映画・演劇鑑賞記録2009
本文は随時作成中。
12月31日(木)
「キャピタリズム マネーは踊る」(監督 マイケル・ムーア)★★★
12月26日(土)
「THIS IS IT」(監督 ケニー・オルテガ)★★★
12月23日(祝)
「アバター」(監督 ジェームズ・キャメロン)★★★
12月20日(土)
花伝[KADEN]シアターカンパニー『近代能楽集』より『葵上』(作 三島由紀夫/構成・演出 岡田圓/会場 H.A.C.Gallery)☆☆☆
大駱駝艦壺中天公演「2001年壺中の旅」(振付・演出・美術 向雲太郎/会場 大駱駝艦壺中天)☆☆☆☆☆
旭堂南半球の第2次ガンダム講談一年戦争「第八章 ア・バオア・クーの章」(会場 阿佐ヶ谷ロフトA)☆☆☆
12月13日(日)
流山児事務所「田園に死す」(原作 寺山修司/脚色・構成・演出 天野天街/会場 下北沢ザ・スズナリ)☆☆☆
映画「田園に死す」を換骨奪胎して繰り広げられる天野天街ワールド。
快楽のまばたき「花札伝奇」(作 寺山修司/演出 高田百合絵/会場 新宿二丁目タイニイアリス)☆☆☆
今回も現代的な解釈や台詞の修正がなされているのだが、それが前回ほどには効果的に作用していないよう部分が多々見受けられたように思う。一番気になったのは、歌留多が鬼太郎を刺すシーンで小声で「ごめんなさい、愛してる」と女優がささやくところ。そういったありきたりの言葉を使わず、あえて独特のレトリックを使っているのがあの場面のよさだと思っていたの、かなり興ざめだった。と、期待が大きかったせいか渋い乾燥になってしまったが、旗揚げ第2回公演にしてはかなり完成度が高かったのも確かなので、今後も注目して行きたいと思う。
12月5日(土)
十二月大歌舞伎・昼の部「操り三番叟/野崎村/身替座禅/大江戸りびんぐでっど」(会場 歌舞伎座)☆☆☆
「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」(作 ジョン・キャメロン・ミッチェル/演出 鈴木勝秀/会場 Zepp
Tokyo)☆☆☆☆
11月29日(日)
アジア舞台芸術祭2009 in TOKYO
「Aプロ 毛皮族 Ort-d.d」「エブリマン(スモールバージョン)」「Bプロ 富士山アネット」(会場 東京芸術劇場)☆☆☆
演劇実験室紅王国「我が名はレギオン」(作・演出 野中友博/会場 中野ザ・ポケット)☆☆☆
毛皮族「社会派すけべい」(作・演出 江本淳子/会場 駅前劇場)☆☆☆☆
11月21日(土)
演劇実験室万有引力「書物の私生児」(作 寺山修司/演出 J.A.シーザー/会場 新宿シアターブラッツ)☆☆☆
寺山修司の長編叙事詩「地獄篇」を下敷きに語られる、言葉地獄の物語。肉声で、録音で、文字で、映像で、小道具で、舞台中にあふれる言葉、言葉、言葉。言葉地獄の世界。
11月8日(日)
「国際寺山修司学会 第8回秋季大会」(会場 愛知芸術文化センター12F・アートスペースE・F)
5月に続き2回目の参加。研究発表とシンポジウムの2本立て。研究発表1本目は、堀江秀史さんの「寺山修司の〈写真〉、その方法論の変遷」。昨年発行された「写真屋・寺山修司」などにも触れつつ、カメラマンとしての寺山修司を分析します。2本目は、久保陽子さんの「アメリカ・ウインスコンシン大学における寺山修司研究」。演劇実験室天井桟敷中期の作品の大部分が海外で上演されたために、日本国内での観劇記録・劇評などが少なく、海外の資料を研究することが必要という内容は、なるほどと非常に納得がいくものでした。3本目は、清水杏奴さんの「寺山修司とサン・テグ・ジュペリ」。5月の第7回大会で発表された論文を発展させた内容。4本目は、上坂保仁さんの「寺山修司にみる教育的価値の紊乱」。続いてのシンポジウムは「寺山修司の素顔―俳句と短歌と海外演劇」と題し、霜田千代麿氏、清水義和氏、小菅麻起子氏による鼎談。霜田氏の「仏教で「餓鬼」というのには、「あるけど(もっと)欲しい」という有財餓鬼と、「なくて欲しい」という無財餓鬼の2種類があるが、寺山さんはまさに有財餓鬼だった」という話が、非常におかしかった。
