ザブングル・グラフィティ

♪はやてのよーにー
♪ザブングルー
♪ザブングルー



というわけで『ザブングル・グラフィティ』というのを観ました。「戦闘メカ ザブングル」というテレビアニメの劇場版ですね。なつかしいなあ。プラモ作ったよ。やたらカッコいい主題歌も歌えるよ。公開当時、うちの田舎では『ドキュメント・ダグラム』『カンニングモンキー/天中拳』とのガキんちょ大喜び3本立てで公開されていました。余談ですが当時は町中を劇場の宣伝カーが走ってまして、テキトーなBGMをバックに映画のタイトルを連呼して回っておりました。この映画もそうやって宣伝されていたのですが、何をどう間違えたのか、

「ザ・ブングル・グラフィティ…ザ・ブングル・グラフィティ…」

妙な箇所にナカグロが入ったままアナウンスされていました。てかTHEブングルって何だ。THEマンザイみたいなもんか。さらにどうでもいいですがそのときのBGMは「007/ゴールドフィンガー」でした。いやああの頃は気がつきませんでしたがもの凄いカオスです。大丈夫かウチの田舎。


まあそれはそれとして、当時『カンニングモンキ−/天中拳』目当てで劇場に行ったウチの弟いわく

「…凄いフザけとった」

…そうなのか。しかしフザけているといえば、このアニメの属性自体が喜劇であって、そもそも基本的にオフザケの権化みたいなもんじゃけどのう。と冷静に考えた当時から20年たったこんにち、何かの巡り合わせで観ることができた訳ですが…。弟よ、お前は正しかった。たしかにフザけています。つか何じゃこりゃ?基本的にテレビ版のフィルムを再編集したダイジェスト版なのですが、テレビ版を知らない人には何のことだかサッパリ判らない混沌としたストーリー展開。面白い場面をひたすら思いつくままにつなげ、場面の変わり目に強引にアイキャッチを差し挟んでなんとかカタチにしたとおぼしき構成のガタガタ感。話を端折るために登場人物が突如DJと化して講談的にストーリーを語り出す無法地帯感。油断してると登場人物が「♪オーラロードがー ひらかーれたー」なんて歌ったりしている。それは後番組の歌だろ!トドメに突然動画が真っ白な線画だけになってしまい、

「まにあわないと こうなっちゃう」

と肛門のシワも伸びきるようなテロップが入ってたりして御脳がくつくつと沸騰します。ファン受けを前提とした内輪ウケ感、楽屋オチ感。そしてそれが生み出す限界感と閉塞感。居心地イイのと同時に居心地ワルい感じ。現在のアニメ業界が慢性的に抱えている問題は、20年前の時点で既に始まっていたと言えます。むう。


ただし、問題があったのはこのダイジェストの仕方であって、テレビ版はさぞかしハジけてて面白かっただろうなと思わせる片鱗が詰まっております。砂埃が舞う西部劇とロボットアニメの融合、そして容赦ないドタバタギャグの数々。という意味で面白かった反面、もちょっとマトモにダイジェストされていたらのう。という残念感は山ほど感じるのでした。南無。


(2004年01月26日)
ザブングル・グラフィティ
1983年 日本
監督:富野由悠季
出演:小滝進 横尾まり 島津冴子