たまには健康的に日光の下にでないと人として大事なモノが腐るような気がするので、散歩がてら歩いて所用に。
途中、とある建築事務所の横を通りかかったとき、ふとそこの窓に貼ってあるポスターに目が止まりました。
「元気が無いぞ!北海道」
というコピーが踊るそのポスター、どうやら北海道の景気の悪さに喝を入れるべく作られたお役所謹製ものらしいんですが、にっこり笑顔で写っているモデルさん(男)が今にも倒れそうに顔色悪くて見る者の心に不安を呼びます。
「元気が無いぞ!」…つまり元気だせよ!と訴えているコピーのコンセプトを真っ向から否定するその覇気のない顔。お前だけにはそのセリフを言われたくないと万人が突っ込むであろうウツロな目線。このHPの低そうな表情に反して、髪型は東急ハンズで買ってきたような鳥の巣アフロ。そしてトドメに一本だけ伸びて風にそよいでいるたくましい鼻毛。何か元気の意味を曲解しているような気もしないでもありません。
この何かの罰ゲームのようないでたちに、しょーがーねーなー落書きされちゃって、とか思いましたが、よく見るとこのポスター、窓の内側から貼られています。つまりだれかが悪戯で通りすがりに落書きしたものではなく、わざわざ落書きしたポスターをこれ見よがしに貼ってある、または本当にそういう特殊なセンスのポスターが作られている、ということらしい。いずれにしても何かこう奇妙な意志の介在を感じます。
もっと近くに寄ってまじまじと観察したかったんですが、窓の内側に人がいて仕事してるらしかったので断念。こんどカメラ片手に再訪しよう、と決意してその場を去りました。
なお、このポスター、若干褪色が進んでいました。張り出されてからある程度日数が経っていると思われます。晴れの日も雨の日も、鼻毛を風になびかせ続ける彼のことを思うと、なんだか夜中にうなされそうな気がします。
(2000年06月15日)