「演劇大学in愛知」(会場 愛知芸術文化センターBF・愛知県芸術劇場小ホール)☆☆☆
高田恵篤演出による「狂人教育」のリーディング公演、鹿目由紀演出による「ある男、ある夏」のリーディング公演、青井陽治監修・宮谷達也演出による「ある男、ある夏」の演劇公演の三本立て。
11月1日(日)
「パンドラの匣」(監督 冨永昌敬/原作 太宰治)★★★
五反田団「生きてるものか」(作・演出 前田司郎/会場 東京芸術劇場小劇場)☆☆
劇団唐ゼミ「下谷万年物語」(作・監修 唐十郎/演出 中野敦之/会場 浅草花やしき裏特設テント劇場)☆☆☆☆☆
10月31日(土)
「あがた森魚ややデラックス」(監督 竹藤佳世)★★★★
「サボテンとバントライン」(原作 大槻ケンヂ/脚本・演出 福原充則/会場 青山円形劇場)☆☆☆☆
「へんりっく 寺山修司の弟」(監督 石川淳志)★★★
10月12日(月)
「カイジ 人生逆転ゲーム」(監督 佐藤東弥/ 福本伸行)★★★★
「ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポ」(監督 根岸吉太郎/原作 太宰治)★★★
10月8日(木)
劇団APB-Tokyo実験室公演「寺山修司コレクション3 草迷宮」(作 寺山修司/演出 高野美由紀/会場 阿佐ヶ谷ロフトA)☆☆☆☆
実験公演第3弾。会場のロフトAは、確か以前は古本屋だった場所。阿佐ヶ谷の商店街にあるビルの地下にあります。「草迷宮」は泉鏡花の小説を元に寺山修司が脚色・監督した映画ですが、今回はその脚本を元にした舞台化です。開演とともに、白衣姿の俳優による客いじりから始まります。観客に「あなたの好きな童謡は?」という質問をして、次々にその歌詞を歌ってもらいながら、あるときふいに「その歌は手毬唄じゃないか?」とつぶやき、一気に虚構の中に引き込んでいく。この導入部はとても上手いと思いました。次にあらかじめ配っておいた目隠しを観客にさせて、自分の、そして隣の人の頭を撫でさせます。それは手毬のようにまあるい頭蓋骨。その中に記憶が詰まっている。少年時代の記憶に思いを馳せながら観客が目隠しを外した瞬間、物語が動き出す。映像を交えながら、地下の密室空間を埋め尽くすように展開される幻想的なシーンの数々。俳優と観客の距離が文字通り「密」で、客席が虚構によって包み込まれている感じがとても楽しかった。
1時間半ほどで「草迷宮」の内容を語り終えた後、休憩を挟んで第2部に突入。第2部は寺山の演劇ワンシーンや「少女詩集」の一節などをコラージュした内容。
終演後は、108の煩悩の日に生まれたという高野美由紀さんの誕生祝いを兼ねた打ち上げに突入。少年時代の明役を演じた川上史津子さんとお話をさせていただきました。
10月6日(火)
劇団☆新感線「蛮幽鬼」(作 中島かずき/演出 いのうえひでのり/会場 新橋演舞場)☆☆☆
9月26日(土)
箱庭コラァル「夢幻燈 ヒトデナシノコイ」(会場 遊空間がざびぃ)☆☆☆
江戸川乱歩の「ひとでなしの恋」の物語を、語り・舞踏・生演奏などで描き出すパフォーマンス公演。登場人物の心情を描き出す、バイオリンの激しい旋律が圧巻。
