えー朝5時起きで行ってきましたよ。晴郎inゆうばり。シベ3上映。これを逃すと上映は封切りの秋までないと言われりゃー頑張って駆け付ける他はない。同様に思った人も居たかどうかは知る由もありませんが、会場にはディープな晴郎ファンと思われる方々が開場1時間前からたむろしております。
例によって舞台挨拶からスタートです。まずぼんちゃんこと西田和晃が巨体をかろやかに揺らしつつ登場。元漫才師らしく前説で会場の雰囲気をウォームアップさせたあと、巨体を波立たせつつ晴郎が登場。いやー毎度毎度このひとの腹は凄い。見るたびに膨れているというか、新たな生命体でも産まれてくるかのようです。ぼんちゃんはやはり師匠思いの人らしく、事あるごとに晴郎を立てる…かと思いきや、晴郎の台詞まわしを正直に棒読み呼ばわり。その他、撮影中の晴郎の形態模写など、我々シベ超ファンにとって痒いところに手の届くトークを連発。その反面「シベ超に出ないと一人前の映画人とは言えません!ね、先生」(うろ覚え)と晴郎の御満悦玉を破裂させる発言も忘れないぼんちゃん。もはや御満悦の高エネルギー体と化した晴郎と、それを煽るぼんちゃんの濃密な愛の空間がステージ上で繰り広げられる様は軽い恥じらいすら覚えます。
さらに最近なにかと話題の三田佳子も舞台で挨拶。晴郎とぼんちゃんに挟まれて終始笑顔でさすがの大女優っぷりですが、なんだか「知ってるつもり」の後半30分を見ているような気持ちになりました。
さて、肝心の映画であります。冒頭、ヒトラーやスターリンの写真に軍服姿の晴郎の姿が合成されたスチールが何枚か登場。ナレーションが続く間、延々とその写真を見せられることになりますが、そのクドさに晴郎のナルシズムの深刻さというか、業の深さを感じずには居られません。以下、感想。
感想1:
シベ超もずいぶんマトモになったなあ…とタメ息。セット、演技、撮影、演出、そのすべてに前作、前々作にはなかった確かな安定感が。列車のセットも今回はキチンと揺れています。普通ならこれは喜ぶべきトコなのでしょうが、われわれファンとしては「1」のような破壊力ある珍味をどうしても求めてしまうわけで、なんだか洗い過ぎて塩気の抜けた塩辛を食ってるみたいな味気なさは否めません。
感想2:
マトモになっていたといえば晴郎の台詞まわし。ついに自らの演技スタイルを確立したのか、従来の死後硬直のような棒読みから徐々に脱却しつつある御様子で塩分大幅ダウン。さらに今回は晴郎の出番が少なく激しい減塩っぷり。
感想3:
いろんな意味で話題の三田佳子は、私生活の鬱憤を晴らすかのような激しい熱演。対して宇津井健の方は終止仏頂面で早く帰りたい感がにじみ出る正直な演技。しかしさすが、ビッグネーム同士の演技対決の場面はシベ超らしからぬ緊迫感で盛り上がります。こんな温泉気分の映画でも演技の力でここまで見せることができるのか…やはりプロは違う。撮影中に晴郎も思わずもらい泣きするほどの力演だったらしいし。と複雑に感動していると場内からかすかにすすり泣きの声が!あのシベ超が客を直球で感動させるとは!とマジでビビリましたが、客席に晴郎自身が紛れ込んでいた事と何らかの関係があるのかは不明です。
感想4:
佐伯大尉のロープ投げ、オープニングの長回し、山下大将の「ヒットラーは信用でけん」発言、2度のどんでん返しなど、シリーズのお約束が連発。もはや年中行事を見ているようです。
感想5:
ストーリーはプロの手が入っているため手堅い構成となっていますが、基本的に先が読めまくるので面白さがグッと控え目の奥ゆかしい仕上がりになっています。2度のどんでん返しも、1度目はともかく、2度目については観た後に連れと話し合って「ひょっとしてアレがどんでん返しのコトだったのか?」疑問符付きの結論が出たくらいのシャイな存在感ですが、しかし観賞後に議論しないと存在が怪しいどんでん返しっていったい何だ。
感想6:
とまあこのように「破壊力最強のカルトムービー」から「並のB級映画」へと移行しつつあるシベ超シリーズですが、とは言え冒頭の長回しシーンで、スタッフ用ジャンパーを着て小型モニターを手に撮影をチェックしている晴郎が堂々と画面を横切ってゆくのにはわたくし久しぶりに目眩をおぼえました。
感想7:
映画の最後にトドメのこんなテロップ。
「『シベリア超特急4』では山下大将と佐伯大尉に最大の危機が!」
危機が!しかし危機って何だ。破局の危機か。まあここまで来たら晴郎にはとことん突っ走っていただきたい。行け、晴郎!走れ、晴郎! 気の済むまで!
(2002年02月18日)