で、毎年お盆の頃になると、サークルボックスにダベっている仲間がヒマにまかせて「じゃ恒例の肝試しでも」と言いはじめ、近所のいわく付きスポットを皆でプルプルしながら回ったり巡ったりするわけです。松山城西側登山道、城山のふもとのM町、E大学工学部付近入口…などなど、めぼしい所は大体まわったのですが、毎回話題に登りながら絶対に誰も行きたがらなかった場所が一か所だけありました。…それが、道後にある石手寺(いしてじ)という寺であります。
四国八十八ヵ所第五十一番札所にして、道後でも名高い観光スポット。実際に石手寺を訪れた事のなかったわたくしは、なぜ皆がそこまでその寺を怖がるのかいま一つピンと来なかったのですが、その理由はのちほど昼間に訪問してみてすぐに判りました。一言でいえば、そこは寺社仏閣の域をスコーンと突き抜けた電波風味のアートあふれる宗教的ブラックホール。霊的な無気味さとかそういうのとは全く別次元の、もはや観光地とは思えない禍々しい雰囲気。たしかにこんなトコに深夜ノコノコやってくるのは御免こうむりたい。
で、今回帰省したおりにその石手寺を再訪してビスバス写真を撮ってまいりました。いくら言葉を尽くしても、ここの有無を言わせぬ雰囲気を伝えることはヒジョーに困難。つか無理。という訳で以下画像をじっくり御覧ください。なーむー。
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金ピカの弘法大師様がたたずむ石手寺入り口付近
このへんはまだ何の変哲もないですが…
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入り口では小坊主がおでむかえ
何か後ろに難しい顔をしたのがいますが
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売店に囲まれた通路を抜けると…
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仁王さまが並んだ門(国宝)が
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きらびやかな観音さまの図絵
だんだん雰囲気が怪しくなってきました
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三重塔(国宝)
なんか垂れ幕が下がってますが
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「イラク侵攻 あらゆる戦争暴力 犠牲者各霊」
いきなりグローバルです
慈悲の二文字もパワフル
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グローバル第二弾
援助しないと呪われそうな迫力
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「たのも船」
短冊(一枚百円)に願い事を書いて立てると
何やら願いがかなうそうな
願い事が多すぎてもはや難民船状態
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本堂前には黄金色のバカでかい三鈷が
本堂脇にはポッカリと洞窟の入り口が開いています。これはマントラ洞窟という名の、まあ一種の地獄巡りと言うか極楽巡りと言うか、言わばバーチャル霊界体験システム。狭く長い洞窟の中に様々な手製の仏像や絵画がところ狭しと並べられ、異様な雰囲気をかもし出しております。いろいろ仏教的に意味のあるものらしいんですがとにかくインパクトが激しすぎて詳細はムニャムニャ。中は薄暗いわ地蔵や仏像が並んでて無気味だわ物凄く怖いタッチの絵が貼ってあるわでとにかく恐ろしい。虚弱な児童は口から泡吹いてヒキツケ必至の暗黒仏ゾーンであります。
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洞窟入口
気分は水スペの探検隊
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いきなり鬼がおでむかえ
フラッシュで明るく見えてますがホントは真っ暗です
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フラッシュ焚かないとこんな感じ
閉所恐怖、暗所恐怖の人は固まったまま一歩も動けません
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同じアングルでフラッシュ焚いてみました
明るければ明るいで壁面の絵がまた怖い
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なぜにこうも怖いタッチなのか
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並のセンスでは描けないスペイシーな絵がひっそりと壁に
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奥にはこのように3D曼陀羅が
ブライアン・イーノのアルバムのジャケみたいですな
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と思えば暗がりにこんなのがヌボッと立ってます
近所にこんな感じのオバチャンいるよね
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さらに奥へ
まん中に見えてるのは手すりではなく水子地蔵です
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暗がりにたたずむヒップホップ地蔵
たまに手すりに間違えられて頭を掴まれることも
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道ぱたにはこういうありがたいお言葉が点々と立っています
我思う故に我ありって奴ですな
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突如ライトアップされたほとけさま出現
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ほとけさま周辺には謎の極彩色木像軍団が
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そしてお触りOKの表示
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「これに触ってみなさい」ということらしいが
なにか場違いなものが上に乗っかってます
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犬のぬいぐるみでした
もしやこれが仏の智恵なのか
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ううっ…
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やっと洞窟終了
裏山に出ました
しかし振り返るとそこには…
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なにやら輪をかけてあやしげな雰囲気が
やっとの思いで洞窟の出口に到着。石と石の間の狭いスキマをくぐりぬけると石手寺の裏山に出ます。そこはダラダラとした坂が続いており、登ってゆくと幼稚園や墓地があるのですが、この坂の雰囲気がさらに怪しい。飾ってある、というよりは打ち捨ててあるといった感じの強い仏像やペイントが路傍に置かれてあり、それが長年の風雨にさらされて朽ちかけています。石手寺境内よりもさらにアウトサイダー・アート色が濃厚になり、「なぜこんなとこにこんなものが?」という不審さも相まって何とも言いがたい不安感が場に漂っています。
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巨大な閻魔様が門を守る怪しい庭園を発見
中に入ってみましょう
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ガネーシャ が あらわれた!
ban は にげだした!
しかし まわりこまれてしまった!
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ガネーシャから逃げ出して奥に進むと
黄金色の謎建築を発見
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どうやら中に勝手に入ってよいらしい
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脇にはありがたくも怖い聖人像が
ここは本当に日本なのか
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入ってみました
いきなりパンチの効いた絵が出現
雰囲気的には浮浪者とかがいてもおかしくない感じなので
めちゃくちゃ怖いです
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くらがりの中に階段が出現
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登ってみるとそこには五百羅漢が
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360度すべて五百羅漢
囲まれて逃げ場ナシ
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息苦しさに負けて外に出ました
表ではニャーニャー愚連隊のみなさまがマッタリ中
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なぜかニワトリまで
ノラ猫とのナワバリ争いとかは無いのか
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幼稚園があるらしい
毎日この不安感の中を通園する園児の心境は如何に
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幼稚園もこのありさま
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墓場へ向かう道もこのとおり
たしかに夜中にここを通るのは嫌だ
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絵物語らしいですが
解説がない(または読めない)ので何がなんだかもう
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絵は全体的に荒々しいタッチ
しかしなぜここまで観る者を不安にさせるのか
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路傍の石にも油断してはいけません
足下に転がる石にも彫刻が
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あっ
振り返ると向こうに見える山の頂上に巨大な弘法大師様の像が見えます。なんだか物凄く不安になってきました。石手寺境内に戻りましょう。
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境内のかたすみに水子地蔵の群れ
その向かいには怪しさ爆発の像が
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なにものだ君は
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境内には突如としてパゴダが
壁面のレリーフにも注目
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境内のかたすみに打ち捨てられた象
「トンキー君」と心の中でそっと呼ぶと気分が盛り上がります
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具合でも悪いのか
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おそなえの水はうまいニャー
いやあ正味2時間程度の見学でしたが、あまりのテイストの濃さに物凄くグッタリしましたよ。この濃さはカレー味というか、インドやチベットのテイストが物凄く濃厚。それでいて日本の寺院のあの線香臭さも忘れてはいないという、アジアの料理を右から順番にミキサーにかけて煮こごりにしたような強力絶倫スポット。心静かにお参りする、というよりは、神社の祭りによくある見せ物小屋をそっと覗き見するような、そんな不思議な吸引力のあるお寺でした。
(2003年11月04日)