「中国の不思議な役人」(作 寺山修司/演出 白井晃/会場 パルコ劇場)☆☆☆
バルトークの作品を元に寺山修司が脚色した音楽劇。音楽、衣装、舞台装置とも美しく幻想的で素晴らしいのですが、何か、どこか、物足りない。ノイズが足りないというか、綺麗にまとまりすぎていて、もっと猥雑さが欲しかった。中国の役人を演じる平幹二朗も存在感が圧倒的でしたが、演技は平板な印象で、もっとはっちゃけてもよかったと思います。女将校は演じる秋山奈津子、軍服姿がカッコよく、パントマイムもキュート。商館の女主人を演じる内田淳子は、華麗なダンスが印象的。町田マリー、エミ・エレオノーラ、初音映莉子、皆さん大好きな女優ですが、見せ場はあまりなく少し残念。三宅純の音楽は素敵ですが、やはりJ.A.シーザーの音楽には及ばず。ポスターも文字だけのものでなくて、合田佐和子・画の初演版ポスターの復刻版を作ってしてほしかった。
9月9日(水)
「美代子阿佐ヶ谷気分」(監督 坪田義史/原作 安部慎一)★★★
柿食う客「悪趣味」(作・演出 中屋敷法仁/会場 シアタートラム)☆☆☆
9月5日(土)
桧枝岐歌舞伎「玉藻の前旭の袂・道春館の段」(会場 桧枝岐の舞台)☆☆☆☆☆
8月24日(月)
八月納涼歌舞伎「真景累ヶ淵・豊志賀の死」(会場 歌舞伎座)☆☆☆
怪談だと思ってい見に行ったら、意外にも大爆笑の連続。
少年王者館「夢+夜〜ゆめたすよる〜」(作・演出 天野天街/会場 ザ・スズナリ)☆☆☆
8月8日(土)
劇団、本谷有希子「来来来来来」(作・演出 本谷有希子/会場 本多劇場)☆☆☆
8月2日(日)
さすらい姉妹特別公演「谷間の百合」(作・演出 桃山邑/会場 早稲田大学演劇博物館前野外舞台)☆☆☆☆☆
同館で開催中の水族館劇場展の最後を飾るイベント。伝説のストリッパー一條さゆりの人生を、二人一役で描く。なにも知らない少女から売れっ子のストリッパーへと変わっていく「さゆり(これからの池田和子)」を鏡野有栖が、凋落して誰からも見捨てられた「和子(あれからの一條さゆり)」を千代次が演じる。まさかいくら早稲田が開かれた大学だとは言え、大学の構内でガチでSMストリップショーが演じられるとは思いませんでした。赤い蝋燭を自らの体に垂らしながら鬼気迫る演技を見せる鏡野有栖が圧巻。失礼かもしれませんが、先日の水族館劇場の本公演よりもはるかに面白かった。「お代は見てのお帰り」だったのですが、しっかりと花代を払ってしまいました。
7月12日(日)
岸田理生アバンギャルド・フェスティバル2009
青蛾館「上海異人娼館」(原作 寺山修司/構成・脚本 岸田理生/構成・演出 青蛾/会場 こまばアゴラ劇場)☆☆☆
開演前からバルコニーに俳優が現れてたむろし、劇空間の生成はもう始まっている。バルコニーの俳優の姿を見上げながら、ちょうど10年前に観たスズナリ九龍城闇夜逆説幻燈華祭を思い出しました。劇の内容は、寺山修司色よりも岸田理生色の強く、ちょうど天井桟敷版「身毒丸」に対する蜷川版「身毒丸」のような感じでした。映画版の愛の実験やエロティシズムといった部分は姿をひそめ、女郎たちのモノローグを中心に、男に理解されない女心の孤独が前面に押し出された内容でした。極彩色の衣装を身に付けた女郎の面々は、花魁というより、むしろドラッグクイーンのよう。特に野口和彦さんは、もはや戦隊ものに出てくる悪の女幹部にしか見えませんでした(笑)。
コクーン歌舞伎「桜姫」(作 四世鶴屋南北/演出 串田和美/会場 シアターコクーン)☆☆☆
7月11日(土)
