達成したい」
「もし神がしるしを与えてくだされば……たとえば、スイス銀行に私名義で莫大な預金が入っているとか」
ウディ・アレン語録より

ウディ・アレン
の言葉

 

ウディ・アレン Woody Allen

1935年ニューヨーク州ブルックリン生まれ。本名、アラン・スチュアート・コニグスバーグ。ニューヨーク市立大学中退。コメディアンの台本を書くなどした後にスダンダップ・コメディアンに転身。その後、映画、演劇の脚本家、俳優等多方面で活躍。映画監督として『アニーホール』『ハンナとその姉妹』など多数の作品を発表している。


「きみの夫はIQ150〜200の天才だからね」
「アメリカではね。ユーロに直すともっと低い」

  『ローマでアモーレ』


「どんなに酷くても私は世の中に接していたい。人間が恋しいの。尺取り虫でも、バカでも――悪意はないのよ。恐れているだけ

宇宙はまったくの偶然に満ちあふれている。誰もが正しい相手を求めてる。私は窓から飛び降り、彼女の上に。占い師だぞ。愛の訪れは、いつも突然だ。グリッツも好きになった。新年を祝うのは嫌いだ。誰もが必死で楽しもうと無理やり祝ってる。何を祝う?墓場に近づくことか?最後に言おう。あなたが得る愛、与える愛、あらゆる幸せは全て、つかの間だ。だからこそ、うまくいくなら“何でもあり”だ。でも、勘違いするな。それは才能とは無関係。あなたが存在しているのも“運”なんだ。何十億もの精子のたった一匹が卵子と結合、それがあなたになった。考えるな、発作を起こす

 

   『人生万歳!』


「目の見えない奴が撮ったとしか思えない

  『さよなら、さよならハリウッド』


「それ以上近寄よると、去勢するわよ」

ローラ・ケンジントンだろ?」
「太ももにあるイチゴ形のアザが証拠よ。見たい?」
「全身を見てからね」

「イチゴ形のアザ、見たい?」
「さっきと同じ場所にあるならね

「どうかしら?」
「事の最中に死んだら、僕の笑顔を冷凍保存してほしいよ」

「違うよ。君が服を脱がせてキスしたんじゃないか」
「下手なウソ!脱がせてません。無人島に20年いたってキスしないわ」
「20年?20分後には弓を作って君を殺してるよ」

宝石泥棒なら刑は軽い。殺人は電気イスで丸焦げだ。2億ボルトの電流を流されて灰になったら、一生を灰皿の中で過ごすことになる」

 

   『スコルピオンの恋まじない』

 


 

「自分を会員にするようなクラブには入りたくない」

「宇宙は膨張する」

「宇宙が?」

「ふくれあがって破裂したら全てはおしまいだ」

「教師は仕事のだめな者が勉強を、勉強のだめな者が体操を教える」

「カリフォルニアだ、マックス。この町を出よう」

「よせ」

「太陽輝くLAへ」

「いやだ、文化的利点は赤信号で右折できる事だけの町なんて」

「アルビー、正直言って二人の関係はもう駄目ね」

「関係というのはサメと同じで常に前進してないと死ぬ。僕達の関係はサメの死骸だ」

「僕は死にとりつかれているんだ。そう、僕にとっては大事な問題なんだよ。僕の人生は悲観的だ。僕とつき合う気なら、このことは覚悟しておいた方がいい。世の中には“悲惨な人生”と“みじめな人生”がある。“悲惨な人生”はどうしようもない困難を背負っている。たとえば、盲人とか、不具者だ。彼らがどんな人生を送るのか想像ができない。予測もつかない。“みじめな人生”はみんなが体験する。そうなんだ。だから、僕たちは自分の人生がみじめなことに感謝しなくちゃ。“みじめな人生”が選べた人はツイてる」

「ある男が精神科医を訪ねて言いました。

『弟が、私のことをニワトリになったと言いふらして困っている』

そこで精神科医が、

『それは大変だ、すぐ運んできなさい』

というと、その男はちょっと恥ずかしそうに、

『でも、本当のことを言うと、私も卵がほしいような気もするんです』

現代人はみな、愛したり憎んだり、苦悩したりしているが、実は、この得体の知れない卵のせいなんだ」

 

