レッド・ドラゴン

さて『レッド・ドラゴン』観てきました。っていうか今年に入って初めて劇場で観たのがこれだたったり。大丈夫かおれ。


感想1)
前作『ハンニバル』は史上稀に見る変態まつりムービーで、特にその悪趣味さにおいてはもはや洒落にならないレベルにまで達しておりましたが、反面サスペンス映画という観点から観ると脳内には吹き荒れる疑問符の嵐。もはやサスペンスもへったくれもなく延々と変態自慢をくりかえすキャラたちに、観てるこちらとしては口からブクブクと泡を吐く他はなかったのですが、今回そのへんを大いに反省したのか、ビザールな描写は押さえ目でサスペンス重視の作りになっております。というわけで前回のグロ描写に難儀したかたでも今回は大丈夫かと。まあひどい所でパンツ一丁のフィリップ・シーモア・ホフマンとかレイフ・ファインズの生ケツあたりが関の山なので安心です。


感想2)
監督は『ラッシュアワー』のブレット・ラトナー。おいおいあんな軽い映画作ってた奴に撮らせて大丈夫なのか!と世界中の映画ファンに心の中で突っ込まれ、撮影現場ではエドワード・ノートン(主演)にスタッフの面前でガミガミ説教され、さぞかし撮りにくかったことであろう…と心配の余り参観日に教室へ向かう父兄のような心境で観たのですが、これがどうして、真っ当に面白いサスペンス映画に仕上がっていました。プロファイリング、推理、追跡、知恵比べと、犯罪映画の醍醐味がたっぷりテンポよく味わえます。とてもいい意味で真っ当。まあそのかわり病的な描写が少なめですけど、これは別にいいか。あんまり気になんないや。ラトナー先生、プレッシャーにもめげずナイスな仕事をしておられます。


感想3)
実はこれトマス・ハリスの原作の再映画化で、最初の映画化のやつは『羊たちの沈黙』がアカデミー賞を取った時に『レッド・ドラゴン/レクター博士の沈黙』という便乗商法むき出しの悲惨な題でビデオが出ましたが、なにげに監督がマイケル・マンだったりしますね。これ、実はかなり昔に観たんですが、印象が異様に薄くて見事に内容を忘却。おかげで再映画化版を未見の作品のごとく楽しめてしまってなんとなく得した気分というか、マン先生ごめん。


(2003年02月15日)
レッド・ドラゴン
Red Dragon
2002年 アメリカ
監督:ブレット・ラトナー
出演:アンソニー・ホプキンス エドワード・ノートン レイフ・ファインズ