「やぶれ船で放浪する水夫たち 水族館劇場20年の軌跡」展(会場 演劇博物館)☆☆☆
キリン・バズウカ「スメル」(脚本・演出 登米裕一/会場 王子小劇場)☆☆☆
新宿梁山泊「ベンガルの虎」(作 唐十郎/演出 金守珍/会場 井の頭恩賜公演西園・特設紫テント)☆☆☆☆☆
「ビルマの竪琴」を下敷きに、幻想の戦場・幻想の南方と現代の日本を行き来しつつ進む物語。ショベルカーが大回転するラストシーンに度肝を抜かれました。
7月5日(日)
「それでも恋するバルセロナ」(監督 ウディ・アレン)★★★
エキセントリックな女を演じるぺネロぺ・クルスの魅力が爆発。ハビエル・バビデムは「ノーカントリー」と同じ人物とは思えないほど、プレイボーイな二枚目を演じている。こういう変身ぶりを見ると、役者ってすげえな、と思う。
6月27日(土)
「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」(監督 庵野秀明)★★★★★
6月20日(土)
「バサラ人間」(監督 山田広野)★★★
オルガン・ヴィトー「ガリガリ博士の犯罪」(作 寺山修司/演出 不二稿京/会場 不思議地底窟・青の奇蹟)☆☆☆
入場前に受付で荷物を預け、靴と靴下を脱いで裸足になる。会場はタイル張りのプールか浴槽のようになっていて、そこに水が張られており、客席はその浴槽を囲むように作られている。会場の特異性に対して、演出や演技は意外とオーソドックスな内容で拍子抜け。結局この劇の面白さは、中年の毛深いむくつけき男優たち(シナリオでは女性になっている役も男優が演じていた)が、浴槽の中で、裸同然の格好で、互いの体をぶつけあったり、絡ませあったり、引っぱたいたりして、水飛沫を飛ばしながら演技するというゲイチックな部分にありました。
6月14日(日)
用事があって名古屋に行ったので、会場の様子だけ見に行ってきました。本当には上映を見る予定だったのですが、色々あって間に合わず……。手書きのポップがなかなか素敵でした。
5月30日(土)
「雨の夏、三十人のジュリエットが還ってきた」(作 清水邦夫/演出 蜷川幸雄/会場 シアターコクーン)☆☆☆☆☆
「TOKYO1969」(会場 パルコ・ファクトリー)☆☆☆
水族館劇場「メランコリア 死の舞踏」(作・演出 桃山邑/会場 )☆☆
5月24日(日)
唐組「黒手帳に頬紅を」(作・演出 唐十郎/会場 雑司ヶ谷・鬼子母神神社)☆☆
5月17日(日)
「ゴーギャン展」(会場 名古屋ボストン美術館)
鶴舞高架下ハポン劇場「草枕」(作・演出 原智彦/会場 ケーディハポン)☆☆☆☆
高架下の小さな喫茶店(バー?)を改造した特設劇場で上演される、夏目漱石の草枕を題材にした幻想劇。
5月16日(土)
「アヴァンギャルド・チャイナ」展(会場 愛知県美術館)☆☆☆
「国際寺山修司学会 第7回春季大会」(会場 愛知学院大学楠元学舎・薬学部棟2階)
2006年の発足時からずっと気になっていた寺山修司学会ですが、今回初めて参加させていただきました。内容が講演会やイベントの類ではなく研究発表であること、また場所が名古屋ということもあってか、想像していたほど多くの人が集まってはおらず、大学の教室の一室に収まる程度の人数でした。当初来場の予定だったゲストが急遽不参加になったり、前半の発表に時間がかかりすぎたせいで後半の発表がかけ足になってしまったりと、段取りの悪さがいろいろと気になりましたが(これは集まって皆さんがイベンターではなく研究者なので仕方のないことかもしれません)、生の研究者の声には、大いに刺激を受けました。つたなくとも、たどたどしくても、語らないより語る方が面白い、他人の語ることに文句をつけるよりも、文句をつけられながらも自ら語ることの方がかっこいい、と感じました。詳しい内容は11月に発行されるという予定の「寺山修司研究 第3号」に譲るとして、概要だけレポートします。