『アニー・ホール』

 


 

「気持ちはわかるが科学の奇跡なのです」

「違う。退院して家賃が支払済みになってたら奇跡だ。こんなのは奇跡じゃない。宇宙のゆがみだ」

 

   『スリーパー』

 


 

「物には源があり、宇宙は実在する。宇宙創造の神も実在する」
「スピノザは信じない」
「ユダヤ人だ」
「なに」
「知らんのか。絵がある。……ユダヤ人だ」
「ほんと?ツノがある」
「ロシアではな。ドイツはシマ模様だ」
                 *
「ご両人再考を。今なら決闘を取りやめられる」
「なら帰って寝直す」

「私はやる。死ぬまで」

「ぼくは医者にとめられてる。死ぬのは潰瘍に悪い」

                 *

「要はくさらぬこと。神がいるとすれば悪い奴じゃない。ただ力不足なので悪く言われる。死より悪い事もある。保険の外交員の話を聞けばわかる。死を終末と考えないこと。生活費削減の早道と思いなさい。愛について言うなら、大事なのはセックスの量でなく質だ。でも8ヵ月に1度以下だと調査の要あり。まあ、そんなところだ。ごきげんよう」 

 

                  『ウディ・アレンの愛と死』

 


 

「愛は激しいロマンスや情熱ではなくて、厚い友情のようなものよ。愛は相手を寂しさから守る盾だわ」

 

『夫たち、妻たち』

 


 

「秘密を教えようか。ライフルを買った。一週間前だよ。悪性なら自殺する気で。でも両親が嘆くだろう。だからまず両親を撃ち殺さないと。そして親族もだ。血の海だよ」

 

   『ハンナとその姉妹』

 


 

彼の最後の言葉は、“最近『白鯨』を読み始めたのに、結末を知らずに終わるのが残念だ”。

 

   『カメレオンマン』

 


 

「二つ断言できることがある。第一に、僕は君を愛してる。第二に僕はアーティストじゃない。……言ってほっとしたよ。僕はアーティストじゃない」

「世界はあなたの前にヴァギナのように開く」

 

   『ブロードウェイと銃弾』

 


 

「自由は不安を伴うのだ」

 

『アリス』

 


 

「『人生は芸術を模倣する』という言葉について言ったことは取り消すよ」

 

『マンハッタン殺人ミステリー』

 


 

 マルクスに対するキルロイ氏の考えは、いささか単純でジョン・ウェイン的である。

「死んだ共産主義者はいい共産主義者だ」

「ここに2〜3日いろとさ」

「セスはどうするの?」

「セス?」

「息子のセスだよ。パニック状態で2度目の妊娠を忘れてる」

「あの子はキャンプよ」

「明日で終わる。親の監督なしになるぞ。街で暴れまくり、レイプし、物を盗む」

「だからアトランティック・ビーチへ行こうと言ったんだ。女房の兄が欧州へと。惜しい人だった」

「死んでないわ」

「帰ったら殺す」

「もう嫌だ。昨日はタイムズ・スクエアを素っ裸で走る夢まで見た。……自由だった」

「どうなったの?」

「もちろん捕まったさ。施設に入れられた」

「当然ってもんじゃない?」

「昨晩の子牛は実はウナギだ。きれいに食べてましたね」

「テーブルの横の花瓶を見てみな」

「相手は共産主義者です。神を信じず、脂肪を取りすぎ、寝室を共同で使う」

 

『トラブル・ボックス』 

 


 

「もう身の破滅だ。自殺したい気分だよ。パリに戻ってエッフェル塔から飛び降りる。コンコルドで飛べば、3時間早く死ねる。いや、時差を忘れてた。ニューヨークは6時でも死ぬのはパリの3時だ。時差調整して自殺する」

 

   『世界中がアイ・ラブ・ユー』

 


 

