ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還

♪ひっこしー
♪ひっこしー
♪かーねーかーかーるー


いや歌っている場合ではないのですがつい。


さて、公私ともに多忙な中、ちょっと劇場から遠ざかり気味だったのですが、テレビで予告なんぞを観ているうちに我慢ぶくろがパンパンになってしまったので『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』を観てきました。うっかり上映時間を間違えてやむなく吹き替え版の方をみたんですが、これが意外と良かったな。とにかく画面の情報量が多い映画なので、字幕に気を取られずに画面に集中できたのが良かったのかもしれない。DVDで観た前2作と声のキャストは同じでしたが、いつも気になるのはエルフのレゴラスの声。王子様チックな外見に反して声は野太いますらお系でちょっとギャップが。まあしかしこの辺は観ているうちに気にならなくなりますが。


で、肝心の内容。


凄すぎ!凄すぎです!イカレてます!


スケール、物量、クオリティ、物語の面白さ、密度の濃さ、盛り上がり、感情移入させられ度、どこをとってもスキなし。てか間違いなく前人未到の域に。中盤の城をめぐる攻防戦などはあまりの盛り上がりにに震えましたね。でもこれだけ盛り上がってまだ中盤なわけですよ。ここでこんなに盛り上げちゃってこのあと一体どうするんだ!と心配するも、そのあとはちゃんとエモーショナルな盛り上がりが最高潮に達するので無問題。いやあ参った。ピーター・ジャクソンにスキ無し!…と思ったけどエピローグも史上最高レベルの長さなので原作ファンじゃないわたくしとしてはちょっと退屈したりしなかったり。しかし1作目から数えて10時間を超える長さの映画と考えれば、この長さのエピローグもやはり必要なものだったのでしょう。それに変に切ったりすると原作ファンが暴動でも起こしかねない気が。


それにしても今回は特にビシッとキマりまくりのシーンが連発。草原を馬で駆けながら魔法をふるうガンダルフ。「フロドのために!」と幾万の軍勢に向かって駆け出すアラゴルン。「わたしは女よ!」と素晴らしい啖呵を切るエオウィン。極めつけはレゴラスで、荒れ狂うオリファントの背中にすいすい飛び乗ってその上の戦士たちを一掃、崩れ折れるオリファントの背中からストッと地上に降り立って七・三の構えでポーズをビシ。という突き抜けすぎたカッコ良さに劇場のあちこちから痛快な笑いが漏れていました。


そんなかっこいい戦士っぷりの裏でひたすら悲惨なのが指輪を抱えたフロド御一行。息もたえだえに高い山に登ったかと思えばどえらいクモにつかまってクルクル巻きにされ、オークどもに捕まっては身ぐるみはがされ、果てはトゥシューズに画鋲を入れられるような目にあって仲間割れを起こし、水も食料も尽きて爆発コントのあとのドリフのような姿になりながら火山の頂上を目指すさまは、思わず「♪きみのーゆくーみちはー」と粋な男性コーラスが脳裏をよぎる悲惨さ。しかしそんなズタボロと化してもなお気力を失わないサムの男気に目頭が熱くなります。漢だ!あんた漢だ!やはりタダのデブではなかった!グッドデブ!ナイスデブ!やはり普段から栄養を溜め込んでいるやつは強い。素晴らしい。


というわけで間違いなく史上最強レベルのファンタジー映画の金字塔です。いまこれを読んでいるあなた。何をボーッとしていますか。はやく劇場に行きなさい劇場に!おっと前二作の予習も忘れるな!こういう映画をリアルタイムで観られる幸せにぜひ浸ってください。


…とか書いてたらアカデミー賞を11個もとっちゃいましたね。ほぼ順当な結果だったと思いますが、演技陣が一つもオスカーを取れなかったのが残念でした。個人的には旅の仲間全員にオスカーをさしあげたい気分であります。


(2003年03月03日)
ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還
The Lord Of The Rings:The Return Of The King
2003年 ニュージーランド/アメリカ
監督:ピーター・ジャクソン
出演:イライジャ・ウッド イアン・マッケラン ヴィゴー・モーテンセン