最初は九條今日子さんのトーククショーとのことでしたが、急きょ不参加になったため、スティーブン・リジリーさんの研究「寺山修司とカウンターカルチャー」を前倒しで発表。つづいて、大阪から来場していたストローベリーソング・オーケストラの宮悪戦車さんのお話を伺いました。夏に発売のアルバムで寺山の詩を引用する予定、寺山をロックやパンクと融合させてバンドに取り入れたらどうなるかというのが自分たちのやろうとしていること、だとか。昨年5月公演の「レミング」の映像も少しだけ上映されましたが、DVD化は未定とのこと。
ここから研究発表に移りました。1つ目は、清水杏奴さん。寺山修司版「星の王子さま」と宇野亜喜良氏の脚色・演出で3月に上演されたProjectNyx版「星の王子さま」の比較について。2つ目は、若尾梓さんの「象徴としての黒髪〜寺山とイェイツの場合」。「身毒丸」の中の継母の黒髪の描写を西洋の文献と比較しつつ、女性性・性的誘惑物としての黒髪について読み解く内容。3つ目は、小菅麻起子さんの「寺山修司第一歌集『空には本』の構成―短歌における〈季語〉の効用―」。4つ目は、赤塚麻里さんの「寺山修司の音声研究―東北地方の方言」。映画「田園に死す」冒頭の短歌の朗読などを例にしつつ、津軽方言の特徴を探る。5つ目は、清水義和氏の「ミルチャ・エリアーデの『シャーマニズム』と寺山修司の『中国の不思議な役人』に於けるシャーマンと見世物」。両作品に共通する死と再生を、「身毒丸」の胎内回帰のイメージとも重ね合わせて語る。6つ目は、久慈きみ代さんの「寺山修司、青森時代の芸術活動について」。青森県黒石高校俳句会発行の同人誌「三ツ葉」を元に、寺山修司の創作活動をみていく。
これで発表は一段落し、天野天街氏・馬場駿吉氏を迎え、「映画『トワイライツ』と『田園に死す』の演出について」というテーマの対談へ。しかし参加者に「トワイライツ」を未見の人が多かったため、内容も抽象的なものになってしまい、いまいち盛り上がりませんでした。
そして最後は、馬場駿吉氏の発表「漂流する寺山修司の俳句と短歌―反復、転位、引用におけるゴーギャンとの共通性」。馬場氏は名古屋ボストン美術館の館長をされている方で、今まさに「ゴーギャン展」が開催されていますが、寺山が自作の短歌を何度も改作を重ねて発表していったことと、ゴーギャンが過去の自作の絵や古代美術などからイメージを引用して自らの代表作「我々はどこから来たのか、我々は何者か、我々はどこへ行くのか」を描いたことの、共通性について語る内容でした。
5月14日(木)
「GOEMON」(監督 紀里谷和明)★★★
不覚にも泣かされてしまいました。
「グラン・トリノ」(監督 クリント・イーストウッド)★★★
4月26日(日)
快楽のまばたき「星の王子さま」(作 寺山修司/演出 高畑毒見/会場 タイニイアリス)☆☆☆☆
