えーちょっと前にここで、
「ケミカル・ブラザーズのPVが凄い!」
なんてことを書きましたが、
凄いのはケミカルだけじゃなかったよ!
つか、凄いのはこのPVを監督したミシェル・ゴンドリーという人。あたらしモノ好きな人は知っているかも知れません。話題作『ヒューマン・ネイチュア』の監督さんであります。もともとビデオクリップ畑の監督さんですが、まあ色々あって劇映画の世界に進出。脚本があの『マルコビッチの穴』の人だけあって色々話題の映画なんですがそのことはひとまず置いときましょう。
で、先日スペースシャワーTVでこのひとの特集をやっていたわけです。過去に手掛けたPVをインタビューを交えながら放送するという番組でしたが、このPVがどれもこれも凄い。ミシェル・ゴンドリーの名前は過去のビョークのPVで知ってはいましたが、正直、ここまで凄い人とは思わなかった。
シュールかつダークなおとぎ話、という趣の「ヒューマン・ビヘイビア」(ビョーク)、『死霊のはらわた』のパロディみたいな「エヴァーロング」(フー・ファイターズ)あたりは、面白くはあってもまだノーマルな範疇。空間的に線対称、時間的に点対称という驚くべき構造をもった「シュガー・ウォーター」(チボ・マット)、チープで可愛いダンスと、その楽曲とのシンクロ具合が最高に気持ちいい「アラウンド・ザ・ワールド」(ダフト・パンク)あたりで非凡さがむき出しになり、あの『マトリックス』に先駆けること4年、バレットタイム撮影のハシリである「ライク・ア・ローリング・ストーン」(ローリング・ストーンズ)、めくるめくデジタル編集で一瞬たりとも目が離せない「レット・フォーエバー・ビー」(ケミカル・ブラザーズ)、そして何気ない車窓からの風景が完全に音楽とシンクロする「スター・ギター」(ケミカル・ブラザーズ)で完全にノックアウト!どれをとっても凄まじい映像のイノベーション。ここまで凄いものを見せつけられると、ごめん、すまん、参った、ゆるして、ウッ。と訳もなくグッタリしてしまう他はありません。
このアイディアの豊富さと、それを映像化する才能にはかなり天才めいたものを感じます。映画作家としての才能はまだ判りませんが、『ヒューマン・ネイチュア』とミシェル・ゴンドリー、要チェックです。
(2002年03月26日)