「「憐れなオイディプスよ」」

「わが息子が高貴なる夫を無残に殺したわ。そして息子は何も知らぬまま、実の母と枕を交わした」

「「ゆえに精神分析医がこの世に誕生した。1時間200ドルだが正味は50分」」

「私の性器が見つからない?」

「暗くて、どこか分からない。セックスは久々だし、君が怒るから」

「怒ってないわ、やる気が失せただけよ」

「久しぶりだから、花弁が見つからない」

「二人は相手の子がわが子だとは知らない」

「「まったく人生とは皮肉なもの」」

「信じがたく、奇想天外で悲しくてすばらしい」

「「どれも真実、だからこう言おう」」

 

ニッコリほほえめば あなたがほほえめば 世界中がほほえみ返す

忘れないで ニッコリ笑えば あなたが笑えば いつも太陽が明るく輝く

あなたが泣いたら たちまち空は雨模様 だから ため息をつかないで ハッピーな笑顔を取り戻して 

いつもほほえみを あなたがほほえめば 世界中がほほえみ返す

 

『誘惑のアフロディーテ』

 


 

「遅かれ早かれ夢は灰になるもんさ」

「アーティストには自由が必要だ」

「あなたは他人と心を分かち合おうとしないのよ」

「自己表現が下手なんだ、しょうがねえだろ。女とは遊ぶが女は必要じゃない。それが本物のアーティストだ。女と楽しんで悪いか?」

「ネズミを撃ったり汽車を眺めたり、感情が屈折してるわ」

「俺の感情は音楽にぶつけてるんだ」

「心を解放すれば演奏もよくなるのに」

「感情は素直に出すべきよ。演奏がもっと豊かになるわ」

「昔の女にもそう言われた」

「あなたとジャンゴの違いを分析すると、彼は表現豊かだわ。苦悩をさらけ出すからよ。感情を押し殺さないわ」

「その後の消息は分からない。プッツリと姿を消した。最後の数年に録音したレコードは彼のベスト盤で、これほど美しくて感動的な音はない。解き放たれた響きがある。ついにジャンゴの高みに到達したんだ」

「こうして彼は表舞台から消えた。その後も諸説あってヨーロッパに渡ったとか、ギターをやめたという説もある。救いは最後の録音が残ってることだ。この演奏は、素晴らしくて本当に切ないほど美しい」

 

『ギター弾きの恋』

 


 

「犯罪はやめて」

「足は洗ったが、僕は仕事を転々。こんな生活に満足か?」

「結婚記念日に、刑務所のガラス越しに面会するよりマシよ」

「フレンチー、ごらん、美しい夕焼けだろ。ただの風景じゃない。僕らが出会った時もこんな夕焼けだった」

「でもコロンビアは大地震だったわ」

「店を借りたのか?」

「花屋を開く」

「なぜ花屋を?」

「燃やす」

「まだ保険金目当ての放火か?」

「ここでクッキー製品をパックします。うちのクッキーの香ばしいにおいは、科学スプレーを吹き付けてるためです」

「くれたのか?」

「本人は知らないわ」

「どうして?」

「金庫の開け方を教えてくれたでしょ?」

「あれは二人の最高の思い出だよ」

 

『おいしい生活』

 


 

「もちろんクリントンだって手当たりしだいには寝ない。今のは悪い例だったな。人道外交官のワレンバーグもすべてのウェートレスとは寝なかった」

「科学は便利だ。ローマ法王よりエアコンを選ぶね」

「あなたの人生は虚無(ニヒリズム)と風刺(サーカズム)とオルガズムよ」

「フランスならその標語で選挙に勝てる」

「イカレたあんたと結婚したのは私の力で治せると思ったからよ」

「頼むから自分が無能な分析医だと嘆くなよ」

「二人ともカフカに憧れたが君には負けたよ」

「虫に変身した」

「地獄の5丁目。スリ、物乞い、文芸批評家。6丁目。極右翼、連続殺人犯、テレビ出演する弁護士。7丁目。メディア関係者、満員です。8丁目。逃亡戦犯、テレビ伝道師、全米ライフル協会。地獄の底です、降りてください」