非常に楽しめました。困ったことに、前日の「毛皮のマリー」もはるかに楽しめた。気に入った見どころは二つ。一つ目は、幻の5人の男装の星の王子さまが現れ、白波五人男さながらの口上を語るシーンがあるのですが、ここで「ルパン三世のテーマ」「恋のフーガ」「タイガー&ドラゴン」などの歌謡曲をテーマ曲に使って演出したこと。ノリノリで熱唱し、埃を巻き上げて舞台中を駆け回りながらの口上には、駅前劇場に毛皮族の芝居を見に来てしまったのかと思うほどの迫力と熱気を感じました。二つ目は、ラストシーン。この戯曲のラストは役柄を脱ぎ捨てた俳優が、生身の観客と対話をし出すというシーンで幕を閉じるのですが、これまで観た上演では、俳優と対話する観客は明らかに仕込まれた俳優で、その予定調和ぶりに辟易とすることが多かった。3月に上演されたプロジェクト・ニクス版では、このラストは今の時代にはそぐわないということで、ラストをサン・テグ・ジュペリ版の「星の王子さま」に返す形を取っていた。今回は、明らかにたどたどしく活舌の悪い素人っぽい観客に対話をさせることで、基本的に戯曲通りでありながら、劇場内に何とも言えない緊張感を漂わせることに成功していた。
「寺山修司と天井桟敷◎全ポスター展」(会場 ポスターハリスギャラリー)☆☆☆
前回同様、招待券をもらったので行った来ました。ポスターハリスギャラリーは、渋谷のドンキホーテの裏路地を入った突き当りのビルの一室にあるのですが、場所がわかりにくく、以前別の展覧会を見に行ったときは、たどり着けずに断念しました。
4月25日(土)
「毛皮のマリー」(作 寺山修司/演出 美輪明宏/会場 ル・テアトル銀座)☆☆☆
美輪明宏の新解釈による、寺山修司の代表作の上演。前回の2001年版ではラスト近辺だけだった作品の改作が、今作では全編に渡っていました。前回は「この台詞はこういう意味」という解釈をしていても、その解釈を言葉に込めて喋るだけで台詞自体は台本通りになっている部分が多かったのですが、今回は台詞自体も大幅に書き換えられていました。作品としては、大幅に書き換えられたことで、全体的に「お涙頂戴の母子もの」として統一感のある物語になっていて、これはこれで楽しめたのですが、それでも原本とはあまりにもかけ離れたものになっていたと思います。もちろん寺山修司も言っているように、「ただたんに戯曲を俳優によって再現する」だけの演劇に意味はなく、いかに解釈し、いかに演出するかが演劇の面白さではあります。ただ私が違和感を感じるのは、美輪さんが上演することでこれが「毛皮のマリー」の正当な解釈で、これが決定版である、というような宣伝の仕方をされていることです。私は、あくまでも美輪さんの演出は、あの自由度の高い戯曲から導きされた解釈のひとつにしか過ぎないと思っているので、せめて美輪さんの肩書に「演出・美術・主演 美輪明宏」だけでなく「脚色 美輪明宏」と入っていたら、もう少し素直な気持ちで見れたのかもしれません。平常の「人形劇版・毛皮のマリー」や昨年の「俳優座版・毛皮のマリー」の上演時間がたしか1時間20分ほどで、今回の美輪版の上演時間が2時間(15分の途中休憩を挟む)、単純計算で作品の3分の1が美輪さんの創作部分だったわけですから。…などといろいと書き連ねてきましたが、結局私は生まれて初めて観た寺山演劇で、かつ生まれて初めて観たアングラ劇である1997年版の「毛皮のマリー」(演出:J.A.シーザー、主演:篠井英介)への思い入れが強すぎて、にこだわり過ぎているだけなのかもしれません。
「三文オペラ」(作 ベルトルト・ブレヒト/演出 宮本亜門/会場 シアターコクーン)☆☆☆
寺山修司はこの作品を元に「花札伝奇」を書いたと言われています。以前戯曲を読んだ時はまったく二つの作品に類似性を感じなかったのですが、こうやって上演されるのを見ると、類似性がはっきりとわかりました。三上博史の怪優ぶりは相変わらず素晴らしい。
3月14日(土)
「蜉蝣峠」(作 宮藤官九郎/演出 いのうえひでのり/会場 赤坂ACTシアター)☆☆☆☆
演劇集団池の下「疫病流行記」(作 寺山修司/演出 長野和文/会場 シアター1010ミニシアター)☆☆☆
