『助太刀屋助六』。新作が出るたび、これが遺作か?遺作なのか?と言われ続けてもう10年。今村昌平とタメ張る邦画界のリビングデッドこと岡本喜八監督最新作。過去作は小気味よいカッティングと軽妙な作風でどれもこれもえらく面白かった覚えが。ただしどこのサイトを見てもボロクソに書かれている『EAST MEETS WEST』は観るとなんだかいたたまれない気持ちになりそうで観てませんが…。
で新作のこれ。まず喜八節は八十路にしてまだまだ健在。リズミカルな編集とカッティングの呼吸には往年のキレが。喜八ファンとしてはこれだけでもう親指をグッと立ててしまいツカミはバッチリ。キャストも、キリキリ動く真田広之に貫禄十分の仲代達也となかなか魅せてくれます。
…と、まあ面白く観たうえに敬愛する喜八翁の現役っぷりに感慨深いものがあったりしたんですが、しかし真田広之が20代の若者っちゅー設定はどうだ。いやそれはまだしも鈴木京香がこともあろうに生娘の役っちゅーのはアリなのか。いやそりゃー80過ぎのじいさまからすれば鈴木京香も生娘みたいなもんかも知れませんが…。あとやっぱり今回は話の小粒感がいなめず、短い時間でさっくり終わるのはいいのですけれどやっぱり食いたりなさが。うーん。
まあ文句も言いましたが、やっぱりこの人の映画をまだまだ観たいと思わせる充実の職人芸。もし次があるなら、『大誘拐』のようなスケールの大きさと、『ジャズ大名』『近頃なぜかチャールストン』のアナーキーさと、『日本の一番長い日』の娯楽性を合わせ持った傑作の登場を、切に切に期待しております。たのむよ、喜八っあん。
(2002年03月10日)