さいはて紀行

ぶらぶらと旅行してきました。旭川を経由して稚内へ、という日本最北端への旅。


その稚内ですが、みるからにさいはての港町という感じで、重く垂れ込めるような天気も相まって心にスキマ風が吹くよなうら寂しい街並。小林多喜二の小説の挿し絵のような世界。が、日本最北端の街という特殊性から観光地として機能しているらしく、旅館や土産物屋が各所に点在しております。


日本最北端、まさにさいはてオブさいはて、宗谷岬にも行ってきました。周囲は絵に描いたような漁村、岬自体もタダの岬で特に景観に優れているわけでもなく、下手すればタダの素岬じゃんという感じでしたが、そこはそれ日本最北端の地という特殊性を全面に押し出し、売店も我先に日本最北端の店を名乗って手堅く商売をしておられます。


どうもここは観光地というよりは、旅行者にとってのひとつのマイルストーン。そこに行って何かを見ようというのではなく、そこに行く事自体がひとつの意味を持っているように思われます。事実、宗谷岬バス停の待合所は壁から天井からバイカーや旅行者の記念の落書きで埋め尽くされ、ここが日本中を回っている旅人のひとつの到達点、ないしは折り返し地点であることが非常によく判ります。


わたくしもおもむろに岬の突端に立ち、一瞬だけ日本で一番北に立つ男になってまいりました。しかし5月だというのに何だこの寒さは!さすが最北端。目の前にサハリンが見える(らしい)のは伊達ではありません。


サハリンといえば、ここはロシアから訪れる人も多いらしく、商店街にはロシア語の看板が目立ちました。さらにはロシア人専用、日本人入店お断りの雑貨屋などもあり、「さすがさいはて!」と妙な感動を覚えたことであります。


(2000年05月07日)