寺山修司全作品上演計画を掲げる池の下の第19回公演。寺山作品を取り上げるのもたしかこれが15本目になるはず。初めて池の下の公演を観たのが1999年に東京グローブ座で上演された「青ひげ公の城」なので、もう丸10年経つわけですね。時の流れの速さに思わず茫然としてしまいます。そして、けなしてばかりいる癖に、何だかんだで毎回観にっている私は、きっと迷惑なお客なんだろうなと思ったり。10年の池の下の活動の中では、1999年上演の「花札伝奇」と2004年上演の「大山デブコの犯罪」がマイフェイバリット(ビデオも購入済)で、毎回これを超えるものを期待して観にいっているのですが、残念ながら今回もその願いはかないませんでした。
会場は北千住駅前にあるデパートの10階。天気が荒れていたこともあって、とりあえずこのアクセスの悪さだけでかなりテンションが下がりました。いつもどおり舞台には開演前から俳優がいます。
3月8日(日)
「春琴」(作 谷崎潤一郎/演出 サイモン・マクバーニー/会場 世田谷パブリックシアター)☆☆☆☆☆
想像以上に素晴らしい出来でした。春琴を人形によって表現するということを事前に知って、深津絵里ファンの私としては、彼女が直接春琴を演じないことに少しがっかりしてたのですが、とにかく演出が素晴らしかった。基本的には人形浄瑠璃のような形で、数人で春琴の人形を操作しながら、深津絵里さんが声を充てる形なのですが、まずこの声による芸(演技)が素晴らしい。
3月8日24時、松山ケンイチのラジオ朗読をすべて聞き終えました。朗読された詩は「愛の天文学」「あなたに」「サンゴ」「飛行機よ」「時には母のない子のように」の5本。すべて角川文庫版「寺山修司少女詩集」に収録されています。「朗読」のセオリーどおり、感情の起伏を最低限に抑えた淡々とした声で読まれているのですが、この雰囲気は考えようによっては「L」が朗読しているようにも聞こえますね(笑)。かなり楽しく聴かせていただいたので、5種類のみ、しかもそれぞれ一回限りの放送というのは残念な気がします。
さて、ついでなので新装版の文庫2冊についての感想。「あゝ、荒野」は河出文庫版を底本としたとのこと。2005年にパルコ出版から発行された森山大道の写真入りの豪華本も素晴らしい出来でしたが、気軽に手に入れるならこちらになるんでしょうか。しかし表紙と内容にはかなりギャップがありますね。「戯曲
毛皮のマリー」は旧角川文庫版と収録されている戯曲は一緒で、「さらば、映画よ」「アダムとイヴ、私の犯罪学」「毛皮のマリー」「血は立ったまま眠っている」「星の王子さま」の5本。口絵は天井桟敷初演のモノクロ写真から2001年公演版「毛皮のマリー」のカラー写真に差し替えられています。「毛皮のマリー」は美輪明宏主演で、「星の王子さま」は(プロジェクト・ニクス版は終わってしまいましたが)「快楽のまばたき」という集団で4月に上演されますし、「さらば、映画よ」も5月にリーディング公演があるので、今すぐ読んで損はないと思います。「寺山×松ケンポスター」もさっそく応募しましたが、こちらはまあ、期待せずに待ちましょう。
3月1日(日)
ポツドール「愛の渦」(作・演出 三浦大輔/会場 シアタートップス)☆☆☆
Project Nyx「星の王子さま」(作 寺山修司/構成・美術 宇野亜喜良/演出 金守珍/会場 ザムザ阿佐ヶ谷)☆☆☆☆☆
