ゆうばり映画祭2003

えー今年も行ってまいりました。ゆうばり国際ファンタスティック映画祭。昨年はシベ3が北海道に初上陸というわけで強引に連れて行った同行者に物凄く嫌がられたのがホロ苦い冬の思ひ出な訳ですが、今年はシベ2のウルトラ何とかバージョンの上映?ちょっと晴郎は最近いい気になりすぎてるんじゃないだろうか。このまま甘やかしていては晴郎のためにならん!というわけで心を鬼のようにして上映をスルー。しかしその後実は幻のシベ4ビデオ上映が秘密裏に行われていたことが発覚。ひそかに枕を涙で濡らした次第でございます。


では何を観てきたのか、というわけでまず『MOON CHILD』。GACKTとhydeが共演の東南アジア犯罪青春ファンタジー。なんなんだ。というわけでビジュアル系ロックの2大巨頭がカッコイイぜオレ光線を縦横無尽に乱射しながらイイ気になって観客放置の腐れ自己陶酔ムービー。…かと思いきや、意外と真っ当な映画だったのでびっくりしました。特にガクト(英字打つのめんどくさいからカタカナで書く)が意外とよろしい。タダの自己陶酔に落ちない、真面目な好感の持てる演技でした。もちろんカッコいいのですが、そのカッコよさのはしばしに、人間的な弱さというか、まあ平たくいえばヘタレさをにじませて深みを感じさせます。もしかしたらこの人は俳優として大バケするかも知れません。クールなルックスに似合わず、実は熱く誠実に仕事をこなす人のようであります。今後の要注目株と言えます。


えー共演のハイドの方ですが、えー、まあ、その、なんだ。彼がなにがしかのセリフを発するシーンはケツの割れ目に松ぼっくりでも挟んだかのよな居心地の悪さというか、まあ映画全体に一服の不安感をもたらすスパイスのような存在と言えなくもありませんが、なまじたたずまいがカッコイイだけに惜しい。


続いて『地獄甲子園』。もう何もいうまい。この咲き乱れるバカさとアホさにはただひたすら笑う他は無い。漫☆画太郎のコミックスの映画化ですが、あんな因業な画風の漫画をよくぞ映画化したなと。しかもビジュアルの再現度がかなり高いのが素晴らしい。あの漫画に出てくる「イイ顔」のオヤジやオバハンをかなりのレベルで実写化しております。これだけでもすでに反則な感じですが、それに加えて画面に花開く脱力系のギャグの数々。上手いというよりはチカラワザとイキオイだけで突っ走ってしまった映画ですが、しかしこのイキオイは得難いものです。劇場内はゲラゲラと笑いにつつまれておりました。ナイスナイス。


…さてこれら2本はまあ前菜みたいなもんで、一体わたくしが何を目当てに夕張までエンヤコラ出かけたのかと言えば、そらもうあなた『ダイ・アナザー・デイ』をクロージングで上映するからであります。さすがに大人気で、キャパ千人という会場がほとんど埋まるという盛況っぷり。ひしひしと期待が高まります。


で、あっという間の2時間半。結論から言って、たいへん面白うございました。個人的にはピアース・プロスナンの007では最高作。とにかくもう最初から最後まで見せ場が詰まった一大サービスまつり。アクション、お色気、秘密兵器もテンコ盛りで、まあ夢見がちな中学生男子の妄想をほとばしるままに映像化したらこうなったというか、童貞子息の夢が張り裂けんばかりの大笑いアクションに仕上がっております。素晴らしい。やっぱり007はリアルさとかハードさとかを追求してるより、こっち方面に暴走した方がイキイキとしておりますな。


今回のポイントは、サービス満点にも程がある見せ場の詰め込み方。とにかくスキがあったら何か見せとけ!と言わんばかりの過剰っぷり。特に今回は40周年記念作でなおかつ20作目記念作であり、これまでのシリーズを茶化したようなシーンがあちこちに出現。ファンとしてはこのサービス精神の濃さにハートをムギュッと握られまくり。特に今回、これまで不審なほど清い関係だったあの方とあの方がついに一線をお越えになられ、互いのベロを食いちぎる勢いで一戦おはじめになられる(?)という衝撃のシーンがあったりして、こういうお約束を裏切るシーンを入れてあるあたりも大変憎い。笑いました。


あとはもうシリーズの伝統にのっとった由緒正しき荒唐無稽が炸裂。「またレーザー光線かよ!」「また人工衛星かよ!」「また飛行機落ちんのかよ!」「いいかげん朝鮮と日本の区別くらいつけろよ!」とニヤニヤ笑いながらツッコミが止まりません。いやあこれだよ、これ。というわけで最近では特にオススメのド派手アクションでございます。ファン度が高いほど楽しめますぜ。


なお、今回の舞台は朝鮮半島ですが、韓国人の知人によれば劇中話されている韓国語はかなり怪しのシロモノであるとのこと。しかも北朝鮮の輸送機の中になぜか日本の具足が飾ってあったりとかで、いやあ何と言うか、姫路城をニンジャの基地にしたりしてたあの頃と何一つ変わっちゃいないなキミらは、とか遠い眼差しで思いましたことです。


(2003年03月02日)
MOON CHILD
2003年 日本
監督:瀬々敬久
出演:HYDE Gackt ワン・リーホン 寺島進
地獄甲子園
Battlefield Studiam
2002年 日本
監督:山口雄大
出演:坂口拓 伊藤淳史 谷門進士
ダイ・アナザー・デイ
Die Another Day
2002年 アメリカ/イギリス
監督:リー・タマホリ
出演:ピアース・ブロスナン ハル・ベリー リック・ユーン