恋はハッケヨイ!

『恋はハッケヨイ!』を観てきました。

イギリスのデブーな女の子が、なぜか女相撲に挑戦!というわけでポスターなどにはムッチリした美形デブが肌もあらわに立ち会いのポーズ、というお好きな方にはたまらない写真が踊っております。この主人公の女の子、だいぶ太めの体型ですが非常にチャーミング。ケイト・ウィンスレットが激太りしたらこんな感じか、というプリティ・デブ。彼女が劇中ヌードモデルをしたり女相撲とったり男に乗っかったりと体当たり演技、というか肉弾演技で、なおかつデブっ娘特有のいじらしさを最大限に発揮。この子を主人公にキャスティングできたことでこの映画は半分以上成功しているといってもよいでしょう。


主人公が勤めている缶詰工場には秘密裏に女相撲部が存在し、デブな女をスカウトしては「シン・ギ・タイ」を合言葉に夜な夜な地下でスリ足に励むのであった…という設定だけでも後頭部がシビれますが、この地下相撲クラブの描写が凄い。なぜか稽古場の入り口には「スタミナ」「バランス」と大塚食品のキャッチコピーみたいな単語がカタカナで書いてある。稽古場に入ればプランパーな方々がなぜかキモノを着て「イチ・ニイ・サン・シ…」と遠くを見つめながらユラユラしている。たまにはお外に出て日光の下で健康的に練習ですが、イギリスののどかな郊外風景をバックに、太めの女性の集団が発狂したような色のキモノに日傘で太鼓を叩きながら練り歩く、という光景はどうみても魔界です。最後の試合シーンではなぜか全員が白塗りに目張りのメイク。どこの相撲だ、それは。


何となく女相撲版『ファイト・クラブ』『フル・モンティ』みたいな趣の映画でした。お話は、主人公の女の子とそのダメ亭主の夫婦愛もの、という感じでどうという事はないですが、やはりメインの女相撲の描写が濃い。余りにも濃い。色んな意味で濃い。怪しい日本文化をウヒヒと楽しむのもよし、プランパーが繰り広げる熱い女闘美(めとみ)にときめくもよし。


…あと、作り手のデブに対する愛が感じられたのはとても好ましかったですね。ちょっとフェティッシュな愛ではありましたけど。


(2001年08月26日)
恋はハッケヨイ!
Seacret Society
2001年 イギリス
監督:イモジェン・キンメル
出演:シャーロット・ブリテン リー・ロス アネット・バッドランド