サン・テク・ジュペリの原作のストーリーを盛り込みつつ、アングラの祭典様相を呈した大盛況のうちに終わりました。台本上に白波五人男さながらの口上のシーンがあるのですが、そこが出演者それぞれの経歴に合わせて書き換えられていて、ここが一番の見どころでした。渚ようこ、中山ラビ、フラワー・メグ、野口和美、涌井歌織と、口上のたびに掛け声と拍手喝さいが鳴り響く。黒色すみれさんの生演奏も素晴らしかった。満員の客席の中には宇野亜喜良さんやカルメン・マキさんの姿もありました。
2月15日(日)
「その夜明け、嘘」(脚本・演出 福原充則/会場 青山円形劇場)☆☆☆☆☆
シルク・ド・ソレイユ「ダイハツ コルテオ」(会場 原宿・新ビッグトップ)☆☆☆☆
2月14日(土)
「蛇姫様」(作 唐十郎/演出 杉田成道/会場 ル・テアトル銀座)☆☆☆
パラダイス一座「続々オールド・バンチ カルメン戦場に帰る」(作 山本清多/演出 流山児祥/会場 本多劇場)☆☆☆
1月28日(水)
「甦る中山岩太 モダニズムの光と影」(会場 東京都写真美術館・3階展示室)☆☆☆
「イマジネーション/視覚と知覚を超える旅」(会場 東京都写真美術館・地下1階展示室)☆☆☆
「写真屋・寺山修司」展・第二期(会場 ビーエルディーギャラリー)☆☆☆
展示の入れ替えを待って二度目の鑑賞。展示されている作品自体はすでに写真集で見ていたので、真新しさはなし。
「リチャード三世」(作 W.シェイクスピア/演出 いのうえひでのり/会場 赤坂ACTシアター)☆☆☆
「酒井敦写真展 蛇の唇」(会場 マリアの心臓)☆☆☆
ジンガロ「バトゥータ」(作・演出 バルタバス/会場 木場公園内ジンガロ特設シアター)☆☆☆
1月24日(土)
「氾濫するイメージ」展(会場 浦和美術館)☆☆☆☆
時々自動「うたのエリア・1」(構成・演出 朝比奈尚行/会場 シアターイワト)☆☆☆
1月18日(日)
常設展「ミレー館」(会場 山梨県立美術館)★
ミレーの美術館として有名な山梨県立美術館。新収蔵品を加えたミレー館が新設されたというので、久しぶりに訪れてみました。目玉はポスターにもでかでかと使われている「眠れるお針子」。昨夏に上野のフェルメール展を観た時にも同じことを思ったのですが、実物は意外と小さくてくすんだ色で、少し拍子抜け。
劇団Arzt「Ningyo-hime」(作 寺山修司/演出・脚色 細谷真弓/会場 山梨県立大学・B館講堂)☆
上演時間40分。寺山修司の人形劇台本を元にしているのですが、かなり大きなセリフの改編・前後の入れ替えといった編集がされていました。私が原作の中で気に入った台詞はほとんどが省かれていて、残念でした。2003年に楽園王の公演「九州鈴慕」を観たときと同じ感想ですが、下手の考え休むに似たりというか、変に凝った演出をするよりは素直に演出してくれたほうが、少なくともストーリーは楽しめるのに、と思ってしまいます。岸田理生さんなら「私の言葉を台無しにした奴がいる!」と憤るところかもしれません。頑張っているとは思いますが、やはり内容的には学生演劇の域を出ていない感じで、どちらかというと原作を読み返す機会を与えてくれたことが最大の収穫でしょうか。
1月4日(日)
「魔法遣いに大切なこと」(監督 中原俊)★★★
「ジャパン・アヴァンギャルド―アングラ演劇傑作ポスター展」(会場 パルコファクトリー)☆☆☆
スルーするつもりでしたが、ポスターハリスカンパニーから素敵な招待状をいただいたので行ってきました。内容的には何度も見慣れたポスターばかりでしたが、配布されていたテラヤマ・ワールドのチラシで、今年一年の寺山イベントのスケジュールを知ることができたのが収穫でした。白井晃演出の「中国の不思議な役人」が一番気になります。
野田地図「パイパー」(作・演出 野田秀樹/会場 シアターコクーン)☆☆☆