「サタンは堕天使だが、僕は神も悪魔も信じない。信じるのは素粒子とブラックホールだけだ。その他は屑だよ。悪の限りを尽くしてきた。浮気して妻たちを裏切った。娼婦を抱き酒に溺れ、薬を飲みウソをつくダメ男だ。暴力に走ることも」

「暴力?」

「文芸評論家をあやうくひき殺しかけた」

「ベッドで3Pは?」

「女性二人とやったよ、ガンガンやりまくったね。しかも相手は姉妹だ。名門ワスプの金髪美人だ」

「シャーマン姉妹?」

「その双子姉妹だ。知人?」

「ここに」

「姉妹も地獄に落ちたか。サンドラは?」

「知ってる、尺八の名手だ」

「サンドラと言えば、彼女の親友のパールと寝たよ」

「パールか」

「車椅子の」

「マリーは知ってるか?」

「マリーね、オツムの弱い娘だ。タンポンを鼻に詰めてた」

「目の悪い娘は?」

「経験ないね」

「オツなもんさ」

「みんな愛してるよ、これほど幸せな瞬間はない。君らは何度も僕の人生を救い、色々なことを教えてくれた、感謝してるよ」

「彼の作品のテーマは「自分の限界を正直に認め前向きに生きろ」だ」

「まさにそうだ。この作品の主人公は生きるのはヘタだが小説で才能を発揮する。悲しくて滑稽だが」

「見かけは悲しい作品でも解体(デコンストラクティブ)すれば作者も気づかない喜びが発見できるわ」

 

『地球は女で回ってる』

 


 

「僕は見えるものは存在すると信じたい。でないとイスに座ったと思ってずっこけ骨折する。それじゃ困る。だが仕立て屋のシュルツは違う。“この世は幻影、真実は犬の夢の中にある”と」

「この世のものはすべて絶えず動いている。僕のめまい症はそのせいだ」

「アルマ、僕だよ、マックスだ」

「縁を切ったはずよ」

「気持ちはわかるが、もう昔の話だ」

「ぶっ殺して細切れ肉に裂いて、犬に食わせてやりたいわ」

「ずいぶん具体的な想像だな」

「粉つけて地獄の釜でフライにしてやる」

「泊めてくれ」

「教会の祭壇の前ですっぽかし!あたしに赤恥かかせて」

「僕には僕なりの理由が……」

「結婚を約束しておいてあたしをコケに!」

「自信をなくして不安だった」

「不安?」

「君が結婚しようと……」

「妊娠させたのは誰よ!」

「あれは想像妊娠だったろ?」

「だから?」

「静かに!見つかるよ」

「親も兄弟もあんたを探したのよ。花婿はどこ?今までそこにいたのに」

「その話はもうよせ」

「皆あたしの顔色を気遣いながら捜し回った。花婿は何と物置であたしの妹を抱いてた」

「わけは説明しただろ?」

「裸で妹と抱き合ってて、どんな説明があるの?」

「まだ根に持ってるのか。愛はなかったが好きだったんだぜ。妊娠したというから責任を」

「責任?結婚式をすっぽかして?物置であたしの妹とイチャついて?」

「結局それが君のためだと……」

「二人とも殺してやる!」

「彼女はいい妹だよ。姉さんの君を女神のように崇拝してた。僕がパンティを脱がせるまではね。僕を恨んでも彼女を恨むな。僕が彼女を誘惑したんだ。「ステーキをおごる」といってね」

「彼はここよ!クラインマンはここよ!出てって殺されるがいい!とっとと地獄に落ちて!」

「傷が癒えてて嬉しいよ」

 

                                    『ウディ・アレンの影と霧』

 


 

「死ぬのが怖いってことじゃなくて、ボクは自分が死ぬ瞬間に立ち会いたくないね」

「それからもうひとつ。もし、死後の世界があって、みんなも、また同じところに行き着くことになるんだったら、どうか、お願いだ、ボクのところには来ないでくれ、用があったら、こっちから行くから。ドント・コール・ミー、アイル・コール・ユウ」

 

戯曲『死』

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

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